ティース教授のもとで、一応、ダイナミックケイパビリティを研究したのだが、いろいろと解釈が可能だ。(1)企業経済学的解釈、(2)統計的解釈、そして(3)哲学的解釈だ。個人的には、(3)が一番面白く、説得力があるようにも思う。それが、我流に解釈しているデリダの脱構築に基づく解釈だ。
デリダは、アルジェリア出身でフランスにやってきたユダヤ系の人物だ。彼は、フランスで西洋哲学の権威を思い知らされたのだろう。上から目線でみられたのだろう。孤独だったかもしれない。私も米国にやってきて、統計中心の世界を前に、同じ気持ちになっている。
ここからどうやって抜け出るか。それが、脱構築(deconstruction)だったのかもしれない。とにかく、分解して権威ある部分を探して、それを批判し、叩いて、新しい状態を作り出すということのようにも思える。
企業でいうと、昔のサントリー。もともとウイスキー部門が伝統と権威をもっていた。それゆえ、ウイスキー部門を中心に人、もの、金が配分されていた。ところが、環境が変化して、ウイスキー部門の売上が堕ち、他の部門が売り上げをのばしてきた。問題がでてきた。ここで、「脱構築」が必要となる。権威ある部分であるウイスキー部門とその他を分解する。そして、権威ある部分を批判して、結局、集権組織から分権的な事業部制へと再編した。(脱構築=再構築)これって、ダイナミック・ケイパビリティかも。もう少し、デリダの研究が必要かも。法学部中心の中央大学、経済学部中心の慶応大学も脱構築の時期か?
菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)
菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理
菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)
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