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2016年10月10日 (月)

連帯責任制度の功罪:不条理な制度

ある知り合いから、高校野球の連帯責任制度についてのコメントを求められたので、私の考えを紹介します。

 

もし集団の一人が問題を起こすと、他のメンバ―も責任を取らなければならないという連帯責任制度は、大変、興味深い制度です。

 

この制度の面白さは、問題が起こる前と問題が起こった後では、この制度の効果が異なる点です。

 

(1)問題が起こる前:この制度のもとに、各メンバーは、他人に迷惑をかけないように問題を起こさない範囲で行動しようと努力する。したがって、この制度は個々人の道徳的行動を促すような効果を持っています。(他人の自由を侵さない人間主義)

 

(2)ところが、問題が起こると、この制度は変貌します。集団主義的で悪徳的な行動を促す制度になります。ある人の失敗が他のメンバ―の失敗にもなるので、集団で相談し、損得計算し、その結果、100%失敗を隠ぺいすることが合理的となり、組織的隠ぺいが発生します。それは悪徳的であるが、合理的なのです。つまり、合理的不正という不条理が発生します。(損得計算主義・経済合理主義)

 

ここで、もし経済学が仮定しているように、すべての人間が完全に合理的ならば、(1)となり、この制度は個人主義と道徳的行動を促進する良い制度であるといえます。

 

しかし、実際には、人間は限定合理的なので、(2)が起こりうるのです。したがって、この制度は、悪しき集団主義を促進し、組織の隠ぺい体質を育成する役割を果たすことになる不条理な制度といえるでしょう。

 

このような制度を維持するべきかどうか。これは大変難しい問題です。というのも、(1)の効果も持っているからです。

 

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