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新制度派経済学と限定合理アプローチの本

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2017年4月 6日 (木)

完全合理性と限定合理性

(1)完全合理性の新古典派経済学、
(2)サイモンの限定合理性の意思決定プロセス理論、
(3)ウイリアムソンの限定合理性の取引コスト理論...
の違いはどこか?

(1)完全合理性のもとでは、人間は最大化利益をもたらす方法を瞬時に計算して選択できる。そのような最適方法にもとづいて人間は行動するという。

(2)サイモンによると、限定合理的な世界では、最大利益をもたらす方法を計算によって決定できない。したがって、満足する方向に向かって進むような意思決定(心理)プロセスが存在し、それに従って人間は行動するという。

(3)ウイリアムソンによると、限定合理的な世界では、取引コストを含む形で利益を最大化する方法を選択して人間は行動するという。

以上のように、3つは微妙に異なるのであり、この違いは理論史を学んでいないと理解できない。

最近、流行りのダイナミック・ケイパビリティをめぐって、ネオ・カーネギー学派、とくにガベッティは(2)の立場から心理学的な研究を進めている。ティースは(3)の立場であり、私の『組織の不条理』も、もちろん(3)の立場に立っている。つまり、(2)の心理主義を避けている。なぜか。心理主義的な議論は反証可能性がない可能性があるからである。

このような議論をすると、米国の組織論者(社会学系)研究者に怒られそう・・・・

菊澤 研宗: 組織の不条理 - 日本軍の失敗に学ぶ (中公文庫 き)

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