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2013年11月

2013年11月26日 (火)

UCBのロースクールで法と経済学

  今日は、ロースクールのクーター先生のセミナーに出席した。今回のスピーカーのテーマが所有権理論の話だったので。

  スピーカーの話の前に、クーター先生が簡単に解説を40分ぐらいするのだが、この話が実にいい感じなのだ。英語の下手な私でもついつい質問に答えたくなるような話し方で、私はクーター先生が大好きだ。

  今日は、市場と企業の違いについて、新古典派経済学から、ロナルド・コース、そしてエージェンシーセオリー、さらに所有権理論の話を歴史的に説明していたが、実にいい感じで話をしてくれる。哲学的な感じすらある。

 今日は、「personification」という言葉を書き、この言葉は市場に関しては使えないが、企業や組織には使える。これについて、どう思うかという質問からはいって行った。

  面白かった。ビジネススクールは統計ばっかりやっているが、いまは「法と経済学」の分野で、非常にいい形で企業理論研究が進んでいるように思えるのだが・・・・私はこっちの方が好きなのだ。

2013年11月25日 (月)

自由な生き方とは

    自由な生き方というと、日々なんでも好きなことをすることだと思うかもしれない。あれがほしい。これが食べたい。あれを着たい。これもしてみたい。果たして、それを自由だというのだろうか?

  ヤンキーズの黒田選手が、まさに自由な生き方を示している。彼は、今年、14億を提示するヤンキーズを蹴って、もしかしたら3億で広島にもどってくるかもしれない。結果は、どうなるかわからないが、黒田選手は前からこういった「行為」をしていた人物だ。お金で動くような行為をしていなかったのだ。

  利益最大化を当然とする米国人には、理解できないと思う。また、心理学的に説明しようとするかもしれない。しかし、彼の行為は心理学的なものでもない。それは、人間としてのひとつの生き様なのだ。

  しかし、そもそも「人間としての・・・」とは何か。それは、簡単だ。人間だけが持つ自由意志にもとづく選択だということである。お金やモノや餌につられて「行動」する動物ではないということ、これである。
  

2013年11月22日 (金)

歴史比較制度分析

   今日は、歴史比較制度分析で有名なスタンフォード大学教授アブナー・グライフのセミナーがあった。

  二つの協働体としてヨーロッパの自治都市と中国のクラン(親戚)を取り上げ、それぞれ歴史的にどのようにして出現し、どのような意味で効率的なのかをモデルを使って比較分析する。
 

  前者は規模の経済性を達成でき、後者はルール違反の取り締まりコストが低いということ。前者は公式ルールに従って運営され、後者は非公式なルールに従って運営される、などなど。かなり面白い研究の紹介であった。

 ただ気になったのは、もしかしたら、彼は体が悪いのかもしれない。そう思えるしぐさを何度もしていた。

2013年11月21日 (木)

クルーグマンのドイツ批判は妥当か

  米国では、クルーグマンがNYTでいろんな批判的な記事を書いている。しかし、すべて本質は同じ。彼は、リベラルなので、共和党の緊縮経済政策を批判している。その批判は、当然、現在、緊縮財政をとっているヨーロッパに向けられる。そして、その諸悪の根源がドイツになる。ドイツは、米国の共和党と同じように見えているのかもしれない。

 しかし、クールグマンのドイツ批判に若干違和感がある。私は、その批判者であるクラウス(たぶん、マンキューもそうだと思うが)の議論の方が正しいのではないかと思っている。クルーグマンは、通貨関係で中国とドイツは儲けているということをよく指摘する。本来、ドイツマルクだと非常に高いが、いまはユーロに乗っかっているので、得しているというのだ。だから、その得している分でたくさん消費し、南ヨーロッパの国々を助けるべきだという論調だ。

 しかし、実際には、どうみてもユーロは安いとは思えない。高い。それでもドイツの製品が売れているのは、通貨価値の問題ではなく、やはり効率的に東ヨーロッパ諸国の企業(労働コストが低い)を利用し(効率的サプライチェーンマネジメント)、かつ高いユーロで安く資源を購入しているように思える(これを日本企業ができなかったのでは?)。

 また、多くのドイツ人はバカンスで南ヨーロッパに行ってお金を使い、ドイツで南ヨーロッパの人々を労働者として雇い、彼らは給料を仕送りしているようだ。クルーグマンの主張はちょっと感情的なのでは?日本企業も、ドイツ企業を学ぶ必要があるように思える。

2013年11月20日 (水)

「イノベーションのジレンマ」はやっぱり良い本だと思う

  最近、ハーバードのクリステンセンの破壊的イノベーションに関する簡単な記事を英文で読んだ。やっぱり、本は自分で読まないとだめだと反省している。実は、これまで学生に解説してもらって、分かったつもりになっていた。何人かの人から、彼のイノベーターのジレンマと私の「組織の不条理」はにているといわれ、それならば読まなくてもいいかと思っていた。また、イノベーション自体に関心もなかった。そこに、ロジックはないと思っているので・・・

 しかし、面白い。クリステンセンが好きになった。やっぱり、ハーバードはすごい。これぞ、ビジネススクールの教授だと思う。彼の議論や本を読んでいると、統計学を使って科学ごっこをしているのはやっぱり底が浅い感じがする。彼のアイデアや考えはシンプルだが、それゆえにいろんな現象を整理するのに便利だ。

 本に出てくる引用・参考文献も、一流だ。バーナード、ドラッカー、クラーク、レベッカ・ヘンダーソン、そしてドシーのパラダイム論の難しい論文も取り上げている。
 

 しかし、私が何といっても魅かれるのは、彼がある記事でこういったことをいっているからだ。彼は、毎年、ハーバードで世界の最も優秀な学生たちと会い、教えている。しかし、残念ながら、そのうち一部の人たちは不正にかかわり、人生に失敗している。結局、Integrity(品格)が重要だということ。学生の品格をいつも心配しているということ。

 この同じことを言っているのが、あのドラッカー。ドラッカーは、それは学べないといっている。

 

2013年11月15日 (金)

米国経済学会の将来を担う若き学者と科学哲学

     今年のノーベル経済学賞をめぐって、いろんな議論がでた。というのも、新古典派にもとづくファーマと行動経済学にもとづくシラーが受賞したからである。両者の理論は異なっており、同じ現象に対して異なる帰結が導かれることになる。決定的な違いは、両者の人間観だ。前者は人間は完全だと仮定する。だから、資本市場ではバブルは起こらない。これに対して、後者は人間は限定合理的だとする。だからバブルは起こるという。
 

   こういった二人が最高の賞をもらうような学問は「そもそも科学ではないのでではないか?」「経済学は似非科学では?」と他の学問分野から批判された。

 この批判に耐えられなかったのが、ハーバード大学の若き天才教授Chettyだ。彼は、20代で教授、そして33歳でノーベル賞の登竜門ジョン・ベイツ・クラーク賞を受賞したエースだ。彼は、ニューヨークタイムズで「はい!経済学は科学である」という記事を書いている。
 

 私は、この記事を読んで実はうれしくなった。いや、驚いた。彼は、経済学では天才なのだが、科学方法論に関してはまったく普通の人だったからだ。将来の米国の経済学会を背負う研究者の彼には、横道であったも、「科学哲学」の本を読んでほしかったなあ~と思った。

2013年11月14日 (木)

菊澤ゼミの再開宣伝(4)

菊澤ゼミを再開します。私に関係する画像は、以下をみてください。

https://www.google.com/search?q=%E8%8F%8A%E6%BE%A4%E7%A0%94%E5%AE%97&hl=ja&site=webhp&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ei=0J2EUqXWK8ifiQLZqIHwBg&ved=0CAcQ_AUoAQ&biw=1440&bih=780

私の専門は、経営学です。やっと、商学部のセミナール委員会のHPにゼミ再開のお知らせがでたのですが、この書き方だと、私がどの専門グル-プかわからない。私は、経営学グループです。

http://news.fbc.keio.ac.jp/~fbc-zemi/seminar.html

しかし、学者生活も長いので、どの分野もOKです。

(1)経営戦略論

(2)経営組織論

(3)コーポレートガバナンス論

(4)イノベーション論
いま、私が留学しているカリフォルニア大学バークレー校では
イノベーション論が盛んですね。

(5)日米独比較経営論

(6)経営哲学:CSRも得意です。バークレー校はもともとCSR研究が盛んでしたが、いまは少し廃れていますね。

関心のある学生は、ぜひ菊澤ゼミに来てください

2013年11月12日 (火)

慶応義塾大学商学部菊澤ゼミの再開の宣伝(3)

   商学部ゼミナール委員会のホームページにゼミ再開のお知らせがやっと掲載。(私は、まだ米国のカリフォルニア大学バークレーにいますが・・・)

http://news.fbc.keio.ac.jp/~fbc-zemi/seminar.html

来年度から、菊澤ゼミを再開します。
最低でも16名を採用する予定です。
留学予定者もOKです。

パワーポイントによるプレゼンをマスターしたい人。
アカデミックな論文書いてみたい人。
論理的に議論してみたい人。
大歓迎です。

就職に関する私の印象は、みなそれなりにいいところに勤めているように思います。私の経験では、ゼミでしっかり議論できれば、大丈夫だと思います。

2013年11月10日 (日)

英語をめぐる恐怖体験

  今日は、ショックを受けた。こちらにある日本食品店にいって買い物をしたのだが、レジで待っていたら、後ろから、アジア系の労働者風の人が、私の買い物カゴの中に入っていたものをみて、「**、**、**」3つぐらいの英単語をいった。
  「パフェ」というようなことは聞こえたが、私は、彼が何をいったのかさっぱりわからなかった。実は、そもそも英語には聞こえなかった。が、レジのおばさんはわかったようで、「あっち!」と指をさした。後知恵的に解釈すると、「このお菓子(パフェ)はどこにあったの?」といっていたようだ。
  しかし、私の英語の能力では、これを2,3の単語では表現できない。まったく、だめだ・・・・聞き取れない。レジのおぼさんはすごい。一年前、アジア系の簡単なレストランに入って、レジの人が何をいっているのか、さっぱりわからなかったことを思い出した。とても怖い経験だ。

  もう一つ、最近は英語の発音に関心をもっているのだが、その成果もでてきて、「コヒー」を注文しても、相手はほとんど聞き取ってくれるようになった。問題は、「f」の発音だったように思える。

  しかし、それゆえに、最近、ショックを受けたことがある。「ホット・チョコレート」を注文したら、ダメだった。レジは、アジア系だった。やっぱり、僕の発音のせいだったのか?今度、もう一度、テストしようかと思っているのだが・・・。これが、結構、心臓に悪いのだ・・・

 

2013年11月 8日 (金)

米国大学事情

     米国の大学事情に関する英語記事を読むと、大学の世界ランキングの上位を占める米国での高等教育に関して、批判的議論が多い。
   米国は、不況を長く経験しているため、大学が就職予備校化し、人文学を専攻する学生が激減しているようだ。1年生のときの人文系必修科目も、学生にとっては就職の邪魔らしい。シェークスピアなどはその典型らしい。とにかく、科学、技術、法律、ビジネス関係学部が人気らしい。
  また、専任教授は研究だけし、学生に教えているのは大抵、非常勤講師や大学院生、あるいは終身雇用権を取ることをあきらめた研究者が多くなっているようだ。
  さらに、学生もライティングやリーデイングを多く課してくる科目を選択しない。それゆえ、昔に比べて勉強していないようで、大学で多くの友人と会話を楽しんでいるようだ。まさに、日本化している。さらに、学生ローンの負担も大きく、アルバイトに多くの時間を割いている学生も多いらしい。

2013年11月 3日 (日)

日本の哲学とは

 アメリカ人からすると、日本のスポーツ界は異常に見える。夏の甲子園、エースピッチャーは何試合も連投する。そして、肩を壊す。柔道、相撲では、体罰問題が騒がれている。アメリカ人からすると、これはスポーツではないという。

 さて、別の話をしていたとき、私はよくアメリカ人や米国の研究者は哲学と心理学を区別しない、あるいは混同しているという。そして、米国人から、こんな質問を受けた。「日本的哲学というのは、どうものか?」

 この質問を聞いたとき、すぐに思いついたのは「西田哲学」だった。しかし、私はさらに別のことを考えた。私は、日本的な哲学とは、スポーツにも仕事に一貫して存在していることだといった。

 すなわち、心技体の調和あるいは統一。これは、ポパーの世界3の理論に通じている。心、肉体、技術(知識)の三つの世界を調整すること。

 米国人は、これをフィジカル、マインド、スピリッツと言い換えた。そこで、私はマインドとスピリッツとの違いを質問した。あいまいだった。ここなのだ。心理学と哲学の違いは・・・・

 最近、日本人も哲学と心理学の区別できない人が多くなってきいるかもしれない。米国人のように。

  心技体の統一。日本の相撲、柔道、野球、職人、すべてに通じるように思えるが・・・・

 

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

エコノミック・アニマル:今ではもう昔のこと

    日本のビジネスも悪くないが、米国では今はなんといってもマンガ・アニメの「進撃の巨人」、野球の上原の人気がすごい。インターネット、ユーチーブなどが発展すると、ますます日本の文化が世界から注目されるだろう。昔、日本人が「エコノミック・アニマル」と呼ばれ、「金だけのやつら」と軽蔑されていた時代が懐かしい

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

2013年11月 2日 (土)

カバーリングロー:被覆法則とは?

  学生時代に、ポパーの科学哲学について、ゼミで議論しているときに、理解はしていたが、実感できない言葉があった。それは「covering law:被覆法則」だ。因果命題の背後に被覆法則があるということだ。

  米国に来て、計量的な研究ばかり、聞かされているので、いろいろとわかってきた。やはり、経済学、新古典派経済学はよくできてると思った。被覆法則は基本的に2つ。

(1)すべての消費者は効用最大化する。

(2)すべての企業は利益を最大化する。

そして、(1)と(2)さらに、いくつかの条件から、需要と供給の法則が導出される。

(3)もし需要が供給より高いならば、価格は上昇し、低いならば、価格は下がる。

これらの三つの被覆補足から、相関関係ではなく、様々な因果関係(仮説)が導出できる。法則(1)から消費者に関する様々な因果関係が導出される。たとえば、「もしスーパーAよりもBの方が同じ商品の価格が安いならば、消費者はAよりもBに買に行くだろう。」これは、相関関係ではない。(1)を被覆法則とする因果命題である。

また、法則(2)から企業に関するさまざな因果関係(仮説)が導出できる。相関ではない。たとえば、「銀行から資金調達する方が株式市場を通して資金調達するよりも資本コストが安いならば、企業は銀行から資金を調達しようとするだろう。」これは、相関ではなく、(2)被覆法則とする因果命題である。

さらに、法則(3)から市場に関する様々な因果関係(仮説)が導出できる。「ある地域でガソリンエンジン自動車販売数が急激に増加すると、ガソリン価格は上昇するだろう」これは、法則(3)を被覆法則とする因果命題である。

残念ながら、経営学はこのような構造で仮説が形成されて、実証研究されていない。被覆法則がないので、仮説の大半は相関関係なのだが、因果命題として設定し、回帰分析を使って実証するという研究がほとんど。時々、被覆法則が上記の(1)(2)(3)のどれかであったりするが、本人が気づいてない場合もある。

因果命題を形成することは、思ったよりも難しいと、経済学者以外は思う必要がある。つまり、そんなに簡単に実証研究できないと思った方がいいのでは?

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

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