慶応大学菊澤ゼミナールHP

私の趣味

私の著書

新制度派経済学と限定合理アプローチの本

経営哲学学会HP

« 2016年3月 | トップページ | 2016年5月 »

2016年4月

2016年4月16日 (土)

ダイナミック・ケイパビリティ論は戦略論か、経営論か

 ダイナミック・ケイパビリティ論については、たぶん多くの人がそれを経営戦略論の流れの中に位置づけているように思える。

 しかし、デイビット・ティースの最近の論文を読んでいると、ダイナミック・ケイパビリティと戦略は異なると主張している。そして、ルメルトの良き戦略とダイナミック・ケイパビリティが結びついて、持続可能な優位性を企業は獲得できると考えているようだ。

 だとすると、ダイナミック・ケイパビリティ論は戦略論というよりも、マネジメントに関係しているように思える。

 「ダイナミック・ケイパビリティ・マネジメント」あるいは「ダイナミック・ケイパビリティ経営学」というのが、今後の方向かもしれない。

(1)環境・状況認識

(2)自社内の競争優位資源(VRIN)

(3)良き戦略(ルメルト)

これら3つを結びつける働きをしているのが、ティースのダイナミック・ケイパビリティなのである。

●ダイナミック・ケイパビリティに関心のある人は、以下を参考に。」

菊澤 研宗: 組織の経済学入門 改訂版

菊澤 研宗: 組織の経済学入門 改訂版

2016年4月 3日 (日)

日本の経営学関連学会の今後

 若い時から日本の経営関係学会に参加してきた。そして、いつの間にか、年配というか、年寄になってしまった。気持ちは若いのだが。

 この間、日本の学会も、学会を盛り上げるために、頑張ってきたと思う。一時、欧米の文献研究が中心であったために、実務に役に立たないといわれた。

 これを反省し、学会に実務家を呼ぶようになった。これは、ある程度、効果があったと思う。しかし、やがて、気が付いた。実務家は自分の企業についての話をせずに、一般論を語ることが多いということだ。だから、当然、飽きてくる。

 次に、学会を盛り上げるために、これまでの慣例を破り、若手に登壇の機会を増やし、学会を盛り上げようとした。これも、一時的に効果があった。しかし、やはり若手の議論には限界がある。

 そして、今は無理やりでも英語で報告するような機会を提供したり、女性研究者に登壇してもらったりして、学会を盛り上げている。

 しかし、最近、思うことは、いずれもテクニカルな方法にすぎないのではないかということだ。もうそろそろ、知識と知識、頭脳と頭脳で競うような本当の知的議論をすべきではないか。

 そのために、年配の研究者はもう自分たちの時代ではないといって、手抜きで報告してはならないと思う。あるいは、傍観者であってはならない。年配者として先導すべきではないか。

 本当の研究、本当の学問とはこんなものだ!ということを若い人たちに示さなければならない時期がきているのではないか。

 

2016年4月 2日 (土)

経営学は理論科学か、技術科学か、規範科学か

 昔、ドイツでは経営学の学問としての方向性をめぐって論争が起こった。というのも、経営学が経済学者によって「金儲け学問」として批判されたからだ。

 当時、3つの方向性が打ち出された。

(1)現実を理論的に説明することを目的とする理論学派

W.リーガー

(2)企業をめぐる病理現象を治す医学的な技術学派

E.シュマーレンバッハ

(3)企業にあるべき姿を示す規範学派

H.ニックリッシュ

  私の先生は、(1)の理論学派、特にリーガーを推進していたので、弟子として私も(1)の立場にあった。しかし、先生が亡くなり、自分自身も年を取ると、(2)の立場になり、さらに企業の病理を治すには、(3)の立場も必要だという考えにいまでは至っている。

  私の先生は若くして亡くなったのだが、実は最後は(2)の立場にいたように思える。というのも、ある出版社が、学説研究シリーズを企画しているとき、私の先生はリーガーではなく、「シュマーレンバッハ」を選んでいたからだ。

 「菊澤君、シュマーレンバッハだったら書くよ、いったんだよ」と笑っていっておられた。

 その後、先生は慶大図書館にあるシュマーレンバッハの本を全部集めていた。しかし、その本は出版されることはなかった。すでに癌が先生を蝕んでいたからである。

  シュマーレンバッハは、20世紀のドイツ自由経済社会が拘束経済社会へと変貌していることを病理現象とみなした。価格が自由に変化しない不健全な経済だ。そして、それが個別企業の固定費増加にあるとみなし、固定費削減政策こそが経営学の課題だと考えた。

 私は、企業の病理を「不条理」とみなしている。それは、全体と個別の不一致、効率性と正当性の不一致、短期と長期の不一致である。この不条理の原因と解決を菊澤経営学の課題だと思っている。

 この不条理を解決するために、新制度派経済学が必要であり、経営哲学が必要なのであり、そしてダイナミック・ケイパビリティが必要だと思っている。

菊澤 研宗: 組織の経済学入門 改訂版

菊澤 研宗: 組織の経済学入門 改訂版

 

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤研宗: ビジネススクールでは教えてくれないドラッカー(祥伝社新書)

菊澤研宗: ビジネススクールでは教えてくれないドラッカー(祥伝社新書)

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

« 2016年3月 | トップページ | 2016年5月 »

2019年11月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30