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2013年3月 9日 (土)

集権制と分権制の意味について

  組織の集権制と分権制について、私はいまのアメリカ経営学の実証的アプローチには限界を感じている。画家の山下清のように、すべてのことを軍隊の階級に置き換えないと理解できないように、何でも実証レベルに持ち込まないと理解できない人たちという感じです。

 この一元的な発想をすると、かつてH.A.サイモンが伝統的な管理原則には一方で「集権せよ」という原則があり、他方で「分権化せよ」とあるが、どこが最適なのかわからないとか、ローレンス=ローシュが良い組織は一方で集権化し他方で分権しているが、それは自己矛盾しているのではないかという疑問に陥ります。   

  この矛盾や疑問を避けるためには、もともと「集権制」と「分権制」はまったく異なる次元のものと理解する必要があります。集権制とはある意味で計画経済であり、部下の自由を認めず、因果論的に機械論的に行動することを要求します。

  これに対して、分権化とは因果論や機械論ではなく、個人(部門)に自由を与えて責任を求めるという自由と責任の世界のことだと思います。それは、数量化できません。ましてや因果関係を実証する回帰分析では無理です。

  このような違いは、ドラッカー、カント、ヴェーバーなど西洋哲学を理解すると見えてきます。「命令と服従」と「自由と責任」をいかに併存させるか。ドラッカーは、経営者は一方で十分なお金を与えて部下に因果論的に働いてもらうとともに、他方で部下に自由を発揮させ責任もとってもらうために最高の舞台を用意しなければならないと言っていますが・・・。

 人間の存在に関わる奥の深い問題です。  

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

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菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

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菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

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