合宿、取引コスト、自律、そして責任
3泊4日のゼミ合宿が終わり、先ほど、帰宅。少し疲れたが、よい気分転回ができた。前期はずっと、忙しくて、何となく日々追われている感じだった。
今年の日本陸軍をめぐるケース・スタディーは、これまでにない新しい分析をするチームが現れて、とても良かった。
(1)一つは、取引コストを削減する効率的な軍事組織が必ずしもいいとは限らないということ、ある程度取引コストが高い組織の方いいという指摘。
(2)もう一つは、命令と服従にもとづく他律的な軍事組織ではなく、メンバーの自律的な行動を引き出す自由と責任の原理にもとづく組織の重要性を指摘したこと。
これらは、一見、関係ないように見えるが、実は同じことを言っている。
(1)取引コストに囚われてコストを節約するようなメンバーからなる組織は、他律的組織であり、問題を起こしたときには、「利益を高めるために」とか、「コストを下げるために」とか、言い訳ができるので、責任の概念が成り立たない無責任な組織となる。また、効率性を追求しすぎて、伝達プロセスを省略し、独裁になること。したがって、効率性を得るために、正当性を無視すること。
(2)これに対して、たとえ多少取引コストが高くても、そのコストに囚われずに自律的に行動するメンバーからなる組織は自律的組織であり、一人ひとりが自律的に行動する。このような組織では、問題が発生したとき、自由を行使したメンバーが責任を取ることになり、それを通して成長することができる組織だという指摘。この場合、正当性を確保するために、多少、非効率性を受け入れる必要があるということ。
なかなか面白いものでした。まだまだ、深く考える必要のある問題だと思います。
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