慶応大学菊澤ゼミナールHP

私の趣味

新制度派経済学と限定合理アプローチの本

経営哲学学会HP

« アミタ会長・社長との対談第1回ーダイナミック・ケイパビリティ論 | トップページ | ダイナミック・ケイパビリティ論の講演について »

2021年3月14日 (日)

組織(労働・人事)をめぐる経済学と経営学の違い

最近、新自由主義、オープン・イノベーションが流行っているので、労働市場の流動性が強調されている。そのためか、以下のような2つのことが、昔のことのように、忘れられている。

 

(1)ケインズが主張していたように、労働市場は硬直的であること。

 

(2)ウイリアムソンが主張したように、労働市場は取引コストが高いこと。

 

さらに、労働経済学は人的資源配分の効率性を追求するのであるが、それは簡単にいうと、最適な部分(専門職)の総和としての組織(Σ部分=全体)を形成することである。

 

しかし、経営学が求めている組織とは、部分の総和よりも大きい全体としての組織(Σ部分<全体)を形成することである。そのために、理念とか、エンゲイジメントとか、倫理とかいった人間的で道徳的な要素が必要となるのである。

 

 ウイリアムソンが指摘しているように、次のことを忘れてはならない。
経済学が求めるように、血液をめぐる市場を形成し、自由に取引させると、効率的であるが、経営学が求めているように、自発的に献血する利他主義的な人はいなくなり、金だけの世界が形成される。

« アミタ会長・社長との対談第1回ーダイナミック・ケイパビリティ論 | トップページ | ダイナミック・ケイパビリティ論の講演について »

4)私の最近の論文・学会・講演活動」カテゴリの記事

2024年6月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30