慶応大学菊澤ゼミナールHP

私の趣味

新制度派経済学と限定合理アプローチの本

経営哲学学会HP

« 現在の経営学を支配する4つのビッグ・アイディアとは | トップページ | 三菱UFJ R&C主催の講演会終了 »

2014年12月13日 (土)

自由をめぐるすべての道はカント哲学にある

 ヴェーバーは、西洋の近代化を「エートス(倫理)」によって価値合理的に発生したと説明した。この場合、価値合理性とはカントの実践理性(自由意志)を利用した。

 フロムは、同じ西洋の近代化を自由からの逃避として説明しようとした。この場合の「自由」もカントだ。

 カントは自由を自律性のことだと主張した。それは、外部の原因に囚われないという意味で、「消極的自由」であるとともに、自らを原因として始めるという意味で「積極的にも自由」だと主張した。

 フロムは、このカントの二つの自由の概念を利用し、人間は消極的自由(~からの自由)を獲得できるが、積極的自由(~への自由)を行使しようとすると、選択に困り、不安と孤独に陥る。こうして、自由から逃避するというのだ。

 この不安と孤独を回避するために、プロ倫はひとびとに仕事に邁進せよという教えを与え、資本主義は発展し、やがて独占資本化がおこり、人々は大企業の歯車化していき、全体主義化していったという歴史観。

 なんと壮大な。さすが、1940年代の「ニューヨーク知識人」のひとりだ。

●ダイナミック・ケイパビリティの連載

http://www.dhbr.net/articles/-/2965

++++++++++++++++++++

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

David J. Teece: Dynamic Capabilities and Strategic Management

David J. Teece: Dynamic Capabilities and Strategic Management

« 現在の経営学を支配する4つのビッグ・アイディアとは | トップページ | 三菱UFJ R&C主催の講演会終了 »

11)ポパーとカントの哲学」カテゴリの記事

2025年1月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31