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2013年5月 9日 (木)

日本企業の目的は何か

     今日は、リンカーン先生の退官記念講演を聞きに行った。リンカーン先生は専門が日本企業研究で、今日は日本の雇用システムに話を限定したいということで、昔と今を比較されてお話しされた。とてもわかりやすいいい話だった。

  その話を聞いていて、私自身ふと気になったことがあった。学問的にシンプルいえば、どんな企業のシステムも制度も企業の目的と関係して合理的に形成される可能性がある。たとえば、米国のさまざまな雇用システムはおそらく利益最大化・株主価値最大化(企業の目的)と関係している。これに対して、昔の日本の雇用システムで、年功システム、終身雇用などは、成長率最大化やマーケットシェア最大化などに関係していたように思える。

  ところが、今日の話では、日本企業の雇用システムはバブル崩壊後、米国経営をまなび、いろんな点で米国企業に似てきている。終身雇用も薄れ、少し流動性もできた。問題は、日本企業の目的も米国のように、利益最大化や株主価値最大化に変化したのか?である。
...
  私には、いまだ日本企業が利益最大化や株主価値最大化を目指しているとは思えない。実際、いまでも日本企業は投資利益率は低い。では、いまの日本企業が目指す目的は何か。わからない・・・・あいまい・・・・・・。つまり、目的と手段がかみ合ってないように思える。

  そこで、リンカーン先生に、いまの日本の企業の目的は何だと思いますか?今度は何を目的とすればいいのか?と聞いてみた。先生も困って、もうひとりの日本企業研究家のコール先生を呼び、聞いたが、結局、分からなかった。

  私の認識では、バブル崩壊後、日本企業が株主を意識したり、米国経営を再評価したのは、たくさん企業不祥事が発覚し、利益最大化を目指して米国経営を学んだのではなく、透明性のある米国経営(ガバナンス)を学んで、不祥事対策しようとしたように思える。そのために、目的と手段がズレたのではないかと思っている。

  しかし、現代の日本企業の目的は何か?モノづくりではなく、知識・技術・スキル創造最大化であってほしい。

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

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菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

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菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

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