ポパーとクーンの科学観
僕が、大学時代には、社会科学、とくに経済学や経営学の科学性が問題視されていた。特に、マルクス経済学だ。
経済学は科学か?経営学は科学か?この問題を解くために、僕はポパーの批判的合理主義という科学哲学を学んだ。だから、商学部の学生だったが、経営学のことはまったく知らず、ひたすら「科学とは何か」を研究していた。
ポパーは、科学的言明や科学的命題について厳密に議論する。その論理性は非常に徹底している。彼の結論は、科学的言明とは、実証可能性ではなく、反証可能性であった。経験的にテストする意義のある言明が科学的だという。
これに対して、トマス・クーンは科学と呼ばれるものは、言明ではなく、何か「構造」をもつものだという。彼はそれを「パラダイム」といった。それは、成功のフレームワークというもので、厳密には定義できない。それは、法則や成功事例や実験の仕方などが含まれる。科学者はそのようなものとにもとづいて答えのある問題を解くようなものだという。
ポパーの方が論理的であるが、現実はクーンのいうことが当たっているように思える。クーンのパラダイム論を再考したいと思っている。というのも、そこに不条理が潜んでいるからである。
« 拙著「組織の不条理] | トップページ | 論理実証主義と科学の限界 »
「11)ポパーとカントの哲学」カテゴリの記事
- ヴィットゲンシュタインとカント(2020.12.01)
- カントとフランクフルト学派(2020.10.08)
- 目的合理性と価値合理性の再説明:ヴェーバー、カント(2017.09.20)
- 論理実証主義と科学の限界(2017.03.21)
- ポパーとクーンの科学観(2017.03.19)