若い学者から年配の学者へと変化していくのだが
実は、自分自身、まだ若いつもりでいるのだが、やはり年配の研究者になりつつある。これは否定できない。そして、自分の研究の関心も変化していることも理解している。
だから、私が教えた学生は、そのときどきの私の研究関心事を学んでいて、いまの私の研究については知らない。
たとえば、私は若いとき、科学哲学を研究していたので、防衛大の私の教え子たちは、私からポパーの科学哲学について学んでいる。経営学の講義でも、科学哲学を徹底して教えていた。
その後、米国留学から帰国し、新制度派経済学に関心が変化した。だから、その後の学生たちは新制度派経済学を私から学んでいる。
そして、今年、UCバークレーから帰国し、新制度派経済学の限界から、カントやドラッカーの哲学的経営学に関心が変化しつつある。そして、ダイナミック・ケイパビリティ。さらに、統計学基づく米国流実証経営学批判などなど。
だから、いまのゼミの学生は少々大変で、新制度派経済学、哲学的経営学、さらには科学哲学、そして統計学まで学んでいるのだが・・・・いったいどうなってしまうのでしょうか。パワーポイントによる発表も、みんな達人になっている。
今年の合宿で、驚いたのはたくさんの学生が「無限後退」という言葉を使っていたことだ。これは、科学哲学者K.R.ポパーの得意な言葉なのだ。
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