ガダルカナル化現象としての東芝
いま、ガダルカナル化現象として東芝について研究中です。絶対に倒産しない企業の一つと思われていた東芝がいま危機的状況にある。
あれだけ巨大化企業だから、トップ経営陣も優秀なはずだ。馬鹿な人はなれないだろう。しかし、そのような優秀な人たちが、なぜ絶対につぶれないという企業を危機的状況に導いたのか。ここが問題である。
この現象こそが、ガダルカナル化現象なのである。不条理な現象なのである。これについては、以下の拙著を参考にしてほしい。
菊澤 研宗: 成功する日本企業には「共通の本質」がある 「ダイナミック・ケイパビリティ」の経営学
最新作です。アマゾンで予約可能になりました。
菊澤編著: ダイナミック・ケイパビリティの戦略経営論
最新の戦略経営論です。戦略経営論に関心のある人には、必読です。
菊澤研宗: 改革の不条理 日本の組織ではなぜ改悪がはびこるのか (朝日文庫)
拙著『組織の不条理』の姉妹編です。現代の不条理現象を分析しています。
菊澤 研宗: 組織の経済学入門 改訂版
改訂版です。ほとんど同じですが、少しクールな感じです。
菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理
2016年2月で5刷となりました。
菊澤研宗: ビジネススクールでは教えてくれないドラッカー(祥伝社新書)
ドラッカー、カント、小林秀雄です。
野中 郁次郎: 失敗の本質 戦場のリーダーシップ篇
私の論文も掲載されていますので、ぜひ読んでみてください。
David J. Teece: Dynamic Capabilities and Strategic Management
最近、注目されているダイナミック・ケイパビリティの本
経営哲学学会: 経営哲学の授業
経営哲学の本がやっとできました。面白いですので、ぜひ買ってください。 (★★★★★)
菊澤 研宗: 「命令違反」が組織を伸ばす (光文社新書)
東電の吉田所長の行動の意味を理解するために、読んでもらいたい。
菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)
キュービックグランドストラテジーについて知りたい人はこれを読んでください。
菊澤研宗: なぜ「改革」は合理的に失敗するのか 改革の不条理
私の新著です。読みやすくなっています。関心のある人はぜひ一読お願いします。
NHKスペシャル 日本人はなぜ戦争へと向かったのか 上
NHKスペシャルの本
TVでは見れない私のインタヴューが掲載されています。
菊澤 研宗: 企業の不条理
新著です。
菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)
新書『戦略の不条理』をさらに詳しく知りたい人
ガバナンスの比較セクター分析―ゲーム理論・契約理論を用いた学際的アプローチ (比較経済研究所研究シリーズ)
この本の第4章を書いています。 (★★★★★)
週刊ダイヤモンド別冊 歴学(レキガク) 2010年 1/11号 [雑誌]
コラムに、ヴェーバーのプロ倫について書きました。
菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書 426)
祝!はやくも増刷
孫子、山本七平、クラウゼヴィッツ、リデルハート、ロンメル、ハンニバル、ナポレオンについて解説し、新しい戦略の哲学、キュービック・グランド・ストラテシー(立体的大戦略)を提唱する。 (★★★★★)
菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)
もうすぐ発売されます。「文庫化のためのあとがき」をぜひ読んでください。 (★★★★★)
神田 昌典: 10年後あなたの本棚に残るビジネス書100
拙著『組織の不条理』も100に選ばれています。 (★★★★★)
菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理
祝2刷です。
菊澤研宗: 新著『戦略学』ダイヤモンド社
やっと発売されました。私の新しい本です。この本では、世界を物理的世界、心理的世界、知性的世界に分けて考え、従来の戦略論が物理的世界を対象とするものにすぎないこと、また心理的世界を対象としているのが行動行動経済学、さらに知性的世界を対象としているのが取引コスト理論だとし、何よりも企業が生き残るにはこれら三つの世界にアプローチするような立体的大戦略(キュービック・グランド・ストラテジー)が必要だということを説明しています。というのも、ひとつの世界だけを対象にした戦略だけでは、別の二つの世界で変化が起こったとき、淘汰されてしまうからです。
(★★★★★)
菊澤 研宗: なぜ上司とは、かくも理不尽なものなのか (扶桑社新書 16)
新書『命令違反が組織を伸ばす』の現代企業版です。
こちらの方がやさしく書いてあるので、関心のある人はぜひ買ってよんで見てください。その後で、『命令違反』を読むと、分かりやすいかもしれません。 (★★★★★)
菊澤 研宗: 「命令違反」が組織を伸ばす (光文社新書 312)
組織内の人間は、ある程度、失敗することが予測できたとても、そこに行かざるをえないことがある。このような失敗を「不条理な失敗」と呼びたい。このような不条理な失敗を回避する最終解決案は「命令違反」である。命令違反は常に悪しきものではなく、良い命令違反もある。そのような命令違反をも扱う新しいマネージメントが必要であることを、太平洋戦争の日本軍を事例にして説明する。 (★★★★★)
菊沢 研宗: 組織の経済学入門―新制度派経済学アプローチ
祝!5刷です。
最新の私の単著です。
取引コスト理論、エージェンシー理論、所有権理論をやさしく解説した本、その他、進化経済学、行動経済学、法と経済学、ゲーム理論にも触れていますので、お買得です。 (★★★★★)
菊澤研宗編著: 組織の経済学―業界分析
現在3刷です。
これは社会人学生とのコラボレイトでできた私菊澤のはじめての編著の本です。
新制度派経済学にもとづいて、メディア産業、化学産業、酒類産業、コンサル業界、ベンチャー・キャピタル、ヘッジファンド・・・・・・・・・・を分析しています。
(★★★★★)
デビッド ヴァイス: Google誕生 —ガレージで生まれたサーチ・モンスター
グーグルには関心をもっています。
Chris Anderson: The Long Tail: Why the Future of Business is Selling Less of More
ローングテールの本です。 (★★★★★)
菅谷 義博: 80対20の法則を覆す ロングテールの法則
ロングテールの法則は話題になっていますが、
私はこの本を未読。
ロングテール戦略行動は心理会計的に説明できると思います。ただし、その行動が成功的かどうかはわかりません。
不条理なコンピュータ研究会: IT失敗学の研究―30のプロジェクト破綻例に学ぶ
私の論稿も載っているので、関心のある方はぜひ読んでみてください。不条理のIT版です。 (★★★★★)
小林 秀雄: モオツァルト・無常という事
小林秀雄のモーツアルトの批評は絶品 (★★★★★)
スティーヴン・レヴィット: ヤバい経済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する
シカゴ大学の先生らしい本のようです。
Rose Friedman: 選択の自由―自立社会への挑戦
シカゴ学派の総帥、フリードマンの古典。英知にあふれている。 (★★★★★)
リチャード・H. セイラー: 市場と感情の経済学―「勝者の呪い」はなぜ起こるのか
私の好きなR.セーラーの行動ファイナンス、経済心理学の本です。 (★★★★★)
真壁 昭夫: 最強のファイナンス理論―心理学が解くマーケットの謎
行動ファイナスの入門書です。 (★★★★)
ヨアヒム・ゴールドベルグ: 行動ファイナンス―市場の非合理性を解き明かす新しい金融理論
行動ファイナンスの入門書。非常にやさしく、わかりやすく説明してあります。 (★★★★★)
多田 洋介: 行動経済学入門
経済心理学の入門書。 (★★★★★)
小林 秀之: 「法と経済学」入門
法と経済学分野の定番、非常にわかりやすく説明してあります。 (★★★★★)
宍戸 善一: 法と経済学―企業関連法のミクロ経済学的考察
法という制度を経済学的に分析する分野のやさしい教科書。 (★★★★)
キム・クラーク: デザイン・ルール―モジュール化パワー
モジュール組織論を最初に言い出した本 (★★★★★)
国領 二郎: オープン・アーキテクチャ戦略―ネットワーク時代の協働モデル
気になる本です。 (★★★★★)
青木 昌彦: モジュール化―新しい産業アーキテクチャの本質
この本は、最新の組織デザイン論を扱っている面白い本です。 (★★★★★)
ジェイ・B・バーニー: 企業戦略論【上】基本編 競争優位の構築と持続
バーニーの戦略論も大幅に取引コスト理論やエージェンシー理論を取り入れています。ただ少し、中身がだらだらしている感じです。
デビッド J.コリス=モンゴメリー: 資源ベースの経営戦略論
この本は、戦略の経済学に近く、新制度派の諸理論を取り入れています。モンゴメリーの夫が、リソース・ベイスト・ヴューの開発者の一人、ウエルナー・ワーナフェルトだとは知りませんでした。
オリバー・E. ウィリアムソン: 現代組織論とバーナード
これは、ウィリアムソン編著の論文集です。ここには、オリバー・ハートの論文が入っています。ただし、訳にかなり問題あり。
オリヴァー・イートン・ウィリアムソン: 市場と企業組織
ウイリアムソンの初期の取引コスト理論の翻訳です。 (★★★★★)
Sytse Douma: Economic Approaches to Organizations
これ3版ですが、4版がでているようです。この本は、組織の経済学のやさしい教科書です。ただし、所有権理論が欠如しています。 (★★★★★)
エドワード・P. ラジアー: 人事と組織の経済学
人事に関する経済分析の本です。 (★★★★★)
Eirik G. Furubotn: Institutions And Economic Theory: The Contribution Of The New Institutional Economics (Economics, Cognition, and Society)
この本は新制度派経済学を広く網羅していると思います。筆者はドイツ系の学者です。フルボトンは、所有権理論で有名な人です。 (★★★★★)
Michael C. Jensen: A Theory of the Firm: Governance, Residual Claims, and Organizational Forms
この本は、マイケル・ジェンセンの実証的エージェンシー理論の論文集です。エージェンシー理論によるコーポレート・ガバナンス分析に関心ある人は必読です。
Harold Demsetz: The Organization of Economic Activity
これは、デムゼッツの所有権理論の論文集です。すばらしい論文集です。 (★★★★★)
柳川 範之: 契約と組織の経済学
この本は、所有権理論やエージェンシー理論を中心とする最新の研究を非常にやさしく解説した本であり、初心者でも読みやすくなっています。ただし、取引コスト理論の説明はありません。 (★★★★)
ダグラスC. ノース: 制度・制度変化・経済成果
この本は、所有権理論を歴史に応用し、ノーベル賞を受賞したダグラス・ノースの本で
す。ここでは、制度変化について説明していますが、内容はかなり難解でいくぶんもやもやした感じです。しかし、多くのインプリケーションがありますので、ぜひ読んでみる価値があると思います。
(★★★★★)
デイビッド ベサンコ: 戦略の経済学
この本は、取引コスト理論、エージェンシー理論、所有権理論を数学をほとんど使わないで比較的わかりやすく説明し、応用しています。数学を使っていないために、逆にだらだらした感じもしますが、上記の「組織の経済学」と併用するとよいと思います。とくに、この本では、企業の境界問題が充実していると思います。
(★★★★★)
ポール・ミルグロム: 組織の経済学
組織の経済学で最も有名な本です。内容は非常に充実しています。しかし、私の個人的な感想からすると、かなり読みづらい本でもあります。とくに、ミクロ経済学にふれたことのない人には、つらい本かもしれません。みんなで一緒に読むことを勧めます。
(★★★★★)
Jack J. Vromen: Economic Evolution: An Enquiry into the Foundations of New Institutional Economics (Economics As Social Theory)
このブローメンの本は、進化経済学をうまくまとめています。現在、進化経済学の研究は、アルチャンのダーウイン主義、ネルソンーウインターのラマルク主義、進化ゲーム論の三つの方向がありますが、これらをうまくまとめています。しかも、ヨーロッパの研究者らしく私の好きなポパーの進化論的認識論についても言及しています。
(★★★★★)
Richard R. Nelson: Evolutionary Theory of Economic Change (Belknap Press)
この本は進化経済学の原点となる本の一つです。非常に有名な本ですが、いまだ翻日本語に訳されていません。私が留学していたニューヨーク大学スターン経営大学のドクターコースの学生が私に奨めていた本です。この進化論の分野は、非常におもしろいので、今後、もう少し研究する必要があると思っています。
Oliver Hart: Firms, Contracts, and Financial Structures (Clarendon Lectures in Economics)
この本は、オリバー・ハートの有名な所有権理論の本であり、契約理論の原点といわれている本です。やや数学的です。契約理論に関心のある人は、この本を避けて通ることができないでしょう。ハートの顔を写真で見ましたが、とてもスマートな上品な感じがしました。彼によると、この分野は数学的に定式化するのが難しい分野で、かなり苦労しているとコメントしていました。このハートの著書に関して、上記のデムゼッツによる批判的書評もおもしろいので、ぜひ併読を勧めます。
(★★★★★)
John W. Pratt: Principals and Agents
この本の中にアローのエージェンシー理論をまとめた有名な論文"The Economics of Agency"が入っています。この論文で、隠れた知識問題としてのアドバースセレクション現象と隠れた行動問題としてのモラルハザード現象が非常にうまく区別され説明されています。
Michael C. Jensen: A Theory of the Firm: Governance, Residual Claims, and Organizational Forms
この本は、実証的エージェンシー理論に関するジェンセンの論文集です。ジェンセンのエージェンシー理論の論文は、よく知られていますが、日本ではそれほど読まれていないのではないでしょうか。この本もじっくりと読んで見ると、エージェンシー理論によって会計、ファイナンス、組織が幅広く分析できることがわかってきます。
(★★★★★)
Oliver E. Williamson: The Mechanisms of Governance
この本は、取引コスト理論をコーポレート・ガバナンスの問題やコーポレート・ファイナンスに応用した論文集です。この本は、非常にインプリケーションが多い本だと思います。 (★★★★★)
ロナルド・H. コース: 企業・市場・法
この本は、取引コスト理論や所有権理論に関するコースの論文集。1937年に、つまり第二次大戦前に取引コスト理論の論文が発表されていたことに驚かされます。また、「法と経済学」という新分野の先駆けとなった論文「社会的費用の問題」の長さにも驚かされます。読む度に、新しい発見のある素晴らしい本です。数学では表せないコースの英知であふれています。とにかく、時間をかけてじっくり読んでみたい本です。
(★★★★★)
岩井 克人: 会社はこれからどうなるのか
この本は非常にいい本です。一度は読むべきです。 (★★★★★)
小佐野 広: コーポレートガバナンスの経済学―金融契約理論からみた企業論
組織の経済学的な議論がまとまっています。 (★★★★)
菊澤 研宗: 比較コーポレート・ガバナンス論―組織の経済学アプローチ
私の本です。 (★★★★★)
Jonathan P. Charkham: Keeping Good Company: Corporate Governance Ten Years On
チャーカムの有名なガバナンスの本
各国のガバナンス・システムが比較されている。 (★★★★★)
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いま、ガダルカナル化現象として東芝について研究中です。絶対に倒産しない企業の一つと思われていた東芝がいま危機的状況にある。
あれだけ巨大化企業だから、トップ経営陣も優秀なはずだ。馬鹿な人はなれないだろう。しかし、そのような優秀な人たちが、なぜ絶対につぶれないという企業を危機的状況に導いたのか。ここが問題である。
この現象こそが、ガダルカナル化現象なのである。不条理な現象なのである。これについては、以下の拙著を参考にしてほしい。
多くの人たちが、「限定合理性」という言葉に戸惑っているかもしれません。しかし、その言葉の真の意味を追求しても無意味です。無限後退するだけです。
科学における言語は、すべて現象を説明するための道具です。
以下のような理解も可能です。
完全合理性=ある種のコストXがなし=0
限定合理性=ある種のコストXが発生>0
合理的人間は損得計算し、もしプラスなら行動し、マイナスなら行動しない。
完全合理性の人間:ベネフィット>コストならば行動する
限定合理性の人間は、ある種のコストXも計算に含めるので、以下の不等式が成立し、完全合理性とは異なる行動をするのである。
限定合理性の人間:ベネフィット<コスト+コストX 行動しない。
これが、不条理現象なのである。
関心のある人は、拙著『組織の不条理』を読んでみてください。
東芝問題は、いろんな観点から分析できるが、問題の一つは東芝が原子力ビジネスを安倍政権(政府)と共有した点にある(所有権理論問題)。
あるビジネスを共有すると、ビジネスを効率的にマネジメントできない。なぜか。そのビジネスが生み出すプラスとマイナス効果も共有されるので、あえてマイナスを避けて、プラスを生み出すように、原子力ビジネスを効率的に扱わない。
つまり、マイナスがでても政府がなんとかしてくれると思うのだ。共有しているからだ。これが東芝だけの私的所有であったならば、プラスとマイナス効果は直接自分に戻ってくるので、原子力ビジネス(米国のWH)でマイナスがでたときには、すぐにマイナスを最小にするように効率的に処理したはずだ。東芝の占領統治(米国WH)の失敗なのだ。
この詳細については、拙著『組織の不条理』のあとがきを読んでほしい。
菊澤 研宗: 組織の不条理 - 日本軍の失敗に学ぶ (中公文庫 き)
また、拙著『組織の不条理』について、とてもうまくまとめた書評があるので、以下のコンサルティングファームのサイトを参考にしてほしい。
●WSA:拙著『組織の不条理』中公文庫の書評
著者『組織の不条理』中公文庫に関する解説がYoutubeに登場しているので、紹介します。コンピューターによる解説で、個人的に興は非常に味深いです。ぜひ一度、以下のサイトで視聴してほしいと思います。
●組織の不条理のサイト
拙著『組織の不条理』を通して、ぜひガダルカナル化現象(非効率的な現状を合理的に変化できない現象)やインパール化現象(絶対に失敗するとみんなが認識しているのに実行されていく現象)というものが、現在でもたくさん存在しているということを理解してほしいですね。
拙著『組織の不条理』で提唱している「インパール化」の意味とは、
日本人が好きな「あいまいな状況」や「あいまいさ」の中では、
良き人々が退出し、悪しき意図をもつ人々が表舞台にでてくるという現象のこと。
(進化論の自然淘汰の反対現象、逆淘汰:アドバース・セレクション現象のこと)
大東亜戦争でのインパール作戦とは、牟田口廉也中将が絶対に壊滅的な敗北となる作戦を提唱し、当然、それに多くの人々が反対したが、なぜか承認され、予想どおり、数万人の将兵が無駄死にした作戦のこと。
この作戦の承認プロセスでは、大本営が「作戦準備命令」というあいまな状態を続けて
いる間に、良識派はこの作戦は実行されることはないと考えて沈黙化し、悪しき政治的
意図をもつ人々は、この作戦が実行される可能性があると考えて、大声を出し始め、
結局、無謀な作戦が承認されるという最悪の作戦のこと。
●菊澤 研宗: 組織の不条理 - 日本軍の失敗に学ぶ (中公文庫 き)

拙著『組織の不条理』では、日本軍の事例から2つの不条理パターンを理論的に説明しています。(1)ガダルカナル化現象、(2)インパール化現象です。
ここでは、(1)について簡単に説明します。
大東亜戦争におけるガダルカナル戦というのは、日本軍が近代兵器を具備する米国軍に対して、まったく非効率な日露戦争以来の白兵突撃(銃剣突撃)を3回行って、壊滅した最悪の戦いです。なぜ日本軍は、非効率的な白兵突撃を3回も行い、まったく同じ結果を招いたにもかかわらず、なお4回目の突撃も計画したのか。
いろんな解釈が可能ですが、拙著「組織の不条理」では、新しい組織の経済学理論を用いて以下のように解釈できることを説明しています。
日本軍は、日露戦争の大勝利によって、以後、長年、白兵突撃戦術に磨きをかけ、この戦術にかかわる教育、研究開発、組織、戦術などに多額の資金を投入してきた。つまり、白兵突撃というパラダイムの生産性を極限まで高めてきた。
ところが、がダルカナル戦で米軍と戦った時、まったく役に立たなかった。このとき、この白兵突撃戦術を変更できたか?おそらくできなかった。なぜか。
変更すると、これまで投資した資金が回収できないこと、さらに白兵突撃をめぐってたくさんの利害関係者が存在し、彼らを説得するコストが非常に高いこと、これらのコストとベネフィットを考えると、変更しない方が合理的になる。こうして、ガダルカナル戦での日本軍は合理的に失敗したのである。これを、組織の不条理という。
「ガダルカナル化現象」というのは、たとえ現状の研究開発やビジネスが非効率的であることを認識しても、これを止めると、(1)これまで投資してきたお金が回収できないこと、(2)現状にメリットを得ている人々を説得するコストが高いこと、そのために非効率な現状に留まる方が合理的と考えて、失敗する現象のことです。
●菊澤 研宗: 組織の不条理 - 日本軍の失敗に学ぶ (中公文庫 き)

拙著『組織の不条理』中公文庫について、少し解説したい。
●従来の経済学の仮定では、すべての人間は完全に合理的であると仮定される。全知の人間が仮定され、常に最適な選択を行う人間である。このような完全合理的な人間世界では、効率性と正当性、個別と全体、短期と長期は一致することになる。それゆえ、不条理はおこらない。
●ところが、現実の人間は完全に合理的ではなく、不完全な情報しかえることができない。情報をたくさん得ようとすると、コストが発生する。つまり、人間の合理性は限られているのである。これを「限定合理性」という。
●このような限定合理性の世界では、効率性と正当性は一致する保証がない。一致させるには、コストがかかる。このコストの大きさを考えると、効率的だが不正であるという現象、個別合理的だが全体非合理な現象、短期的合理的だが長期的に非合理という現象が起こる。これが、不条理である。
●このような不条理がより具体的にどのように発生するのか。この理論的メカニズムについて説明し、いかにしてこのような不条理を避けることができるのか、これについて説明しているのが、拙著『組織の不条理』である。
関心のあるひとは、ぜひ一読お願いしたい。
菊澤 研宗: 組織の不条理 - 日本軍の失敗に学ぶ (中公文庫 き)

本日、拙著『組織の不条理』が日経新聞の広告に大きくでた。その後、アマゾンのランキングは急上昇して、4月12日2時40分現在、売上ランキングは77位となった。
ほんの一時的な現象だと思うが、あの名著『失敗の本質』を抜き、現在の中公新書の超人気本『応仁の乱』も抜いた。一時的な現象だが、うれしい。
ところで、私の昔からの知人で、一橋大学教授で有名な沼上さんがいるのだが、われわれの世代もいつのまにか年を取り、経営学会では次の世代がどんどん育ってきている。なんとなく、われわれは老兵という雰囲気があり、老兵は去るのみという感じもある。
しかし、沼上さんが、最近、本を出版し、大きく広告が出たとき、同じような世代の人間として非常にうれしく思った。そして、今回、私の本の広告も、中央公論新社のスタッフのおかげで、大きくでた。これは、うれしかった。
というのも、なんとなく、まだわれわれの世代は頑張っているのだということを示せたような感じで、うれしかったのだ。
次は、ダイナミック・ケイパビリティ論で行きます。もう少し、がんばろうかな。
菊澤 研宗: 組織の不条理 - 日本軍の失敗に学ぶ (中公文庫 き

(1)完全合理性の新古典派経済学、
(2)サイモンの限定合理性の意思決定プロセス理論、
(3)ウイリアムソンの限定合理性の取引コスト理論...
の違いはどこか?
(1)完全合理性のもとでは、人間は最大化利益をもたらす方法を瞬時に計算して選択できる。そのような最適方法にもとづいて人間は行動するという。
(2)サイモンによると、限定合理的な世界では、最大利益をもたらす方法を計算によって決定できない。したがって、満足する方向に向かって進むような意思決定(心理)プロセスが存在し、それに従って人間は行動するという。
(3)ウイリアムソンによると、限定合理的な世界では、取引コストを含む形で利益を最大化する方法を選択して人間は行動するという。
以上のように、3つは微妙に異なるのであり、この違いは理論史を学んでいないと理解できない。
最近、流行りのダイナミック・ケイパビリティをめぐって、ネオ・カーネギー学派、とくにガベッティは(2)の立場から心理学的な研究を進めている。ティースは(3)の立場であり、私の『組織の不条理』も、もちろん(3)の立場に立っている。つまり、(2)の心理主義を避けている。なぜか。心理主義的な議論は反証可能性がない可能性があるからである。
このような議論をすると、米国の組織論者(社会学系)研究者に怒られそう・・・・
私が指導した2人目の中国留学生。
劉さん、修士課程卒業、おめでとう。
よく頑張りました。
新社会人として、頑張ってください。
嬉しいこと、楽しいこと、悲しいこと。
何かあれば、また研究室に遊びにきてください。
さらなる飛躍を期待しています。
ーーーーーーーーーーーーーー
●これまでほとんど留学生を指導してこなかったが、UCバークレー留学後、2名の留学生を受けいれた。学部のゼミでも、たくさんの外国人留学生を受けいれた。なかなか興味深い経験でした。
●しかし、ゆとり世代が終わり、今年から、また完全に日本人の世界にもどった。留学生はいない。日本人の大学院生、そしてすべての日本人学生からなるゼミナール。どんな世界なのか、異なる意味で楽しみである。
●新学期が始まるが、今年度も頑張りたい。
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