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2013年10月28日 (月)

科学哲学の面影と異常事態

  1970年代は、経営学や経済学は「科学か」という時代で、当時の大学院生は大抵ポパーを中心に科学哲学を勉強した。科学哲学は議論が非常に論理的で細かいので、そのうちみんな議論に疲れた。こうして、私を含めて、いまではだれも科学哲学について語らなくなった。

  しかし、いまでもこの科学哲学、とくにポパーの影響が残っていて、この理論は反証可能性があるとか、テスト可能だとか、いっている論文を見る。しかし、やっていることは実証だ。わかってない。アホか、といいたい。

  ポパーが述べているのは、科学的言明(普遍言明)は実証はできないが反証はできるので、科学的かどうかの境界設定基準は実証可能性ではなく、反証可能性だということ。「すべてのカラスは黒い」という一見自明の命題ですら、実証できない。なにせ時間と空間が無制約だから、無限のカラスを観察しなければならないので、実証は無理。

 もしこのことをしっかり理解しているならば、経験的な研究する場合には、仮説を反証しようとしたが、反証できなかったので、これらの仮説をいまのところ放棄する合理的理由がないので、真理ではないが暫定的に許容しましょう。ということ。

 このことを理解しないで、「これらの仮説は反証可能性があり、実際、統計的に調べたら実証された」などというのは、もう頭がどうかしているよね。

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

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菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

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菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

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