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2013年10月

2013年10月31日 (木)

イノベーションへの最短距離

    バークレーのイノベーション研究所はもちろん、全米の研究者がイノベーションに関心をもって研究している。しかし、私はイノベーションに至る合理的なロジックはないと思う。科学的発見の論理がないように。

    だから、何もしないでいいというのではない。私は、イノベーションや科学的知識の発見は、まさに人間的な営為であると思っている。だから、イノベーションを生み出したい組織は、人間的な組織を形成しなければならない。では、「人間的とは何か?」カント的にいえば、ある種の「平等」を前提とした個々人の「自由」を認める場である。

  グーグルが目指しているのは、こういった意味での人間的組織であると思う。グーグルは、一見、ノマド式(遊牧民的にカフェで仕事したり)と思われるかもしれないが、逆である。社員は会社に来なければならない。いや逆、社員が会社に来たくなるように組織を作っているのだ。これこそ、イノベーションへの最短距離だろう。

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

2013年10月30日 (水)

統計学とパワーポイントの共通点

 1990年代中頃、当時、私は防衛大で教えていた。そのとき、米国のアメリカンセンターの招待で、米国の軍事関連施設を2週間ぐらいかけて視察したことがある。ウエストポイント、アナポリス、国防大学などなど。

 いろんな軍事施設で、簡単な説明をきき、そして質疑応答というパターンなのだが、確かウエストポイント(陸軍士官大学)で説明を受けた時、初めて「パワーポイント」を見たのだった。これまで、OHP(オーバー・ヘッド・プロジェクト)しか見たことがなかったので、驚いた。しかも、プレゼンターが何か楽しそうに使っていたのを覚えている。

 それから、かなり後になって、日本にもパワーポイントが入ってきたという感じだった。

 さて、いまではパワーポイントは常識だが、私が言いたいのは、このパワーポイントと統計が同じような効果をもっているように思えるときがある。ともに、プレゼンテーションでは、非常にいい印象を与えるとうことだ。内容自体、大したことがなくでも、パワーポイントで説明されたり、統計的な処理について説明されると、なんとなくいい感じがする。

 だから「ダメ」というのではない。使えるものは使えばいいというのが、私の考え。そして、内容がよければもっといい。それだけ。

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

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2013年10月28日 (月)

ティース教授は絶対に理論とはいわない。

  経営学において、科学哲学に詳しかったのは、H.A.サイモンだ。彼は、初期は徹底した帰納主義であり、論理実証主義だった。しかし、後に、ポパーの批判的合理主義だといい始める。しかし、それは言っているだけだったように思える。

 こういった理由で、カーネギーメロン学派はサイモン、マーチ、そしてウイリアムソンたちは、意外に科学哲学にうるさい気がする。その影響を受けて、ティース教授もその点はかなり慎重で、「ダイナミック・ケイパビリティ」についても、絶対に「理論」という言葉を使用しない。必ず、「パースペクティブ」か「フレームワーク」か、「ビュー」という言葉を使う。

 もちろん、リソース・ベイスト・ビューなど、ビューと言っているのだから、最初から理論ではない。それを理論として実証しようとするのだから、凄い研究者はたくさんいる。

 その理由、コンピュターの性能と統計ソフトが発展したからだろう。いまは、統計ソフト依存的な気がする。私は詳しくないが、いま論文上の「文字」を処理するソフトがはやっているように思うが・・・・・

 

 

科学哲学の面影と異常事態

  1970年代は、経営学や経済学は「科学か」という時代で、当時の大学院生は大抵ポパーを中心に科学哲学を勉強した。科学哲学は議論が非常に論理的で細かいので、そのうちみんな議論に疲れた。こうして、私を含めて、いまではだれも科学哲学について語らなくなった。

  しかし、いまでもこの科学哲学、とくにポパーの影響が残っていて、この理論は反証可能性があるとか、テスト可能だとか、いっている論文を見る。しかし、やっていることは実証だ。わかってない。アホか、といいたい。

  ポパーが述べているのは、科学的言明(普遍言明)は実証はできないが反証はできるので、科学的かどうかの境界設定基準は実証可能性ではなく、反証可能性だということ。「すべてのカラスは黒い」という一見自明の命題ですら、実証できない。なにせ時間と空間が無制約だから、無限のカラスを観察しなければならないので、実証は無理。

 もしこのことをしっかり理解しているならば、経験的な研究する場合には、仮説を反証しようとしたが、反証できなかったので、これらの仮説をいまのところ放棄する合理的理由がないので、真理ではないが暫定的に許容しましょう。ということ。

 このことを理解しないで、「これらの仮説は反証可能性があり、実際、統計的に調べたら実証された」などというのは、もう頭がどうかしているよね。

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

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2013年10月27日 (日)

亡くなったノーベル経済学者フォーゲルの魅力

    ノーベル経済学者であるフォーゲルが、最近、亡くなった。彼の記事を英文で読んだ。彼は、経済理論と統計学を歴史研究に応用するクリオメトリックスを開発した。クリオはたしか、歴史の女神?この手法を用いて、彼は少なくつも二つ歴史的常識を覆した。

(1)南北戦争後の米国経済成長の主要要素は鉄道だといわれていたが、その貢献度は少なく、たかだか5%程度。実際には、当時、水路が利用されていたと主張。

(2)米国での奴隷制度は非効率的で悲惨であったといわれてきたが、実際には効率的であったということ、というのも農園所有者たちがいろんなインセンチブを彼らに与えて、最大の生産性を引き出していたから。

(1)は多くの人々に受け入れられたが、(2)は多くの議論を巻き起こしたようだ。

  さて、最近の彼の研究は、国民の健康と経済成長の関係だった。健康と技術の発展が経済成長を促進するという結論を、さまざまな統計を使って示している。身長の高さも経済と関係しているようで、80年代以降、米国人の身長は変化していないのに対して、日本人の身長は伸びているという。

 米国の状況ついては、不平等格差が広がったことに関係しているのではないかということだ。もし彼の議論が正しいとすると、個別企業も健康な人々をどんどん雇用すると、いいことになるだろう。

  既存の歴史的定説を覆し、新しい説を打ち立てるフォーゲルは、本当に魅力的な学者だと思う。

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

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菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

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2013年10月26日 (土)

社会実験を行うなんて、凄い。

     今日のセミナーは、面白かった。途上国で、農民に銀行を利用させると、生産性は変化するのか、という大がかりな社会実験を行うものだった。農民は銀行に預けないと、お金を直ぐに使ってしまって、次の収穫まで苦しくなるようだ。つまり、肥料が過少になるようだ。

  おそらく、世界銀行から補助金がでているのだろう。ある途上国の村の農民約3000人を対象に補助金を与えて、(1)銀行に出し入れ自由な普通預金口座と(2)出し入れが制限されるコミットメント預金口座を作らせる。結果は出し入れ制限付き預金が多い方が生産性が上がったということだ。

  そして、このメカニズムの解釈として、途上国の農民はセルフコントロール能力が弱い・とか、その他いくつか説明してきた。実際には、仮説演繹で実験もしているのだと思うが、報告者は帰納法的に議論を展開していたと思う。

  報告者の女性はとても頭がいいという感じだったが、質問があまりにもデータに関する些細なものだったので、かなり切れていた。私は、もともと社会科学なんで、無理やりデーターを持ってきて、無理やり統計学を使っているのだから、そんなところをツッツイても・・・・・・・とは思う。 

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

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菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

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2013年10月24日 (木)

慶応大学菊澤ゼミの再開 宣伝

  慶大商学部のゼミナール委員会に、来年度、菊澤ゼミが再開することを連絡されているにも関わらず、いまだにホームページには掲載されてない。もともと菊澤ゼミのHPにあったのに、消されている。UPするのに、時間がかかるのなら、はじめから消さないでほしいものだ。

 さて、現在の慶大商学部2年生が果たして私のこのブログを見るのかどうかわからないが、いまのゼミナール委員会は役に立たないので、私のブログを通して、宣伝していくしかない状態。

 多分、このような状態なので、私のゼミを志願する人は少なさそうなので、二次募集が本番になるのかもしれません。いまのところ、これまでと同じような方法で入ゼミ試験を行う予定です。具体的には以下の菊澤ゼミのHPを見てください。

http://news.fbc.keio.ac.jp/~kikuzawa/

 来年から、日吉で「経営学」を担当するので、新しい一年生が3年生になるときまで、菊澤ゼミに関心ある学生は少ないかも、・・・・と心配していますね。

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

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菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

スポーツと体罰

 米国にいると、日本のスポーツと体罰の問題が取り上げられている。コーチが体罰をして、学生が自殺するとか。また、高校野球で、ひとりのピッチャーが何試合も投げ続ける。米国人からすると、奇妙な光景に見える。

  日本では、「スポーツでは体罰は教育であるとか」、「スポーツで精神を鍛える」とか行ったことが言われている。これは、文化だという人もいるだろう。しかし、こうした状況で、若い学生が自殺すると、これらが言い訳になる。若い人を自殺や死に追いやるような文化ならば、それは必要ないだろう。

  私は日本人なので、このような状況は理解できるのだが、このようなスポーツ状況は「日本だけ」という特定の地域を前提に、スポーツをしていたときのことのように思える。

  今日、スポーツも日本国内を相手にするだけではなく、世界を相手にする若い選手がたくさんでてきている。世界を相手にするときには、日本の伝統的な発想だけでは十分ではない。やはり、スポーツにも合理性が必要だ。ときには、精神主義ではなく、徹底した科学的分析が必要なのだ。

  特に、コーチや監督は国内だけをみるのではなく、広く世界を見る必要があるのだろう。このことは、スポーツに限ったことではない。いま、日本はどの分野でも、同じような状況にあるように思える。

  日本のすべて捨てるのではなく、いいところはどんどん世界から取り入れるというかつての日本の方法論が良いと思う。

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

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菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

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菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

  

  

2013年10月21日 (月)

米国MBAの問題

    最近、米国のMBA教育に関する面白い記事を読んだ。米国の実務の世界でも、もう短期的な利益最大化や企業の価値最大化を目指していないということ、つまり長期的で環境を考慮し、持続可能性を目的とする企業が増えているにも関わららず、MBAではいまだに、短期的な利益講義をやっているということ。
  教員もそのことをわかっているが、講義内容を一新するにはあまりもコストが高い。とくに、終身雇用権を取得した教員は、もう安泰なので変えないというのだ。だから、今後は、現状に満足しない学生サイドからの運動によって変化が生まれるかもしれないという内容だった。(学生も、MBAの資格だけほしいので、変わらないかも。)
  確かに、バークレーは本来ならCSR研究の盛んなスクールだったが、いまでは廃れている。セミナーの数も他の専門に比べて少ない。しかし、バークレーのCSRのセミナーに一度参加したとき、寄付している会社の名前をアナウンスしていた。リーバイス、そしてあの自動車のテスラーも呼ばれていた。感動した。さすが、リーバイス、そしてテスラー。偉いよ。

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

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菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

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菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

2013年10月20日 (日)

ダイナミック・ケイパビリティのポストモダン解釈

    ティース教授のもとで、一応、ダイナミックケイパビリティを研究したのだが、いろいろと解釈が可能だ。(1)企業経済学的解釈、(2)統計的解釈、そして(3)哲学的解釈だ。個人的には、(3)が一番面白く、説得力があるようにも思う。それが、我流に解釈しているデリダの脱構築に基づく解釈だ。
   デリダは、アルジェリア出身でフランスにやってきたユダヤ系の人物だ。彼は、フランスで西洋哲学の権威を思い知らされたのだろう。上から目線でみられたのだろう。孤独だったかもしれない。私も米国にやってきて、統計中心の世界を前に、同じ気持ちになっている。
   ここからどうやって抜け出るか。それが、脱構築(deconstruction)だったのかもしれない。とにかく、分解して権威ある部分を探して、それを批判し、叩いて、新しい状態を作り出すということのようにも思える。
   企業でいうと、昔のサントリー。もともとウイスキー部門が伝統と権威をもっていた。それゆえ、ウイスキー部門を中心に人、もの、金が配分されていた。ところが、環境が変化して、ウイスキー部門の売上が堕ち、他の部門が売り上げをのばしてきた。問題がでてきた。ここで、「脱構築」が必要となる。権威ある部分であるウイスキー部門とその他を分解する。そして、権威ある部分を批判して、結局、集権組織から分権的な事業部制へと再編した。(脱構築=再構築)これって、ダイナミック・ケイパビリティかも。もう少し、デリダの研究が必要かも。法学部中心の中央大学、経済学部中心の慶応大学も脱構築の時期か?

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

2013年10月18日 (金)

なぜ有名企業は有名大卒を採用するのか:小ネタの報告

  今日のセミナーの小ネタは、「なぜ有名会社は有名大学卒をとるのか?」を有名法律事務所がどこのロースクール出身者を採用しているのかというデータを用いて明らかにするもの。

   人的資本や社会的資本と関係づいて、複雑に、ごちゃごちゃと経営学的に説明しようとしていたが、結局、Spenceのシグナリング理論を実証していたにすぎなかった。

 

   結局、採用側と候補者との間に情報の非対称があるので、一方で採用者は騙されて能力のない人を採用する危険があり、他方、候補者の中にいる本当に能力のある人たちにとっても不幸になる。

 

  そこで、能力のある候補者たちは自分たちが能力のあることを示すために、有名大卒であることをシグナルとして示そうとする。他方、採用者も一人ひとり厳密の調査するのはあまりにもコストが高いので、シグナルとして有名大学卒かどうかに関心をもつ。

 

  こんな感じでいいのでは。だから、大学でいくらスキルを身に着けるような教育を展開しても、それは専門学校と同じで、優秀な学生が集まるとは限らないのだ。

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

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菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

 

naze

今日のセミナーの小ネタは、「なぜ有名会社は有名大学卒をとるのか?」この問題を有名法律事務所がどこのロースクール出身者を採用しているのかというデータで明らかにするもの。経営学的に説明しようとしていたが、結局、Spenceのシグナリング理論を実証していたにすぎなかった。

2013年10月17日 (木)

米国経営学者は小ネタが好きだよね。

   米国にやってきて、デリダの脱構築的心境から、最近はセミナーにも慣れてきた。本日のお題は、「スター教授は意味があるか?」というものだ。小ネタだ。やっとわかってきたのだが、米国の経営学研究者は、「あまちゃん」のように、本当に小ネタを実証するのがすきだ。小ネタだから、面白いよね。でも1週間したら、忘れてしまいそう。

  今日は、進化生物学に関する全米の学部教員のデータを入手したようで、このデータを利用して、学部にスター教授がやってくる前とやってきた後の学部教員のアカデミックな生産性に変化が起こったかどうか。それから、その後、優秀な先生がやってきたかどうか、などなど。面白かった。
 

    結論は、期待を裏切らなかった。スター教授がやってきた後、見事に、学部教員の生産性が上昇し、その後、質のいい教員も確保できるということ、さらにスター教員のプラス効果はランクの低い大学ほど大きい。こういったものだった。したがって、スター教授は価値があるということだった。

  しかし、ちょっと考えれば、分かるが、社会科学系はどうかなあ?日本ではどうかなあ?たぶん反証されるようね・・・・小ネタとしては本当に面白いが・・・

  それより、組織の経済学や新制度派経済学を知っていると、つぎのような戦略的なことを聞きたくなるよね。結局、大学は、スター教授を自前で作った方がいいのか、あるいはスターを外から連れてくるのがいいのか、あるいはスターと共同研究するのがいいのか。 つまり、make or buy or allyの問題。部品は自前で作るべきか、他社から買うべきか、あるいは提携して作るか。

  このような問いを研究すると、小ネタを超えることになるのだが・・

 

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

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菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

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菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

 

2013年10月13日 (日)

サプライヤーは市場を利用するかリセーラーを利用するか

  ところで、先日のハーバード大の先生の報告のテーマは、サプライヤーは市場を利用するか、リセーラーを利用するかというものだ。

  サプライヤーは製品を販売するとき、直接、市場(消費者)に販売するか、あるいはリセーラーに販売するか、あるいは両方とも利用するハイブリッドかという問題。これを、数理モデルを利用して説明しようとする。

 

  この3つの方法の違いを、ハートの残余コントロール権で特徴づけていた。まだ完全に数理モデルを理解できていないが、以下のような興味深い帰結がでていた。

(1)ロングテールな製品(それほど売れてない製品)は市場の方が良い。

(2)ショウトテールな製品(売れている製品)はリセーラーが良いというものだ。

これこそ、テスト可能な話だと思う。

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

2013年10月11日 (金)

やはりハーバード大学の教授陣の層は厚い

 今日のセミナーの講師は、ハーバード大学の若手准教授(終身雇用権)だった。非常に優秀だ。これまでも、多くのハーバード大学の教授陣がバークレーで報告しているが、やはりハーバードの教授陣は層が厚い。

  統計も数学モデルも使わないが、素晴らしいアイディアで有名な先生。統計学を使って面白い研究をしている先生。そして、本日は、数理モデルを展開する先生。どの研究者もすばらしい。本当に、層が厚いと思う。

  これに対して、今日はバークレーの一側面を見た。やはり、バークレーは、いま計量的な先生が多いと思う。これまでたくさんセミナーに出席してきたが、数理モデルを展開して議論を展開する報告は初めて聞いた。個人的には、こちらの方が面白かった。今日は、参加者が少なかった。

 

  また、計量的な報告だと、データーに関する質問が多く、それゆえ発表の途中で質問することになる。これに対して、数理モデルによる説明は、矛盾を指摘することになるので、報告後にも質問がでていた。

 

  いずれにせよ。今日の報告者は、将来、米国で有名になるのだろう。

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

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菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

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菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

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2013年10月10日 (木)

世界は、日本的経営を学ぶ価値がまだあるのでは?

    本日は、米国の特許庁のディレクターの講演だった。バークレー出身で、パテントが研究者にインセンティブをもたらし、イノベーションが促進されるという話。日本の企業も最近は、特許獲得に力をいれていることは明らかだ。それは、以下の記事からもわかる。特許に関わる革新的企業トップ100には1位米国45組織、2位日本28組織、3位フランス12組織、4位スイス4社・・・。
  しかし、米国のように、日本の場合、特許戦略にまでいっていない。つまり、米国で多発するリティゲーション、特許訴訟で儲けるようなところまでいっていない。ゆるい気がする。しかし、これが効率的かもしれない。
  最近、ハーバードのマンキューとコロンビアのスティグリッツが論争していたが、個人の能力に対応した報酬としてパテントは当然とするマンキューと、パテントを利用してタダ乗りできる可能性があり、それによって全体経済がだめになるというスティグリッツ。前者米国に対応し、後者が日本に対応するようにも思う。
  現在、米国では日本企業への注目度は低いが、以下の記事からすると、やっぱり日本的経営は悪くないのではないの?あるいは、日本的経営は学ぶ価値があるのではないの?と私は思ってしまう。 

記事

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131007-00000045-reut-bus_all

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131009-00000031-xinhua-cn&pos=1

2013年10月 8日 (火)

脱構築としてのダイナミック・ケイパビリティはいかが?

    これまで、デリダの「脱構築(deconstruction)」という概念が気になっているというお話をしてきた。その理由は、(1)不条理問題を解けるのではないかということと、(2)実はこの概念で、ダイナミックケイパビリティを解釈してみるのもおもしろいかもと思ったからである。

   もちろん、私自身すでにダイナミックケイパビリティをめぐって別の正当な解釈も試みているのだが(これについてはまた別の機会に)・・・・・

  富士フィルムが既存のフィルム技術を応用するにあたって、まず脱構築する必要があった。現状を分析し、何か権威的な存在で、何がそうでないのか。分解する。もちろん、権威的存在(オーディナリ・ケイパビリティ)は本家の「写真フィルム技術」だ。そして、この権威を否定するプロセスも脱構築だ。ここから、既存の技術を再構築し、化粧品への応用という流れが起こったと・・・これが「ダイナミック・ケイパビリティ」かも。

 こういった解釈をするのが、フレンチ・インテレクトか、あるいはまたペテン師か。

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

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菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

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菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

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2013年10月 7日 (月)

不条理分析と脱構築

  人間は合理的に失敗するということを、私は「不条理」と呼んでいる。そしてそれは少なくとも4つある。

  以下の対立のうち、一つを選択しようとすると、不条理に陥る。(1)効率性と正当性の対立、(2)全体と個の対立、(3)短期と長期の対立、(4)自由と平等の対立。このように、分析することを、デリダ流でいうと、脱構(deconstruction)というのかもしれない。

  ポストモダンの問題点は、内容があいまいなので、何でも応用でき、なんでも解釈できる点かもしれない。つまり、何もいっていないという危険性をはらんでいる。だから、ペテンと言われるのかもしれない。しかし、とにかく奇妙な言葉が多く、それに魅力を感じる人も多いのだろう。そして、ついついその言葉を使いたくなる

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

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菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

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菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

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2013年10月 5日 (土)

ポストモダニズムはペテン師か

  私は、ポストモダニズムは嫌いなのだが、デリダだけ、脱構築 deconstructionだけ、気になっている。

 今日は、デリダの本を買ったので、ちょっとだけ読んでみようかと思っている。チョムスキーがいうように、果たして、彼はcharlatan, impostor (山師、詐欺師)なのか?

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

IMTは若手女性研究者のメッカだ

  昨日は、米国の若手女性研究者、将来、有望なハイジー・ウイリアムスの報告を聞いた。彼女は、いまMITにいる。

  そして、その前に将来有望な若手女性研究者といわれていたのが、レベッカ・ヘンダーソン。彼女もまたMITにいた。いまは、ハーバード大学だ。ふたりともたぶん英国と関係している。

  レベッカ・ヘンダーソンは、私が研究している組織の不条理現象に気付いている。つまり、組織は合理的に失敗することに気付いている。この関連で、私は彼女に注目している。いま、彼女は組織の経済学では有名なギボンズと研究を進めているようだが・・・・

  彼女は、MITにいるとき、コダックの冠講座の教授だった。しかし、倒産した。このとき、彼女はコダックの経営者は前からいろんなことに気づいていたと雑誌のインタビューに答えている

  とにかく、MITは、すばらしい女性研究者を育てていると思う。

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

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菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

 

 

2013年10月 4日 (金)

特許はイノベーションを乱すか?

  今日は、たぶん非常に注目されている若手女性研究者ハイディ・ウイリアムス の報告を聞いた。いつもなら、あまり人が来ていないのに、今日は席があまりなくて、困った。本当に優秀だ。数学が相当できるようだ。

  話は簡単で、「米国の固定的な特許期間(20年)がイノベーションを乱すか」というものだ。基本法則は、「すべての企業は利益最大化する」だ。米国では、特許申請時と製品化の時期が一致しない。タイムラグがある。そして、特許申請時が20年の始まりとなるので、企業はタイムラグの少ない技術や知識に偏って投資するというものだ。したがって、社会的にみて、非効率的という。

  これを、医療業界のデーターを使って実証しようとする。つまり、製薬会社は、特許申請から商品化へのタイムラグが少ない薬研究に多く投資し、タイムラグが長いものを避けるということ。したがって、「固定的な特許期間はイノベーションを乱す」という結論

  今日は、医療という分野で、さっぱり英語が聞きとれなかったが、彼女は将来有望だということはよくわかった。聞き手のおじさん教授陣は、データーのことばかり、しかもゴネるような質問ばかりで・・・・・・?

  私が思うには、では、固定的な特許期間制度が、なぜいまだに残っているのか?やはり、何か合理性があるのでは?

 

  もう1点、今日はの報告者は因果命題とはいわず、すべて相関命題といっていた。しかし、私は因果命題だと思う。というのも、命題の背後にはカバーリングローとして「すべての企業は利益最大化する」という暗黙の仮定があったように思うから。

 

中所得国はどのようにしてキャッチアップするか

   今日のセミナーは、韓国ソウル大学の先生で、たぶんバークレーでPHDをとったのかな?英語は、本当に日本人と同じアクセントだ。
 

    内容は面白かった。国を低所得国、中所得国、高所得国に分け、低中所得国が、どうやってイノベーションを起こして、高所得国にキャッチアップするかだ。
   中所得国とは韓国と台湾のことで、データーからすると、製品サイクルが短い分野は後進国でも参入しやすく、低中所得国にとってねらい目だということ。そのような分野は既存の技術に依存する必要もないという。しかし、日本や米国などの高所得国はこのような分野への進出は、効果的ではないということだ。

  とにかく、製品サイクルの短い市場、分野が途上国進国にとっては魅力的な分野だということをいろんなデータを用いて説明していた。そのために、韓米企業比較や、韓日企業比較をしていたが、参加者の学生から、以下のようなまっとうな質問がでていた。
    結局、イノベーションは市場や分野の環境で起こるのではなく、企業自体の能力が問題ではないか?日本企業や米国企業がイノベーションが多いのも、市場や環境ではなく、企業内部にそういった能力があるのではないか?そのような分析がなされていないのでは?

  まあ、イノベーションや進化の話は、やはり環境とNDAについて述べないと、なんとなく違和感があるように思える。しかし、内容は面白かった。

2013年10月 3日 (木)

慶大菊澤ゼミの紹介パート2

 昨日、教務から、来年度、菊澤ゼミをはじめるかどうかの問い合わせがきましたので、来年度からはじめると回答しました。

  近いうちに、ゼミナール委員会から、再開ゼミとしてUPされるのではないかと思います。

 しかし、私が帰国するのは、来年2014年3月中頃ですので、一度も現在の2年生にゼミの紹介をすることができません。とにかく、菊澤ゼミのHPを見てもらうしかないですね。

菊澤ゼミHP

http://news.fbc.keio.ac.jp/~kikuzawa/

 

 したがって、それほど多くの学生が応募するとは思えませんので、今回は比較的気楽にやりたいと思います。

しかし、ゼミ試験は、大体、これまでと同じ方式で行います。

●募集人数 16名程度

●入ゼミ試験は、以下のように考えています。
(1) レポート(読書感想文1本 A4紙 枚数は自由です。ワープロで)

対象図書
私(菊澤研宗)の著書
私の本については、アマゾンで調べてみてください。

●アマゾン
http://www.amazon.co.jp/s/qid=1259320173/ref=sr_st?__mk_ja_JP=%83J%83%5E%83J%83i&rs=465610&page=1&rh=n%3A%21465610%2Ci%3Astripbooks%2Cp_27%3A%8Be%E0V%8C%A4%8F@&sort=salesrank

●慶大図書館
http://www.mita.lib.keio.ac.jp/

★提出レポートについての注★
菊澤ゼミに入りたいんだなあ~といいうことがわかればいいと思います。一生懸命に書いていることが伝わるようなレポートをみて、落とそうと思う人はいませんので、ナーバスになる必要はありません。逆に、手抜きのレポートはすぐに見抜きますので、避けてください。

2013年10月 1日 (火)

イノベーションに論理はあるのか?

    「オープン・イノベーション」、「リバース・イノベーション」、「ユーザー・イノベーション」、「ロー・アイデア・イノベーション」、「ディスラプティブ・イノベーション」など、いろんな言葉が米国では出ている

    結局、ファイアーベントがいうように、何でも構わない(anything goes!)なのでは?イノベーションに論理はない!とポパーはいうかも。
 

    最近、ソニー、パナソニック、シャープの御三家が復活しつつあるという記事を読んだが、結局、イノベーションの問題ではなく、円高が問題だったのだろうか?

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

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