経営学への社会学アプローチの報告を聞くと、いつも限界を感じる。企業、経営、経営管理的な現象や行動は、どう考えても、コスト、収入、利益などの経済的な要素を抜きにして語ることは難しい。
社会学アプローチは、そのような要素に依存しないで、説明しようとするので、違和感を感じる。最後の従属変数だけ「利益」などの経済要因を出して経営学分野に入ってくるのだが。(つまり「関係性が高い組織は利益は高い」とか「結びつきが多いと、組織の利益は高い」とか」)。
しかし、無理があるのでは?といつも思う。利益が高いということは、(1)収入が上昇したか、(2)コストが減少したか、(3)両方起こったか。「関係性が高い」と(1)、(2)、(3)のどれが起こっているのか。・・・・・と分析してゆくと、「関係性」とかいった概念はあいまいなだけで・・・・と考えたりもする。
社会学が対象としているのは、必ずしも企業ではないので、当然ながら、そのアプローチは組織、共同体、宗教集団などに適しているように思える。
しかし、社会学的アプローチを経営学から遠ざけると、今度は、「経営学と経済学はどこが異なるのか?」という別の方法論的問題が生じる。私は、経営学は経済学の一部でもいいという考えである。
菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)
菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理
菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)
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