組織(労働・人事)をめぐる経済学と経営学の違い
最近、新自由主義、オープン・イノベーションが流行っているので、労働市場の流動性が強調されている。そのためか、以下のような2つのことが、昔のことのように、忘れられている。
(1)ケインズが主張していたように、労働市場は硬直的であること。
(2)ウイリアムソンが主張したように、労働市場は取引コストが高いこと。
さらに、労働経済学は人的資源配分の効率性を追求するのであるが、それは簡単にいうと、最適な部分(専門職)の総和としての組織(Σ部分=全体)を形成することである。
しかし、経営学が求めている組織とは、部分の総和よりも大きい全体としての組織(Σ部分<全体)を形成することである。そのために、理念とか、エンゲイジメントとか、倫理とかいった人間的で道徳的な要素が必要となるのである。
ウイリアムソンが指摘しているように、次のことを忘れてはならない。
経済学が求めるように、血液をめぐる市場を形成し、自由に取引させると、効率的であるが、経営学が求めているように、自発的に献血する利他主義的な人はいなくなり、金だけの世界が形成される。
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