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2015年7月26日 (日)

組織の多様性の意味

  バカの一つ覚えのように、イノベーションとは新結合だと規定し、そのために多様性が必要だという。その具体的方法として喧伝しているのは、少なくとも以下の3つ。

(1)組織内に女性の数を増やすこと

(2)外国人を増やすこと。

(3)薄い結びつきの関係を増加すること つまり、多少性を拡大し、促進すること。

 これにしたがって、いろんな組織が努力しているが、結果としてはあまりいい話を聞いていない。また、理論的にも証明されていない。

 私自身、この現象を理論的に説明するには、弁証法が論理的にあるいは経験的に正しいことを説明する必要があるように思える。しかし、それはうまくいっていない。

 私は、多様性によってイノベーションが促進されるとは思っていない。あくまでもバランスだと思う。なぜバランスが必要なのか。それは、組織の暴走を抑止するからだ。組織メンバーが同質的だと、組織は暴走しやすいのだ。その暴走を促進するのは「空気」を読めることである。

 多様性がある組織には、空気が読めない人がいるということだ。こうして、組織の暴走は阻止されることになる。女性の管理職や外国人が増えると、組織は暴走しない。しかし、そのことは、別の側面からすると、組織内に摩擦が起こることを意味する。摩擦とは、取引コストである。

 スムーズに運営される組織と暴走する組織は紙一重だ。批判する人、文句を言う人を追い出した組織はスムーズに運営されてきくが、何か怖いと思うことがあるものだ。 

   企業は、多様性にイノベーションという幻想を抱くのをやめた方がいいのではないかと思う。むしろ、企業の暴走を阻止するコーポレート・ガバナンスの役割を期待した方がいいかもしれない。

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

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