働き方改革の不条理
経済学者によると、今日、日本人は割に合わない労働活動を行っているようだ。つまり、やりすぎ。働いている労働の割には、商品が安い。サービスが安いという。だから、経済学的に割に合わないのである。この傾向は、「おもてなし」という名のもとに隠れているという。
したがって、割にあうように、労働時間を減らすことが政策となる。あるいは、製品やサービスの価格を上げることが政策になるのだろう。
しかし、経済学的に割に合う労働を追求すると、人間は不条理に陥ることになる。つまり、経済的に効率的であるが、不正を犯すのだ。
たとえば、安全性問題の例が分かりやすい。原発事業のように、完全安全性を追求すれば、経済学的にコストが最大化となり、このビジネスはわりに合わないのだ。経済学的にわりに合うようにするには、安全性に関して手抜きをすることになる。手抜きの安全性が経済合理的という不条理に陥ることになる。
日本人は、これまで経済学的に割に合わないビジネスを行ってきたということは、決して悪いことではないのだ。そこに、日本企業の文化や伝統があるのかもしれない。長時間労働が良いわけではないが、こういった側面も観る必要があるように思える。
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