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2017年4月14日 (金)

ガダルカナル化の意味(菊澤著『組織の不条理』)

  拙著『組織の不条理』では、日本軍の事例から2つの不条理パターンを理論的に説明しています。(1)ガダルカナル化現象、(2)インパール化現象です。

ここでは、(1)について簡単に説明します。

  大東亜戦争におけるガダルカナル戦というのは、日本軍が近代兵器を具備する米国軍に対して、まったく非効率な日露戦争以来の白兵突撃(銃剣突撃)を3回行って、壊滅した最悪の戦いです。なぜ日本軍は、非効率的な白兵突撃を3回も行い、まったく同じ結果を招いたにもかかわらず、なお4回目の突撃も計画したのか。

  いろんな解釈が可能ですが、拙著「組織の不条理」では、新しい組織の経済学理論を用いて以下のように解釈できることを説明しています。

  日本軍は、日露戦争の大勝利によって、以後、長年、白兵突撃戦術に磨きをかけ、この戦術にかかわる教育、研究開発、組織、戦術などに多額の資金を投入してきた。つまり、白兵突撃というパラダイムの生産性を極限まで高めてきた。

  ところが、がダルカナル戦で米軍と戦った時、まったく役に立たなかった。このとき、この白兵突撃戦術を変更できたか?おそらくできなかった。なぜか。

  変更すると、これまで投資した資金が回収できないこと、さらに白兵突撃をめぐってたくさんの利害関係者が存在し、彼らを説得するコストが非常に高いこと、これらのコストとベネフィットを考えると、変更しない方が合理的になる。こうして、ガダルカナル戦での日本軍は合理的に失敗したのである。これを、組織の不条理という。

  「ガダルカナル化現象」というのは、たとえ現状の研究開発やビジネスが非効率的であることを認識しても、これを止めると、(1)これまで投資してきたお金が回収できないこと、(2)現状にメリットを得ている人々を説得するコストが高いこと、そのために非効率な現状に留まる方が合理的と考えて、失敗する現象のことです。

菊澤 研宗: 組織の不条理 - 日本軍の失敗に学ぶ (中公文庫 き)

菊澤 研宗: 組織の不条理 - 日本軍の失敗に学ぶ (中公文庫 き)

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