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2014年9月

2014年9月30日 (火)

商業学会での報告:ダイナミック・ケイパビリティ論

 先日、非会員であるにも関わらず、商業学会でダイナミック・ケイパビリティについて報告させていただく機会をいただいた。若い方も来てくれて、とても気分よく、スムーズに、時間通りに、報告することできた。

 しかも、経営学分野では聞けない、興味深い考えや解釈も聞かせていただき、いろいろ勉強になった。     

 若い研究者の方々にとっては、あの有名なデイビット・ティース教授と直接話をしたという事実だけで高く評価していただけるようで、私にとっては、大変、ありがたいことであった。

 ついでに、私はその弟子でオープン・イノベーションの大家であるヘンリー・チェスブローとも話をしたのですが・・・(調子に乗りすぎました。)

 いまとなって、少し後悔しているのは、オリバー・E・ウイリアムソン。彼にアプローチすれば、よかったかなあ~という点。私は、何回もセミナーで彼をみたが、もうかなりおじいさんになってしまっていて、あまりオーラがなかった。

 今後も、縁がないかなあ~と思って積極的にアプローチしなかった。(打算的だった、と今は後悔している) ウリアムソンは、私のアパートの近くに住んでいたようで、近くの郵便局でも会ったし、近くのレストランから出てくるところもみたし・・・という感じで終わった。

 いずれにせよ。ダイナミック・ケイパビリティをめぐって、かなり話もまとまってきたので、近いうちに、みなさんに紹介したいと思います。

かつて防衛大で教えていたものにとって自衛隊の活躍は嬉しい

 東北大震災、広島県の土砂災害、そして今度は御嶽山でも神業を見せている自衛隊。かつて、防衛大で教えていた人間として、とても嬉しい。

 本当にすごいね。世界の常識からすると、自衛隊のヘリコプターによる救出作業はクレイジーらしいが、やはり日本人。ここにも、職人技が光る。命がけの作業。

 

 日本の伝統は、こういった点でも引き継がれているように思える。それがいいことかどうかはわからないが・・・・

 多くの人が救出されることを祈りたい。

2014年9月27日 (土)

理系の学問はすごいが、文系もすごいと思うのですが・・・

 昨日は、10月から始まる慶大MCCの講座をめぐって、打ち合わせをした。ハンナ・アーレントもドラッカーもフロムもあらためて、本当に面白いと思った。

 確かに、理科系の研究者は、実に役に立つ知識を生み出す。しかし、社会科学者もすごい。

 ヴェーバーが、20世紀初頭に将来「命令と服従」の原理もとづく目的合理的な機械のような組織がやがて社会を支配し、何か不気味なことが起こることを予想していた。そして、その予想が当たって、何万人ものユダヤ人を合理的に殺すアイヒマンのような人間を生み出した。

 さらに、アーレントがアイヒマンは特別に悪人ではなく、命令と服従の原理に基づく組織に入れば、だれでもアイヒマンになるということ、つまり悪の平凡さ、悪の陳腐さを発見した。すなわち、本質的に悪なる意図をまったく持たない人間でも、人間は悪なる行為を行うことができるという発見。

 これってすごくないですか・・・

 

 そして、アイヒマンが人間になるための条件が、カントのいう自律的意志の行使だ、とアーレントはいう。

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菊澤研宗先生と考える【人間の自由と組織の本質】
―社会の問題を自分達の問題として捉え直す―
  10月18日(土)開講、全6回、土曜日

http://www.sekigaku-agora.net/course/kikuzawa_k.html

 

2014年9月24日 (水)

不思議な偉人達、福澤諭吉、チャーチル、ドラッカー

  小さいとき、おそらく多くの人たちは偉人伝という本を読んだことがあると思う。ニュートンは万有引力を発見し、アインシュタインは相対性理論を発見した人物として偉大な人物であることは、子供にとってもわかりやすい。

 同様に、エジソン、キュリー夫人、モーツアルト、シュバイッツアーなども偉人としてわかりやすい。しかし、子供にとって分かりにくいのは、チャーチル。また、福澤諭吉だ。

 特に、慶応義塾の教員は、定年に近づくにつれて、福澤諭吉の研究を始める先生が意外に多い。そういった光景を何度もみた。若かった私は、そのような先生をみると、何か自分の専門を捨ててしまった趣味に生きる先生という風にみえた。

 同じような光景を、経営学会でも見ることができた。年配になると、多くの先生がドラッカーを研究するという光景だ。それは、慶応大学の教員で晩年福澤諭吉の研究始める先生と同じように見えた。

 ところが、その同じことを、いま自分自身が行おうとしている。ドラッカー学説のすごさや魅力に気づいてきたのだ。面白いし、深い。同様に、なぜチャーチルや福澤諭吉が偉人なのかもわかってきた。

 若いときには、学者として数理モデルや統計が必要だが、年をとると、学者に求められるのはそんなものではないような気がする。・・・・・・やっぱり年をとったのだろうか。

 たぶん企業でも同じではないか。若いときには、手法や技術のような知識が求められるが、年をとると、求められるのはそれとは別のことのように思える。

上記のようなことも、アゴラ講座で、みなさんと議論してみたいと思います。

関心のある方はぜひご参加ください。

●菊澤研宗先生と考える【人間の自由と組織の本質】
―社会の問題を自分達の問題として捉え直す―
10月18日(土)開講、全6回、土曜日

http://www.sekigaku-agora.net/course/kikuzawa_k.html

 

 

 

 

 

2014年9月19日 (金)

講演で企業人と交流するということ

 大学で教えていると、なかなか企業人と交流する機会はない。経営学という学問分野は非常に実践的な分野なので、企業人と会う機会は稀であり、それゆえ非常に重要だ。

 

 私にとって、そういった機会は、基本的に講演会や企業での勉強会となる。先月末には、モンルガン・スタンレーの研究会に、私をよんでいただき、私の考えをの述べるとともに、多くの議論ができて、大変、有意義な時間が持てた。とにかく、企業人との議論は面白い。

 

 また、昨日は、帝国ホテルである会社が主催するモーニング会で講演させていただいた。100人ぐらい企業のトップ層の方々に聞いていただき、そしてまたたくさんのいい質問を受けた。私にとって非常に意義があった。

 さて、帰国してから、なぜかわからないが、たくさんの企業の方々から講演の依頼があり、少々、驚いている。昔、企業の方々から、何か知識や情報を得ることはできないかと考えていたが、最近は、企業方々と会う機会があると、何とかして元気になってほしい、そのために何かいい話はできないかという考えに変化してきた。傲慢といわれるかもしれないが・・・。

 

 昨日も、企業人の方と議論していると、まさにそういった気持ちになった。このような機会を私に与えてくれて、(だれに対してかわからないのだが)、感謝する思いだ。

 こうした状況の中で、最近の私の話も、科学的な経済合理的マネジメンの限界トから、哲学的な人間主義的マネジメントの重要性を語り、さらに最近では日本的な大和心のマネジメントへと進んでいる。もっともっと研究しなければならない。

2014年9月17日 (水)

10月のアゴラ講座:自由、分権、そして集権

  組織について考えるとき、「人間の自由」、「人間の自律性」、「人間の自律的意志」について深く考える必要がある。

 

 昔、H.A.サイモンが伝統的な経営管理原則を非科学的と批判し、「ことわざ」のようなものだと揶揄した。彼は具体的にいろんな点を批判したのだが、以下の二つの原則が相互に矛盾していることを指摘した。

(1)組織は職務に従って分権化すべきである。

(2)組織は全体を調整するように集権化すべきである。

 サイモンは、ここで集権性と分権性が矛盾すると考えたのである。組織は、どこまで集権化し、どこまで分権化すればいいのか。最適点があれば、明確にしてほしい、それが科学だと主張したのだ。

 

 しかし、このサイモンの批判は的外れである。集権性と分権性はまったく異なる次元のものなのだ。そのことを明確に理解していたのは、オーストリア出身のピーター・ドラッカーであった。

 

 集権制組織は、「命令と服従の原理」にもとづく因果論的な機械論的組織であるのに対して、分権制組織は、自由と責任の原理にもとづく有機体的な組織なのだ。前者には、人間の自由はない。後者には自由があるのだ。

 

 命令と服従の原理に基づく集権制組織から生まれたのは、ユダヤ人を大量虐殺したアイヒマンである。彼は、法廷で、自分は上司の命令に忠実に従っただけだと何度も主張した。そして、その平凡さに気付いたのは、ハンナ・アーレントであった。

 集権制組織と分権制組織。どちらがより強い優れた組織なのか?10月からはじまるアゴラ講座では、このような問題について、みなさんと議論してみたいと思います。

以下の講座を開講します。関心のある方はぜひご参加ください。

●菊澤研宗先生と考える【人間の自由と組織の本質】
―社会の問題を自分達の問題として捉え直す―
10月18日(土)開講、全6回、土曜日

http://www.sekigaku-agora.net/course/kikuzawa_k.html

 

 

 

 

 

2014年9月16日 (火)

若い学者から年配の学者へと変化していくのだが

 実は、自分自身、まだ若いつもりでいるのだが、やはり年配の研究者になりつつある。これは否定できない。そして、自分の研究の関心も変化していることも理解している。

 だから、私が教えた学生は、そのときどきの私の研究関心事を学んでいて、いまの私の研究については知らない。

 

 たとえば、私は若いとき、科学哲学を研究していたので、防衛大の私の教え子たちは、私からポパーの科学哲学について学んでいる。経営学の講義でも、科学哲学を徹底して教えていた。

 

 その後、米国留学から帰国し、新制度派経済学に関心が変化した。だから、その後の学生たちは新制度派経済学を私から学んでいる。

 そして、今年、UCバークレーから帰国し、新制度派経済学の限界から、カントやドラッカーの哲学的経営学に関心が変化しつつある。そして、ダイナミック・ケイパビリティ。さらに、統計学基づく米国流実証経営学批判などなど。

 

 だから、いまのゼミの学生は少々大変で、新制度派経済学、哲学的経営学、さらには科学哲学、そして統計学まで学んでいるのだが・・・・いったいどうなってしまうのでしょうか。パワーポイントによる発表も、みんな達人になっている。

  今年の合宿で、驚いたのはたくさんの学生が「無限後退」という言葉を使っていたことだ。これは、科学哲学者K.R.ポパーの得意な言葉なのだ。

 

 

 

 

2014年9月15日 (月)

合宿、取引コスト、自律、そして責任

   3泊4日のゼミ合宿が終わり、先ほど、帰宅。少し疲れたが、よい気分転回ができた。前期はずっと、忙しくて、何となく日々追われている感じだった。

 今年の日本陸軍をめぐるケース・スタディーは、これまでにない新しい分析をするチームが現れて、とても良かった。

(1)一つは、取引コストを削減する効率的な軍事組織が必ずしもいいとは限らないということ、ある程度取引コストが高い組織の方いいという指摘。

(2)もう一つは、命令と服従にもとづく他律的な軍事組織ではなく、メンバーの自律的な行動を引き出す自由と責任の原理にもとづく組織の重要性を指摘したこと。

 これらは、一見、関係ないように見えるが、実は同じことを言っている。

(1)取引コストに囚われてコストを節約するようなメンバーからなる組織は、他律的組織であり、問題を起こしたときには、「利益を高めるために」とか、「コストを下げるために」とか、言い訳ができるので、責任の概念が成り立たない無責任な組織となる。また、効率性を追求しすぎて、伝達プロセスを省略し、独裁になること。したがって、効率性を得るために、正当性を無視すること。

(2)これに対して、たとえ多少取引コストが高くても、そのコストに囚われずに自律的に行動するメンバーからなる組織は自律的組織であり、一人ひとりが自律的に行動する。このような組織では、問題が発生したとき、自由を行使したメンバーが責任を取ることになり、それを通して成長することができる組織だという指摘。この場合、正当性を確保するために、多少、非効率性を受け入れる必要があるということ。

なかなか面白いものでした。まだまだ、深く考える必要のある問題だと思います。

 

2014年9月10日 (水)

10月のアゴラ講座の紹介:強い組織には自由が必要である

以下の講座を開講します。
関心のある方はぜひご参加ください。

菊澤研宗先生と考える【人間の自由と組織の本質】
―社会の問題を自分達の問題として捉え直す―
10月18日(土)開講、全6回、土曜日

http://www.sekigaku-agora.net/course/kikuzawa_k.html

今回は、組織論をめぐる究極的問題、人間の自由についてみなさんと考えたいと思います。

「自由」というと、組織人はびっくりするものです。組織に「自由」などあるのかとか、自由など与えたら組織はバラバラになって組織は成立しないなどなど。とにかくに、「組織」と「人間の自由」は相対立するものというのが一般的な見方であると思います。

しかし、この講座では実は逆だということをみなさんと議論してみたいと思います。人間の自由というものを認めない組織は、実は弱い組織なのです。しかも、無責任な組織で、ハンナ・アーレントが洞察したナチスのアイヒマンのような人物が生み出されてくるのです。

第1回 カントとヘーゲルの自由論と組織

第2回 ヴェーバーの「二つの合理性」が意味するもの

第3回 アーレントが示唆した「権威と服従」のリスク

第4回 ドラッカーが唱えた「自由な経済社会」と企業の役割

第5回 フロムが憂えた「自由からの逃走」

第6回 現代アメリカの自由が抱える諸問題

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

2014年9月 7日 (日)

尊敬すべきミスター神戸

  先日の経営学会。久しぶりに懇親会に出席。にこやかにいろんな先生と話をしていたら、突然、「久しぶり、菊澤さん、これ読んでくれない?」といって、「方法論」に関する論文の抜き刷りをもってこられた先生がいた。

 だれか?かの有名な元神戸大学教授、元経営学会理事長である坂下先生だ。最近の若い大学院生でもやらない古典的な方法で、なんて古臭い作戦だと内心思った。

 しかし、結構、これは斬新で、インパクトがある作戦だった。何かわからないが、読んでみようかと思った。年をとっても、こういった若さが必要だなあ~と本当に感心してしまった。こいうわけで、先日は、坂下先生の異次元作戦に完全にやられてしまった。

 学者とはこうあるべきだということを教えていただいた。尊敬すべきミスター神戸に乾杯!本当にすごい。このような先生がもっと多ければ、学会はもっと楽しくなるのに・・・・

2014年9月 3日 (水)

慶大夕学アゴラ講座の紹介

以下の講座を開講します。
関心のある方はぜひご参加ください。

菊澤研宗先生と考える【人間の自由と組織の本質】
―社会の問題を自分達の問題として捉え直す―
10月18日(土)開講、全6回、土曜日

http://www.sekigaku-agora.net/course/kikuzawa_k.html

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(以下はShirotori さんの宣伝文章です)

今回のagoraでは、自由の概念を巡る思想変遷を組織の本質に関連づけながら、徹底的に考えようというものです。前半で、カント、ヘーゲルの自由論、ウェーバー、ドラッカーの再確認をしたうで、後半はハンナ・アーレントとエーリヒ・フロムを読み解きます。

後半のふたりは共にユダヤ系知識人で、ナチズムを逃れて米国に渡ったという経緯は同じながら、二人が突き詰めた「自由」は正反対といってよいほど異なります。

政治学者のアーレントは、ナチス戦犯アイヒマンの裁判を傍聴した経験をもとに、本質的な悪とは、自由意志を行使しないことがであり、人間が忠実に組織の要請に応えようとすることで、全体主義に絡め取られるリスクがあると喝破しました。

企業の不祥事の原因が、組織に忠誠を尽くそう、職務に忠実であろうとする思いが行き過ぎたことに起因することがよくあります。「平凡な誰もが極悪人になりうる」というアーレントの示唆は、組織人である私達は常に大きなリスクを抱えている事に気づかせてくれます。

一方で、心理学者のフロムは「人間に自由を与えすぎると、逆に自由から逃避したくなり、大きな権威に従属しようとする」という警鐘を鳴らしました。現代社会に蔓延する指示待ち人間や、安易なノウハウ欲求を見ると実は、ほとんどの人間は自由を持て余しているのではないかという疑問が沸き起こることも事実です。フロムは、人間の弱さを鋭敏に見抜いています。

自由とは人間にとって、可能性を広げてくれるものでもあり、リスクを招くものでもあり。突き詰めて考えると実にやっかいな概念です。
菊澤先生によれば、こういう「自由の二面性」に伝統的に向き合ってきたのがドイツ・オーストリア系の思想家だと言います。

今回の講座では、難解な思想のエッセンスをシャープに、そして分かりやすく解説してくれる菊澤先生が、この二年間自由の聖地アメリカで見聞した最新知見を踏まえて西欧社会の自由が抱える諸問題と、企業組織のあり方を語り尽くします。

・企業の経営者の方、
・管理職として職場を率いる方
・企業倫理やコンプライアンスのあり方を考える方
・人がいきいきと働く組織づくりに関心のある方等々
多くの皆様にお越しいただければと思います。

ご検討のほどよろしくお願い致します。

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