丸ノ内アゴラ講座:自由と組織
本日は、最後の丸の内アゴラ講座。これまで「組織と自由」という難しいテーマで行ってきた。
行動経済学的にいうと、人間は「言い方」(フレーミング効果)に依存してしまう。たとえば、「批判」という日本語は、日本人にとっては「非難」「否定」に近くなる。英語では「critical」なので、「限界的」「重要な」「きわどい」などの意味になる。もちろん批評とかもあるが・・・・
同様に、「自由」という言葉は、日本人は「なんでもできる」「無制約」というヘーゲル的な意味に近い。しかし、カントの「自由」はそうではなく、日本語でいうと「自律」という意味だ。
このように理解すると、カントにとって、人間はどこまで「自由」が可能かという問題設定はない。カントにとって、「自律」は人間としての義務であり、人間としての証である。動物や物体に「自律」はないからである。
それゆえ、人間が自律的に組織のメンバーとなっているような組織は強い。人に言われたからとか、お金につられたからとか、親に言われたから、その組織のメンバーになっているわけではないからである。
こういった意味で、強い組織には人間の自律性つまり自由は必要なのである。
菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)
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