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2012年11月

2012年11月29日 (木)

日立、東芝 対 パナソニック、ソニー、シャープ

 米国に来てからいろんな英語記事を読むようになった。そこから、日本にいた時にはわからなかったことも見えてくる。

 たとえば、日立と東芝に対してパナソニック、ソニー、シャープ。日立と東芝は本当に強いし、底力がある。これに対して、パナソニック、ソニー、シャープは、残念ながら、底が浅い感じだ。日立や東芝は、よほどのことがなければ、揺れることはない。

 現在でも、日立と東芝は着々と世界でビッグビジネスを進めている。ここでは、具体的には書かないが、凄いビジネスを展開している。表面的なことを追っていないのだ。世界の動きを見ている。凄い会社だと思う。敵はGEぐらいかもしれない。

 さらに、東芝は最近PCでも頑張っているように思える。前にも書いたが、最近、バークレーでも東芝のPCを本当によく見るようになった。昨日も、ロースクールにいったとき、横にいた学生が東芝の新しいPCを使っていた。

 それに比べて、最近、NHKのニュースで、シャープの製品をめぐって不正表示問題が指摘されていたが、もしそれが本当だったら、残念だ。苦しいときこそ、こういった事件を起こしてはならないのだ。今日も英語の記事を読んだが、「いまのシャープはあたかも歩くゾンビのようだ」という表現があった。とにかく、がんばってほしい・・・・・ものだ。

   

2012年11月27日 (火)

バークレーのロースクールで法と経済学を

 バークレーのロースクールには、法と経済学で有名なクーター教授がいる。まさか、オープンなセミナーを開いていると知らず、残念だった。が、今日は、その最後のセミナーに参加した。クーター教授を直接見れたし、ランチつき、しかもまさに経済学的な内容だった。もっとも前から参加したかった。来年はぜひとも参加したい。

 バークレーのいいところは、ロースクールとビジネススクールが距離的にも近いし、学問的にも近い感じがする。ティース教授やウィリアムソン教授の講義には、ロースクールの学生やビジティングスカラーも結構参加しているのだ。この点は、日本と全然違うように思う。やはり、効率性の国だ。

 今日のクーター教授の講義で嬉しかったのは、日本のロースクール状況を例にしてくれたり、ドイツの状況を例にしてくれたりした点だ。つまり、いまだ日米独という感じだ。まだ、日本が見捨てられていない点に感動した。それに比べて、ビジネススクールは危ない状況だ。

 何とかしたいものだが・・・残念だが、私には英語の能力がない。

 

菊澤研宗: 組織の不条理―なぜ企業は日本陸軍の轍を踏みつづけるのか

菊澤研宗: 組織の不条理―なぜ企業は日本陸軍の轍を踏みつづけるのか

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

『組織の不条理』の文庫版

菊澤研宗: なぜ「改革」は合理的に失敗するのか 改革の不条理

菊澤研宗: なぜ「改革」は合理的に失敗するのか 改革の不条理

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

2012年11月26日 (月)

劇や文学の本質は事実ではないのか?

 久しぶりに映画「風とともに去りぬ」をみて、ユーチューブでビビアンリーを追いかけてみた。いろんな彼女の伝記が作られていて面白い。

 そして、彼女のもうひとつ有名な映画『Waterloo Bridge』(哀愁)も、ユーチューブでみることができ、改めてみた。この映画は本当に素晴らしい、感動する。すべての場面が絵や写真になるようなすばらしさ。ビビアンリーの動作一つひとつが素晴らしい。

 ストーリーは、若くきれいな踊り子(ビビアンリー)と将校が橋で出会って結婚を約束するが、将校が戦争に行く。そして、彼女は新聞記事で将校が戦死したことを知る。そして、そこから悲劇が始まることになる。とても悲しい物語だ。

 今回、この映画をみて、不思議なことに気付いた。もちろん、これは物語であって、事実ではない。あくまでフィクションだ。私は、実はフィクションが嫌いな人間なのだ。その自分がなぜこれほど感動するのか。

 それは、この物語がフィクションなのだが、その内容が普遍的な倫理、価値、原理について語っているからである。それは、現実に存在している原理、倫理、価値なのだ。だから感動するのだ。

 もちろん、登場人物すべてが事実ではない。しかし、そのストーリーの奥にあるものは、人間社会に存在している事実であり、本質であり、変わらないものであり、あえて真理と呼びたいようなものなのだ。

 このように考えると、文学や物語の本質は、社会科学が追求しているものとそれほ変わらないのかもしれない。

 そんなこといまになってわかったのか!遅い!といわれそう。

http://www.youtube.com/watch?v=p_NMCRcgzz4

菊澤研宗: 組織の不条理―なぜ企業は日本陸軍の轍を踏みつづけるのか

菊澤研宗: 組織の不条理―なぜ企業は日本陸軍の轍を踏みつづけるのか

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

『組織の不条理』の文庫版

菊澤研宗: なぜ「改革」は合理的に失敗するのか 改革の不条理

菊澤研宗: なぜ「改革」は合理的に失敗するのか 改革の不条理

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

2012年11月24日 (土)

ブリティッシュイングリシュとアメリカンイングリシュ

 これまで噂で聞いていはいたが、ブリティシュイングリシュとアメリカンイングリシュの違いの大きさについて実感することはなかった。

 日本で英語を勉強していると、二つには違いあり、その違いとして、日本ではスペリングの違いや単語自体の違いなどを習う。

 しかし、本当の違いは発音だ。これまでまったくわからなかったが、最近、少しだけわかってきた。アメリカンイングリシュは、聞き方によっては聞きやすい。しかし、聞き方によっては、ブリティシュイングリシュはアクセントがはっきりしているので聞きやすいともいえる。

 しかし、決定的に違うのは、ブリティシュイングリシュは品がいいのだ。

 昨日、こちらのテレビで英語『風と共に去りぬ』を放送していたので、少しみていた。そして、ビビアンリーについて知るために、ユーチューブを調べてみた。スカーレットオハラ役はなかなか決まらなかったようだが、結局、ビビアンリーがその役を射止めた。

 もちろん、彼女の美貌はすばらしく、やはりこれが決定的だったのだろう。しかし、わたしは彼女の品のいいブリティシュイングリッシュの発音も良かったように思える。なにせ、スカーレットオハラはお嬢様だから。

 しかし、晩年の彼女の話し方は変化したように思える。たぶん、晩年は荒れていたのだろう。

 

2012年11月23日 (金)

経営学者のターゲットはだれか

 年をとると、経営学者としていろんなことが分かったり、変化したりする。

 さて、経営学者がターゲットにしているのはだれか?

 若いときは、大学への就職、そしてレベルの高い大学への転職を考える。そのとき、経営学者のターゲットはだれか。おそらく、大学の先生かもしれない。いい論文を書いて、大学の先生に認めてもらい、大学に就職する。だから、経営学者は現場の企業や企業人や経営者には、実はそれほど関心がないのだ。

 こういったターゲットなので、数理モデルを使ったり、統計学を使ったりして、難しい論文を書く。とにかく、大学の先生にアピールする必要がある。

 ところが、就職が決まると、少し変化する。企業自体に関心をもちはじめる。もちろん、若いときにも現場の企業に関心をもつが、それは企業のためではなく、あくまでもいい論文を書き、偉い先生に認められたいからだ。

 しかし、年をとると、こんどは企業人や企業経営者に関心をもつ。会社に呼んでもらいという気持ちになったりする。(たぶん経済学者は政府に呼ばれたくなるだろう)すると、企業人、とくに経営層はそもそも統計的な分析や数理モデルなどに関心をもっていないのだ。そんなのは、部下にやらせればいいし、頭のいいのはいいっぱいいる。学者の分析より、企業自身が正確なデーターを持っており、自分でやった方が早いのだ。だから、そんな統計や数理モデルの研究など、当然、関心がないのだ。

 それでも、企業経営者は経営学者に関心をもってくれることがある。それは何か。やはり、原理的な問題だ。数理モデルや統計的分析ではないのだ。若いときには、経営学者は科学、科学といっているが、科学の力によって解明できることなど、ほんのわかずで、限界があるのだ。

 そもそも、経験科学が求める真理というものを言明と実在との一致というふうに定義したとたん、経験科学の限界が明らかとなる。われわれ人間は、言明と実在の一致を確定できないのだ。

 「すべてのカラスは黒い」という言明を実在に一致させるには、無限のカラスを観察する必要がある。これは不可能だ。だから、この常識的な知識ですら、真理として確定していないのだ。その経験的基礎は不安定なのだ。

 さらに、「ここに黒いカラスがいる」という観察言明ですら、真理として確定することができない。この言明と実際にそこにいる黒いカラスが対応していることを証明するには、『「」という言明と・・・・・は対応している』というより高次の言明が必要となり、この言明が実在と一致しているかどうかをさらに確定する必要がある。しかし、それを証明するには、またまたより高次の言明が必要となるので、結局、無限後退するだけで、真理は確定できない。

 現在、われわれが「科学」といっているものは、このような不安定な経験的基礎のもとに成り立っているにすぎない。だから、科学を過信してはならない。by Popper まだまだ世の中にはわからなことがほとんどだ。

 やはり、哲学や原理などは意味があるのだ。 そういったことを語っていたのが、ドイツのニックリッシュ、アメリカのバーナード、そして、オーストリアのドラッカーなのである。そして、そういったことを知りたがっている経営者は、かなりいるように思う。

 「もうお金もうけはいいんだ。そのあと、経営者として何をすればいいと思うか。生きている証として何をすればいいのか」

 若い経営学者はどう答えるのか?そんなこと考えたこともないかもしれない。ターゲットは違うから。

 こんなことを考えると、科学的な経営学が役に立つのか哲学的な経営学の方が役に立つのかわからなくなるものだ。

 いずれにせよ。経営学という学問は面白いのだ。

菊澤研宗: 組織の不条理―なぜ企業は日本陸軍の轍を踏みつづけるのか

菊澤研宗: 組織の不条理―なぜ企業は日本陸軍の轍を踏みつづけるのか

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

『組織の不条理』の文庫版

菊澤研宗: なぜ「改革」は合理的に失敗するのか 改革の不条理

菊澤研宗: なぜ「改革」は合理的に失敗するのか 改革の不条理

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

2012年11月22日 (木)

経営学と教科書

 経営学ほど教科書を書くのが難しい学問はない。だから、経営学は学問としてはだめなのだ、というかもしれない。

 昔、経営学は科学か?という観点から、科学哲学が勉強していたことがある。ポパー、ラカトシュ、ファイアーベント、そしてトマス・クーンなど。彼らの議論からすれば、経営学なんてとても科学的とは言えない学問だ。

 しかし、最近、年をとったせいか、考えが変わってきた。とにかく、経営学という学問は教科書が似合わないのだ。むしろ、教科書のように固定されてしまうと、経営学がだめになる、あるいは腐ってしまうように思える。経営学は、つねに変化しているほうがむしろ健全なのではないか。そう思うようになった。

 だから、経営学の教科書にこだわっている人をみると、何か経営学という学問の邪魔をしているように思えてくるのだが・・・・

 どんどん変わる。それでいいのではないか?ただし、「科学」という看板は降ろす必要があるかもしれない。

 難しい問題だ。

2012年11月21日 (水)

アメリカの経営学と日本の経営学

  1970年代までの日本の経営学者は、ある意味で楽だった。アメリカやドイツにはまだ有名な経営学者がいたからだ。だから、日本で有名になる方法のひとつは、有名な経営学者の本の翻訳だった。

   ところが、今は大変だ。 アメリカでもドイツでも有名人は少なくなったからである。さらに、日本企業がひたすらアメリカの経営学を模倣する時代も終わったからである。日本企業や経営者自身が自律的になった。その表れが、つい最近まではやっていた(実は日本ではずっと人気があったのだが)ドラッカーブームだ。あれは、いわゆるアメリカ経営のアンチテーゼだ。
 
  リーマンショックをみて、多くの経営者がやっぱりアメリカの経営者のようにカネ儲けだけでは駄目だよねということに気づいたからだ。やはり、哲学や倫理も必要ではないかと。だから、ドラッカーの陰で、孔子の論語の読書会もはやっていた。
 それから、やはり日本人、とくに経営層は何か哲学的なところが好きなのだ。だから、ドラッカーの前は、バーナードだった。いずれも、内容は難解だ。経営層がいいいいと言い出すので、部下たちもいやいや読まなくてはいけなくなる。そこに「もしドラ」が・・・・          
   
 問題は、ここからである。では、今後、どうするのか。実は、経営者も官僚も経営学者もみえていない。多民族社会と単一民族社会。アメリカに来てみればわかるが、少なくともアメリカの経営は日本にはあわないように思う。やはり日本人は組織が好きなのだ。だから、組織になると、どうしても最後は求心力として、何か倫理とか、精神とか、リーダーシップとか、そこに行き着くのだ。
 むかし、そういった点に強かったのはドイツだったのだが、ドイツにはもうそういった学者はいない。

2012年11月20日 (火)

バークレーでの報告のその後

 先日、このブログでも書いたが、バークレーのスモールミーティングで報告させてもらった。私の研究は数学も使わないし、統計も使っていないものだ。まあ、その後、みんなでお茶でも飲んで、お話しできればということで、引き受けた。

 ところが、後になってあなたの報告は面白かったというメールをくれる外国人が何人もいて、驚いている。世の中、ほんとうに広いんだなあ~と思った。やはり、英語はすごいかもしれない。

 しかし、私はもう歳なので・・・・・。

 そういえば、私がこの歳になって米国に留学すると聞いて、同僚のT先生が私に「菊澤先生!いまさらなにしに米国にいくんですか?」と聞いてきた。私は、ハッとした。とういうのも、私の気持ちは30代のときと全然変わっていなかったのだ。しかし、客観的にみれば、もう終盤なのだ。

 しかし、気持ちはやっぱり若いのだ。まあ、若いとき足が早かったプロ野球選手が晩年になっても2塁に盗塁してタッチアウトになる感じだ。頭の中では、まだ足が速いのだ。

 

菊澤研宗: 組織の不条理―なぜ企業は日本陸軍の轍を踏みつづけるのか

菊澤研宗: 組織の不条理―なぜ企業は日本陸軍の轍を踏みつづけるのか

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

『組織の不条理』の文庫版

菊澤研宗: なぜ「改革」は合理的に失敗するのか 改革の不条理

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菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

2012年11月19日 (月)

日本の文房具業界はイノベーションの宝庫だ

前から思っていたが、日本の文房具業界は、世界ダントツ1位だと思う。米国にくるとわかるが、インクが出ないボールペン、液がですぎのマーカ、消えない消しゴム。つかないノリ。

 それに対して、日本の製品はすごい。今回、消せるボールペンを持ち込んで、米国人に見せたら、驚いていた。そして、今度は針なしホッチキスだ。まさに、日本の文房具はイノベーションの宝庫だ

 もちろん、ブリジストンの空気不要のタイヤや、三洋の洗剤不要の洗濯機もすごいが・・・

〇針なしホチキス

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121118-00000002-fsi-bus_all

2012年11月17日 (土)

東芝のPC

 UCバークレーは町全体が勉強しているといった町だ。小さい町で、喫茶店はいつも学生で満杯。みんな勉強している。さらに、学生だけではなく、普通の人もと年よりもみんな本を読んだり、PCを持ち込んで何かしている。

 私も、よく茶店で勉強しているのだが、一つ気になることがあった。はっきりいって、バークレーでは、99%の人々がPCマックを使っている。あのリンゴのマークのPCだ。ときどき、昔買ったと思われるソニーのバイオをみることもある。

 私がいいたいのは、最近、数人、最新の東芝のノートPCを使っている学生をみたことだ。驚いた。もしかして、これがスマートPCというやつかと思った。私にはわからないが、少しうれしくなった。

 パナソニックも、タブレットとノートPCの両方の機能をもつレッツノートが発売されているようだが、とにかく日本の企業に頑張ってほしいものだ。しかし、ここではパナソニックは見たことがない。私は、レッツノートのファンなので、米国でも頑張ってほしい。しかし、いまだ私以外にパナソニックのPCを持っている人を見たことない。町でも大学でも。

 日本企業がんばれ!!!!!!!

米国の経営学

米国は何と言っても経営学が有名だ。MBAコースが発展している。私は、20年前に、ニューヨーク大学スターンスクールに滞在し、現在は、UCバークレーのハース・ビジネス・スクールにいる。いずれも、全米ではベスト20に入る超有名大学院だ。

私も歳をとったせいか、いまはがつがつと米国の経営学から何かを得て日本に持ち帰ろうなどという野心は、それほどない。昔と異なり、米国での最新のアイディアはすぐに日本で紹介される。とくに、本などは、すぐに日本で翻訳される。

とにかく多少とも英語がうまくなればいいというのが、ささやかな目標だ。

他方、研究者を目指す米国の大学院生の研究といえば、申し訳ないが、就職に必要なジャーナルのための論文が多くなる。ジャーナルに掲載されるには、適当に仮説を設定し、検証するか、数理モデルを展開する必要がある。それゆえ、そういったワンパターンの論文形式が多い。

ハースには、大学院生のための発表会がたくさんある。そのレジメは、セミナーのホームページから事前にダウンロードできる。しかし、面白くないものが多い。というのが私の感想。しかし、このことは学生もよくわかっていて、とにかく就職するまで、仕方がないということだ。

しかし、院生の報告する機会や場は多く、そこではバークレーの学生だけではなく、スタンフォードの学生、ハーバードの学生、プリンストンの学生なども報告しにやってくる。これは、日本でもぜひとも見習うべきことだと思う。

これに対して、統計学も数学も使わないので、非科学的で非アカデミックと言われるかもしれないが、やはりティスブロー教授のオープンイノベーションは面白いし、ティース教授のダイナミックケイパビリティもあやしいが面白い。もちろん、クリステンセンのイノベーションのジレンマなどもそうだ。このあやしさ、これぞ経営学だ。

いまの米国大学院の状況では、今後、このようなビッグ・アイディアは出にくいかもしれない。

2012年11月15日 (木)

不条理の議論を何とか英語論文に

 現在、ティース教授との論文で、彼がコメントしてきた点に感動した点がある。最初に、彼と議論したとき、私は何とかして私が日本で展開している不条理の議論を知ってもらいたくて、「合理的失敗」や「非合理的成功」という形で「合理性」という言葉を導入していた。

 しかし、ティース教授は、合理性という概念は厄介で、批判の対象となるかもしれないということで、「効率的失敗」と「効率的成功」という概念に変換し、合理性という言葉の使用を避けた。

 ところが、共同論文のある部分で、ティース教授は、この点はハーバードのレベッカ・ヘンダーソンの論文と関係しているのではないか。そして、それはアカデミー・オブ・マネジメント・レヴューではないかとコメントしてきた。

 しかし、探してもそのような論文はないのだ。しかし、ジャーナルは違ったが、ついに見つけた。感動した。私は、彼女に親近感を覚えた。彼女は、「合理的」な失敗について語っていた。理論は異なるが、言いたいことは同じなのだ。しかも、彼女は「rational」という言葉を使っているのだ。

 感動した。不条理のロジックの導入とともに、ヘンダーソンについて研究してみたくなった。

菊澤研宗: 組織の不条理―なぜ企業は日本陸軍の轍を踏みつづけるのか

菊澤研宗: 組織の不条理―なぜ企業は日本陸軍の轍を踏みつづけるのか

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

『組織の不条理』の文庫版

菊澤研宗: なぜ「改革」は合理的に失敗するのか 改革の不条理

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菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

2012年11月11日 (日)

ティース教授との共同論文の件

 先日、ティース教授に渡していた共同論文の修正版が送られてきた。取引コスト理論に関する部分がかなり修正されていた。私は、コース、ウィリアムソンについて簡単に説明していたのだが、アローも導入されていた。アローも取引コストの創始者のひとりである。

 しかし、全体的に修正点は少なかった。そして、これが私を不安にしている。それほど価値がある論文ではないとみなされたのかもしれない。したがって、ワーキングパーパーで終わるかもしれないという可能性だ。

 しかし、気分をとり直し、ワーキングペーパーでも十分価値があると思って、がんばりたい。コメントに従って修正し、また送り返す予定である。

2012年11月10日 (土)

報告会でのボーゲル教授の質問

 先日、取引コスト理論とダイナミック・ケイパビリティを用いて、コダックと富士フィルムを比較する研究について発表した。

 そこに、ボーゲル教授が参加してくれ、初っ端から鋭い質問をしてくれた。「富士フイルムは成功しているが、なぜいま日本の家電、シャープ、ソニー、パナソニックがだめなのか?」さすがに、日本通だ。

 この問題は、まさに重要な問題で、ひとことでいえば、シニア・マネジメントにダイナミックケイパビリティが欠けているからであり、だれでもできる利益最大化原理にもとづくコスト削減と収益増加だけを行っているからだ。

 しまいには、社長がロイター通信などに弱音をはいているようだ。私は、社長に就任するとき、硫黄島に向かった栗林忠道、フィリピンに向かった山下奉文、ペリリューに向かった中川と同じ気持ちで就任してほしかった。もう後はないのだ。「Z」なのだ。

 もう一点、認識論的な意味で、日本の家電企業はオープン・イノベーションがなされてないということ、これについては、今後、論文で書きたいと思っている。チェスブロー教授の議論をアカデミックに再構成してみたいというのが、次の研究である。

学問と英語

 このブログでも何度も書いているのだが、とにかく英語に苦労している。だから、英語がうまい人を見ると羨ましい。しかし、いろんな人をみていると、論理的に4つに区別できる。

(1)英語もうまいし、話す内容もいい研究者。これが最高。

(2)英語はうまいが、いまいち話す内容がない研究者。

(3)英語は下手だが、話す内容は面白い研究者。

(4)英語も話す内容もだめな研究者。

さて、この4つの分類をみて、どう思うか?主観確率的に25%、25%、25%、25%と思うかもしれない。しかし、人間は頑張れば進歩するものだ。すると、もっと面白いことがわかる。この4つのパターンには、二つの進歩のパターンがあるということだ。

(3)から(1)への進化

(4)から(2)への進化

私の長年の教員生活からすると、その他の進化のパターンはほとんどない。たとえば、(4)から(3)へ、そして(1)へのパターン。(2)から(1)もない。

私の場合、恥ずかしながら、自己過信的なので、(3)から(4)を目指している。しかし、もう年なので、(3)で終わりそう。残念。

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

『組織の不条理』の文庫版

菊澤研宗: なぜ「改革」は合理的に失敗するのか 改革の不条理

菊澤研宗: なぜ「改革」は合理的に失敗するのか 改革の不条理

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

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2012年11月 9日 (金)

日本企業の経営者に必要なのはダイナミック・ケイパビリティ

 米国にいるので、英語で日本企業の記事をよく読む。本当なのかどうか、わからないが、ロイターの記事に、日本の家電企業の社長が泣き言を言っている記事があった。米国人と、トップはこんなことをいってはいけないよね!といったりしている。

 いまは本当につらい時期だと思う。しかし、ドラッカー流にいえば、能力のある人にとっては、最高の舞台が与えられているといっていいのだ。まさに、いまはどうなるかわからない、売れるはずだったテレビもスマートホンも売れない不安的な時期に必要なのは、トップのダイナミック・ケイパビリティである。

 それは、無から完全に新しいものを生み出したりすることではない。既存の知識、既存の資産、既存のノウハウを徹底的に再点検し、応用可能性はないか、再構成できないか、別の業界で新しく育てることはできないか。一見奇妙な動きをすることである。

 いま家電が行っていることは、オーディナリーケイパビリティにもとづく経営だ。それは、利益最大化原理にしたがって、一方でコストを削減し、他方で今少しでも売れている製品に集中して収益を伸ばす。まさに資源ベース経営であり、その本質は利益(収益ー費用)の最大化経営である。

 それは、教科書的な経営であるが、不確実な世界では通用しないのだ。こうして失敗したのが、コダックである。

 

2012年11月 8日 (木)

バークレーでの報告会 コダックと富士フィルムー取引コストとダイナミックケイパビリティ

 昨日、何とか、報告が無事終了。「効率的に失敗したコダックと非効率的に成功した富士フィルムー取引コストとダイナミック・ケイパビリティ」というタイトルがよかったのか、あるいはコーディネーターのAさんの努力のおかげか、多分後者だが、予想以上に人が集まった。小さな部屋が満杯になり、部屋からはみ出るようになったので、ハースのイノベーション研究所の事務の人が不機嫌だったようだ。

 みなさん、本当に熱心に聞いてくれて、感謝している。特に、今回は、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」という本で有名なボーゲル先生の息子さんで、いまUCバークレーの教授であるボーゲル先生が参加してくれて、本当に嬉しかった。とてもいい先生で、本当に感謝している。それだけでも、意味があった。

 また、今回の報告で、あのオープンイノベーションで有名なチェスブロー教授ともメールでやり取りができたので、とても有意義な報告会だった。いま、オープンイノベーションに関心を持っているので、論文を書いたら助言してほしいとメールしたら、喜んで助言するよというメールがまた帰ってきたので、とてもうれしかった。

 さらに、共同著者としてお願いしていたティース教授からも、前回、論文をハードコピーで渡していたのだが、昨日、あの論文を修正したので、ファイルを送ってほしいというメールがきた。本当に共著者になってくれるのかどうかわからないが、少なくとも関心をもってくれているようで、うれしくなった。

後は、私の英語能力の問題だけという感じ・・・・・・・

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

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『組織の不条理』の文庫版

菊澤研宗: なぜ「改革」は合理的に失敗するのか 改革の不条理

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菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

2012年11月 3日 (土)

ダイナミック・ケイパビリティの欠如した日本企業

最近、シャープ、パナソニック、ソニー、そしてNECの様子がおかしい。もちろん、いろんな要因があるだろう。日本企業として、なんとかがんばってほしいものだ。

米国でも、いろんな記事を英語で読んでいる。それぞれの企業はそれぞれ必死になって努力していることも理解できる。しかし、毎回、英語の記事を読んでいいると、自然にある傾向に気付く。すなわち、一方で人員整理を進め、工場を休止する。他方で、売れいている白物を増産する。

つまり、新古典派経済学の教科書通り、コストを削減し、収入を増加して利益を最大化しているのだ。つまり、利益最大化原理にもとづく経営を展開しているのである。このような経営はオーディナリーケイパビリティに基づく経営だ。

しかし、これでは不確実で不安定な状況にある業界では生き残れない。何よりも、ダイナミックケイパビリティを用いて、むしろエキセントリックな経営を展開しなければならないのだ。

しかも、完全に新しいものを生み出すのではなく、既存の技術、既存のノウハウを徹底的に分析して、再構成して、あたしい方向へ向かう必要がある。

理論的にこの技術はこの分野に応用できるとわかっているが、実践されていないものはないのか。理論と応用と実践は異なる。研究者は理論と応用については詳しいが、それを実行することは必ずしも得意ではない。それを実践するのが、経営陣であり、そのダイナミック・ケイパビリティである。

富士フイルムでは、フイルムの色褪せを止めるコラーゲンをめぐる技術と肌の老化を止めるコラーゲンの技術が似ていることはすでに理論的かつ技術的にわかっていたのだ。しかし、技術者はそれを実践することはできなかった。それを実践させた経営陣の力は大きいと思う。

シャープにも、パナソニックにも、ソニー、NECにもこのような眠ってりる知識と技術がたくさんあるのではないか。

2012年11月 2日 (金)

キュービック・グランド・ストラテジーからすると

光文社新書『戦略の不条理』とダイヤモンド社『戦略学』で展開したキュービック・グランドストラテジーは、世界を三つの区別する。

(1)物理的世界

(2)心理的世界

(3)理論的(知識)世界

三つの世界は相互に作用する。さらに、三つの世界は相互に重なり会うが、完全に同じではない。したがって、いくら物理的技術的にみて優れた製品を作っても売れる保証はない。心理的にあるいは知識的に価値がないかもしれないからである。何よりも、三つの世界にアプローチする必要がある。

この戦略的観点からすると、最近、日本の家電企業が弱体していることに対する負け惜しみ(サワーグレープ)のように聞こえるのだが、アップルのiphoneの部品の50%以上が日本製だとか、サムソンの製品の部品のほとんどが日本製だという主張自体が、戦略的に終わっている。物理的な世界でのみ戦っているような主張だ。

やはり、三つの世界を支配しなければならないのだ。部品だけではなく、デザイン、心理的な愛着、すべてにアプローチしないと、勝てないのだ。

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

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