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2018年9月16日 (日)

日独の違い

    新潟で開催された日本経営学会全国大会で、統一論題のコメンテータをした。

  ドイツ・ミュンヘン大学教授のバルデンベルガーさんが、日本とドイツはたくさん同じ点があるが、次の点が異なるという。ドイツ企業では、外部からたくさん取締役や管理者を採用するが、日本は内部昇進ばかりだという点だ。外部市場も利用しないのは、非効率的だというのだろう。

 したがって、政策として「日本は、外部労働市場を育成し、日本企業はもっと外部から管理職を採用すべき」という興味深い提案をしていた。

 しかも、このことは、次のことを意味するというのだ。

「今の日本の企業人は、自分のキャリアを人事部に委ねているが、自分のキャリアは自分のものにすべきである」

  実に、興味深い鋭い指摘だと思った。そこで、私は、次の質問をした。

 「つまり、日本人はいいかげんに集団主義を止めて、個人主義に移行すべきだということでしょうか?」

  さすがに、日本通のバルデンベルガーさんも、そんなに簡単ではないことを認識したようで、返答はなかった。
 
  さて、米国では、個人主義的に、個別労働契約を行うので、契約に書かれてないことはしないし、明確に言われないことは(命令されないと)しない。つまり、忖度しないのだ。
 
  しかし、日本の場合、個別労働契約はあいまいなので、結局、集団組織の中であれこれ忖度し、言われなくても、行うことになる。ある意味で、面白い社会である。

菊澤編著: ダイナミック・ケイパビリティの戦略経営論

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