慶応大学菊澤ゼミナールHP

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ダイナミック・ケイパビリティ

2016年4月16日 (土)

ダイナミック・ケイパビリティ論は戦略論か、経営論か

 ダイナミック・ケイパビリティ論については、たぶん多くの人がそれを経営戦略論の流れの中に位置づけているように思える。

 しかし、デイビット・ティースの最近の論文を読んでいると、ダイナミック・ケイパビリティと戦略は異なると主張している。そして、ルメルトの良き戦略とダイナミック・ケイパビリティが結びついて、持続可能な優位性を企業は獲得できると考えているようだ。

 だとすると、ダイナミック・ケイパビリティ論は戦略論というよりも、マネジメントに関係しているように思える。

 「ダイナミック・ケイパビリティ・マネジメント」あるいは「ダイナミック・ケイパビリティ経営学」というのが、今後の方向かもしれない。

(1)環境・状況認識

(2)自社内の競争優位資源(VRIN)

(3)良き戦略(ルメルト)

これら3つを結びつける働きをしているのが、ティースのダイナミック・ケイパビリティなのである。

●ダイナミック・ケイパビリティに関心のある人は、以下を参考に。」

菊澤 研宗: 組織の経済学入門 改訂版

菊澤 研宗: 組織の経済学入門 改訂版

2016年3月12日 (土)

ダイナミック・ケイパビリティ論の外在史

理論史・学説史研究おいて、理論内容それ自体の研究を「内在史」といい、理論を取り巻く社会的状況の研究(たとえば作者の生い立ちや当時の社会情勢など)を「外在史」という。

 

ダイナミック・ケイパビリティ論をめぐる「外在史」として興味深いのは、女性の役割が大きい点である。

創始者は、デイビット・ティースだが、その後、この議論に絡んできたのは、ティース教授が指導したショウエン女史(香港大学)、アイゼンハート女史(スタンフォード)、ヘルファット女史(ダートマス)、そしてぺトラフ女史(ダートマス)たちである。

 

米国経営学学会における女性研究者の地位を高めているという点でも、ダイナミック・ケイパビリティ論は面白い。

 

2016年2月10日 (水)

ダイナミック・ケイパビリティに関する最近の論文

  ティース教授の最近の論文(2014)を見て、驚いたこと。実は、帰国するときに、そのドラフトはすでにもらっていたのだが・・・

(1)米国の経営学者は誰も読まないというドラッカーを、米国で最も有名なティース教授が、最新論文で今回も引用していること。

(2)多分、深く理解していないと思うが、ポパーの反証についてのフレーズがあること。(これはたぶん初めてのこと:私の未完の論文を読んでくれたのだろうか)

  実は、私が日本に帰国する時に、ティース教授に会い、(1)1本はティース教授との共同論文、(2)1本はダイナミック・ケイパビリティの数学モデル論文、(3)1本はダイナミック・ケイパビリティとオーディナリー・ケイパビリティの区別に関する方法論の論文(もちろん未完のもの)を渡してきた。(3)の論文を見てくれたのではないかというあまい想像してしまいます。

●ダイナミック・ケイパビリティについては、以下のダイヤモンドHBRでの私の連載記事を参考にしてください。

http://www.dhbr.net/articles/-/2965

2015年10月22日 (木)

ダイナミック・ケイパビリティについて

 明日の金曜日の3限にダイナミック・ケイパビリティの講義しますが、ダイナミック・ケイパビリティ論自体が完成されたものではなく、まだまだ不明な点が多い議論です。

 明日は、いま私が理解している最新のダイナミック・ケイパビリティ論の解釈について説明し、それを用いてコダックと富士フイルムを比較するものです。

 これまで、ダイナミック・ケイパビリティは理論理性だと思っていましたが、最近は実践理性なのではないかと思いはじめています。したがって、自由意志と関係しているのではと・・・?

 実は、この内容の論文をティース教授と書いているのですが、私が忙しくて研究が止まっています。徐々に、内容もまとまり、クリアーになってきたので、英語論文を修正して、論文をティース教授に送ろうかと考えています。

 しかし、とにかく忙しい。時間がない。ヒマなはずなのですが・・・・

2015年2月20日 (金)

ダイナミック・ケイパビリティの研究の仕方

 ダイナミック・ケイパビリティもわずかな動きであるが、注目されてきたのではないかと思える。

 研究者はすでに早い時期からこの概念に注目していたと思える。しかし、私の考えでは、だれも説得的に説明してこなかったように思える。だから、いまだ企業人はこの概念に疎い状態だ。

 私の分析では、日本の研究者の多くは、ダイナミック・ケイパビリティを経営戦略論の流れからのみとらえる傾向がある。ポーターの競争戦略論、資源ベース論、そしてダイナミック・ケイパビリティ論という流れである。

 この見方は間違いない。しかし、本当の流れはこれではない。これは、実はティースを支持するヘルファットやぺトラフたちの研究の流れである。

 

 ティース自身は、師と仰ぐウイリアムソンの流れで、この研究をすすめてきたし、今も進めている。この観点からすると、企業理論や国際経営論のながれからの研究も必要なのだ。

 

 したがって、ダイナミック・ケイパビリティ論の意味や意義を知るには、経営戦略論、企業理論、そして多国籍企業論(国際経営論)といった複数の観点からアプローチする必要あるように思える。

 

 近々、このような観点からの最新の論文を以下に公開する予定なので、関心のある人はぜひ読んでいただきたい。

(1)ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビューのサイト

http://www.dhbr.net/articles/-/3068

(2)『三田商学研究』

http://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/listitem.php?index_id=18

2015年2月15日 (日)

日本企業に求められるダイナミック・ケイパビリティ

 1990年代、かつて、市場経済中心の米国で展開されたポーターの状況決定論的な競争戦略論は米国企業的であるのに対して、終身雇用のもとで人材を育成し、固有の資源や資産を形成する日本企業は資源ベースの戦略論が得意だといわれていた。

  ところが、やがて日本企業が保有していた固有の物的人的知的資源や資産が硬直化し、逆に発展するための足かせとなっている。これを、レナード・バートンは「コア・リジリティ」と呼んだ。

 

 こうした状況で必要なのは、ダイナミック・ケイパビリティとそれにもとづく戦略だ。これは、ゼロから新しい知識、技術、資源を90年代以前のように形成するということではない。むしろ、すでに形成されている固有の資源・資産・知識・技術を、いま置かれている状況で再構成することである。現状の資産をいろんな形で、再構成、再配置することである。

 

 たとえば、ソニーにはたくさんの知識や技術があるだろう。この知識を再構成して、たとえば未開の家電業界に進出するような戦略だ。ソニーが創る家電は魅力的かもしれない。これがダイナミック・ケイパビリティだ。

 かつて、進化論の縄張り理論が支配的であった。自分たちには縄張り(生活圏 domain)があり、その範囲をでないように活動するのが、生存する道だという考えである。しかし、これでは維持できても進化できないのだ。それは、淘汰されるのを待つだけなのだ。あえて、自分が保有している資産を再構築しつつ、あえてドメインを打ち破る。ここに進化がある。

ダイナミック・ケイパビリティについては、以下を参照。

ハーバード・ビジネス・レビュー

拙稿「ダイナミック・ケイパビリティと経営戦略」

http://www.dhbr.net/articles/-/3068

 

2015年2月12日 (木)

まだ続くダイナミック・ケイパビリティ記事のアクセスランキング1位

 ここ数日、1か月前に書いたダイナミック・ケイパビリティの論考へのアクセスが多い。本日も1位になっている。

●HBRのサイト

http://www.dhbr.net/articles/-/3068

 好意的であれ、批判的であれ、多くの人が見てくれるのはありがたいことだ。学者が見ているのか、学生が見ているのか、企業人が見ているのかはわからないが、「ダイナミック・ケイパビリティ」という言葉や概念が日本でも注目され、広がってくれることは嬉しいことだ。

 このダイナミック・ケイパビリティは、昨年まで2年間カリフォルニア大学バークレー校で、私がお世話になったデイビット・ティース教授が展開している議論でもある。私の考えでは、まさに現在の日本企業に必要な概念だと思う。

 

 関心ある方は、ぜひこのダイナミック・ケイパビリティという言葉を覚えておいてほしい。

菊澤研宗: 組織の不条理―なぜ企業は日本陸軍の轍を踏みつづけるのか

菊澤研宗: 組織の不条理―なぜ企業は日本陸軍の轍を踏みつづけるのか

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

2015年2月10日 (火)

なぜか、ダイナミック・ケイパビリティの記事のアクセスNo1

 

 最近の私の研究は、「ダイナミック・ケイパビリティ」です。

もともとそれほど関心がなかったのですが、昨年までカリフォルニア大学バークレー校に2年間留学しており、そのときの私の受け入れ教授がダイナミック・ケイパビリティの創始者であるデイビット・ティース教授だったからです。

 

 ダイナミック・ケイパビリティは、私がこれまで専門としてきた新制度派経済学の延長上にある研究です。そして、取引コスト理論を展開したウイリアムソン教授の弟子が、ティース教授なのです。

 現在、「ダイナミック・ケイパビリティ」について、ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビューで連載をしていますが、なぜか、昨日、第2回の記事がアクセス数No1となっています。誰か有名人が紹介してくれたのかもしれませんね。

★「ダイナミック・ケイパビリティの連載記事」

http://www.dhbr.net/articles/-/3068

近々、第3回を公開する予定ですが、この第3回を読んでもらうと、ダイナミック・ケイパビリティはもっとわかりやすくなると思いますので、ぜひ読んでほしいと思います。

ダイナミック・ケイパビリティは、おそらく今の日本企業に必要な考えのように思いますので、現在、多くの研究者が関心をもっていますが、企業人にもぜひ理解してほしいと思います。

菊澤研宗: 組織の不条理―なぜ企業は日本陸軍の轍を踏みつづけるのか

菊澤研宗: 組織の不条理―なぜ企業は日本陸軍の轍を踏みつづけるのか

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

2015年2月 4日 (水)

ダイナミック・ケイパビリティとデムセッツ

ハロルド・デムセッツというと、所有権理論の大家である。

実は、彼は競争社会は格差を広げるということを昔から言っていたので、最近のピケティの議論との関係で、彼の論文を読み直している。

すると、別のことがわかった。実は、デムセッツは、ウイリアムソンの取引コスト理論を批判しているのだが、そこにダイナミック・ケイパビリティに近いことをすでに議論していることも分かった。

デムセッツの議論は、非常に役に立つので、もう少し彼の論文を正確に読んでみたい。

菊澤研宗: 組織の不条理―なぜ企業は日本陸軍の轍を踏みつづけるのか

菊澤研宗: 組織の不条理―なぜ企業は日本陸軍の轍を踏みつづけるのか

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

2015年1月17日 (土)

本日のHBRのアクセスランキング3位、6位、7位

 ここ数日、ハーバード・ビジネス・レビューのウェブサイトで3本の論考が掲載されたが、本日のアクセスランキングが3位、6位、7位と三つともベスト10入りしました。

 個人的には、7位のダイナミック・ケイパビリティの論考が気に入っています。関心ある人がぜひ一読お願いします。

●3位(週刊1位)

カント、ドラッカー、小林秀雄に学ぶ
人間主義的な「目標による管理」とは

http://www.dhbr.net/articles/-/3037

●6位(週刊2位)

経済主義 vs. 人間主義
2つの「目標による管理」

http://www.dhbr.net/articles/-/3036

●7位

ダイナミック・ケイパビリティと
経営戦略論

http://www.dhbr.net/articles/-/3068

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