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2014年1月17日 (金)

因果関係と相関関係の違いとは

 統計的実証研究している人は、因果関係と相関関係の違いを知っているが、その意味の違いを理解している人は意外にすくない。だから、自分が設定している仮説が相関関係であると知っているにも関わらず、因果関係として回帰分析で検証しようとするケースがある。

 しかし、この行為は科学者としてしてはいけないことだ。二つの関係の意味は全然異なるのだ。因果はAからBへの方向は一方通行であり、その逆はない。「もし人間を火で焼くならば、人間は死ぬだろう」という因果命題はその逆は成立しないのだ。

 

 これに対して、相関関係はAとBの方向性はわからない、両方あるかもしれない。たとえば、「他人に寄付すると、人は幸福になる」という心理学的な命題。この場合、逆もある「人は幸福なので、人に寄付をする」も成り立つ。

 

 因果命題と相関命題はどこが決定的に違うのか。前者は役に立ち、後者は役に立たない。因果命題は予測ができ、相関関係は予測ができないのだ。

 

 因果命題は、論理的に目的手段命題に変換できるのだ。良くない例だが、「人を殺すためには、人を火で焼けばいい」という命題に上記の命題は変換できる。また、上記の因果命題のもとに、いま歴史的資料によると、ジャンヌ・ダルクは**世紀フランスで火で焼かれた。それゆえ、「彼女はそのときに死んでいるだろう」と過去に向かって予測することができる。もちろん、未来にも予測できる。

 

 これに対して、相関命題は方向はAからBもBからAもあるので、目的手段関係が確定できないし、予測することもできないのだ。ある意味で、そんな関係を検証をして何の意味があるのか。しかも、そもそも論理的に検証もできないのだ。

 

  ということで、相関関係を実証する前に、理論的な研究をしっかりして因果命題を発見してから実証研究してほしい。

    しかも、因果関係を発見しても実証はできないことを理解してほしい。「カラスは黒い」という命題すら実証できない。なぜなら、この命題を実証するには過去現在未来かつ空間的にすべてのカラスを関する必要あり、それは不可能である。できるのは反証だ。有限の白いカラス、黒くないカラスを見つければよい。

 統計で実証研究している人は、反証するように努力しないといけないのだ。

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

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菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

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菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

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