カント、ドラッカー、小林秀雄、そして反特攻
カントが発見した人間組織の原理とは、シンプルである。「自分の目的を達成するために、他人をモノや動物のようにあつかうべきでない(単なる手段とするな、あくまで一人の人間として扱え)!」である。これを、ドラッカーは「真摯さ」といい。小林秀雄は「大和心」という。
ある日の作戦会議で、速度の遅い練習機も含めて、「芙蓉部隊」の沖縄「特攻」作戦が議論された。このとき、若き美濃部少佐は異議を申し立てる。これまで航空攻撃をたくさん経験している美濃部は、特攻がもはや効果がないことを知っている。ましてや、練習機などは速度が遅すぎて無意味。
特攻ではなく、別の作戦を!「夜間攻撃」をさせてほしいという。一生懸命練習している姿を見に来てほしいという。特攻を拒否した部隊として知られているが、「特攻」自体を否定したのではない。美濃部少佐は、「隊員はだれも死ぬことなど恐れていません」という。「死ぬ意義がほしい」という。「部隊」を人間として扱ってほしい、単なるモノや手段と見ないでほしいと訴えた美濃部少佐がいい。泣けてくる。
●慶應MCC
菊澤:リーダーの条件講座
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