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2018年10月21日 (日)

拙著「組織の不条理」に対する弁明

菊澤です。

  拙著「組織の不条理」は、新制度派経済学を用いて日本陸軍を分析する書です。この本をめぐって、多くの素人の人たちが批判する点があります。(1)理論ありきで、(2)後知恵的な説明にすぎない。

 これに対して、私の考えは、
(1)帰納的で経験主義的な方法など存在しない。
(2)後知恵的な説明は悪くないし、大いに意味がある。

 (1)については、ポパーなど科学哲学的な議論(認識論)を知ってる人には当然のことなので、別の機会にします。

 今回は、(2)について、お話したい。学説の研究をしていると、大抵、学説を展開した人は自分の学説が何を解いているかを十分理解していないのだ。

 例えば、アインシュタインは、自分の展開した相対性理論から原子爆弾ができるなど思っていなかった。また、彼の量子論から世界が非決定的であるという結論がでるとは思っていなかった。シュレーディンガーも波動方程式が何を説明しているか理解していなかったのだ。

 後に、後知恵的に、別の人が相対性理論から原子爆弾が作れることを発見したのた。また、コペンハーゲンの研究者たちが、アインシュタインの論文から、非決定論的な解釈が可能なことを後知恵的に発見したのであり、シュレーデインガー方程式を、後にマックス・ボルンが後知恵的に統計的な解釈を与えたのだ。

 このことを、応用すると、マッハルップが主張したように、インタビューは大した問題ではないことがわかる。社長本人もなぜ成功したかわかってないのだ。それを、研究者が理論を使って後知恵的に発見し、説明するのである。

 ポパーの世界3理論について理解していると、私の議論はすぐに理解できると思う。われわれ研究者は、むしろ大いに後知恵的に理論や人間の行動や現象を分析し、新しい説明や解釈を展開しなければならないのだ。

菊澤 研宗: 組織の不条理 - 日本軍の失敗に学ぶ (中公文庫 き)

菊澤 研宗: 組織の不条理 - 日本軍の失敗に学ぶ (中公文庫 き)

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