慶応大学菊澤ゼミナールHP

私の趣味

私の著書

新制度派経済学と限定合理アプローチの本

経営哲学学会HP

« 米国で就職できない4つの専門 | トップページ | やはり重要なのはナレッジマネジメントではないか »

2013年4月25日 (木)

米国の一流学者はすごい!ヒッペル教授

 今日のセミナーは、MITスローンスクールの超有名なEric Von Hippel教授がスピーカーだった。やっぱりすごい。たしかに、実証的なデーターを用いているが、これまでと全然違うのだ。

  これまでの報告者はほとんどデータに囚われていたが、ヒッペル教授は自分の主張のためにデータを使っていた。つまり、自分のストーリーの妥当性を示すために、データーを使っており、しかもそのストーリーも面白い。だから、その概念とそのデーターは一致するのか?とかいったくだらない質問はでなかった。

 内容は、これまでイノベーションというと、大抵、生産者によるイノベーションが一般的であたったが、実は消費者から生まれるイノベーションもあるということを説明しようとするもの。たとえば、医療分野では医者が必要性に駆られて機械や薬(調合)を作り出し、それを企業が製品化するケース。また、農業でも農家が自分に必要な農機具を工夫考案し、やがて企業がそれを製品化するケースなどなど。

 そして、もしこれが正しいならば、政策として企業は意図的に消費者をイノベーションプロセスに組み入れていった方がいいという結論へと続くことになる。実際に、フィンランドではこの考えが受け入れられ、政府が推進しているらしい。

 さて、私の解釈では、消費者によるイノベーションの前に、実は生産者によるイノベーションあるいは製品がすでにできているのではないか。したがって、どちらが先でもいいが、生産者による製品を、消費者が批判的に使用し、そして問題を見つけて改良し、それを企業が製品化する、そして再び消費者がそれを批判的に使用するというプロセスではないかとみる。すると、このイノベーションプロセスは、ポパーの(・・・解決案TT→批判EE→問題P→解決案TT・・・・)のプロセスと似てくるのであり、消費者もこの批判的合理的なサイクルに組み込んだ方がより発展するといっているように思えた。

 もう1点思ったことは、これまでたくさんの米国の経営学者をみてきたが、やはりその代表としての一流の学者を見た方が、米国経営学に対する誤解は少ないかもしれないということ。今日は、「米国の一流の研究者とはこうなんだ」ということをはっきり認識できた。すばらしい。

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

« 米国で就職できない4つの専門 | トップページ | やはり重要なのはナレッジマネジメントではないか »

12)UCバークレー滞在記」カテゴリの記事

2019年11月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30