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2013年1月18日 (金)

キュービック・グランド・ストラテジーの事例

 ポパーの世界3(哲学)理論を知っていると、いろんなことが認識できる。(彼によると、世界が三つの世界に区別できる。世界1=物理的肉体的世界、世界2=心理的世界、世界3=理論内容の世界)。私は、企業が生き残るためには、これら三つの世界に絶えずアプローチする必要があると主張してきた。このような戦略的アプローチを、拙著『戦略学』でキュービック・グランド・ストラテジーと呼んだ。

 さて、米国ヤフーでも話題になっていたことだが、寿司三昧?の社長がマグロを1.76ミリオンダラーで購入したという記事だ。英語の記事では、このお金なら、米国のどこの州でも、良い住宅が購入できるのに・・・なぜこんな高い値段で購入するのか合理的にわからないという内容だ。
 
 ところが、ポパーの世界3の理論からすると、物理的な世界1のレベルでは非常にコストが高く見えるが、世界2では社長の心理的に気持ちを盛り上げてプラス効果を生み出し、ましては日本だけではなく、世界中のメディアが社長とその会社を記事で紹介し、宣伝していることを考えると、世界3では恐ろしくプラス効果を得てることになる。

 会計的には損失だが、寿司三昧の社長の行動は、世界1+世界2+世界3の合計ではプラスの可能性が高い。しかも、世界3はもっとも次元が高いので、最終的に世界1へと影響することになる。

 このように、ポパーの世界3理論を知っていると、寿司三昧の社長の行動は、一見非合理だが、実はきわめて合理的だといえる。つまり、彼は、キュービック・グランド・ストラテジーを展開していたのだ。と、今日、米国人に説明してみたら、すこし納得していた。
 
 寿司三昧の社長はここまで考えていたかどうかはわからない。英語の記事では、日本を元気づけるために、高くても買ったという答えだったが・・・・ 

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

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菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

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