なぜダイナミック・ケイパビリティ論にこだわるのか。
私がなぜ最近ダイナミック・ケイパビリティにこだわっているのか。大抵の人は、それが最新の経営学だからだと思うだろう。そして、私がその創始者であるバークレーのティース教授のもとで勉強したからだと思うだろう。
確かに、一部、その通りだ。しかし、それだけではこの理論はつまらないので、すぐに飽きてしまうのだ。
私が、この議論にいまだ異常に関心を持っているのは、この議論が科学哲学や認識論に深く関係していることに気づいたからである。(正確にいえば、米国のバークレーに行って、このことに気づいたのだ。日本にいるときは、取引コスト理論で十分だと思っていた。)
たとえば、オーディナリー・ケイパビリティ(OC)とダイナミック・ケイパビリティ(DC)は区別できないのかどうか。この問題は、タルスキーの対象言語とメタ言語の議論なくして解決できない。
また、OCとDCを用いて、企業はどう進化するのか。これは、ポパーの批判的合理的な図式を利用することで説明できる。
そして、ここから、最近、気が付いたのだが、あの難解なポパーの「雲と時計」の議論が深く関係してくることも分かってきた。
以上のような理由で、現在、ダイナミック・ケイパビリティ論の研究にこだわっているのである。
上記のようなアカデミックな議論は、近いうちに単著としてアカデミックな本を出版する予定です。
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