昨日、バークレーでチェスブロー教授の2回目のセミナーに出席した。オープンイノベーションの講義である。
オープンイノベーションの話は簡単だ。イノベーションを起こす場合には、内外の知識を自由にオープンに利用する方が効率的にかつ効果的にイノベーションが起こるということだ。
このセミナーはMBAの講義にもなっているようで、MBAの学生の質疑応答も聞ける。今回、学生で素直でいい質問をする学生がいた。それは、私の専門である組織の経済学、企業の経済学にとっての本質的な問題だった。
「オープンイノベーションと企業買収はどこが異なるのか?」
この問題は、「企業境界の問題」である。オープンイノベーションを方法として利用する場合、企業の境界はどうなるのか、という問題である。おそらく、知識を外から取り入れる方法の一つとして、買収も可能性があり、それゆえオープンイノベーションを起こすために、企業は巨大化するかもしれない。
もちろん、オープンイノベーションのために、知識を買うこともできるし、借りることもできるだろう。では、どのような企業境界がオープンイノベーションにとって効率的なのか。
チェスブロー教授の答えはあいまいだった。学生もそんなものかということで、疑うこともなく、問い詰めることはなかった。
この問題に答えるには、たとえば取引コスト理論などを利用する必要があるだろう。しかし、経営学は大雑把な学問なので、明確にしない方がいいかもしれない。MBAの学生も別に学者になるわけではないので・・・この程度いいのかもしれないと思った。
講義が終わり、私はその学生に「君の質問はすばらしかった」と言いたくなった。
●学生にひとこと、先生が「それはいい質問だね」という場合、大抵、先生の方が待っていた質問だ。つまり、すでに答えがある質問のことをいう。誤解しないように・・・・・・・大抵、答えに困る質問の方が本質的だ・・・・・
野中 郁次郎: 失敗の本質 戦場のリーダーシップ篇
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