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2012年5月14日 (月)

日本企業に対する欧米の視点はいまだ変わっていない

日本にいたときには忙しくて読めなったが、米国に来て英語の勉強で、エコノミストやニュースウイークなどの記事をときどき読む。

おもしろいなあ~と思うことがある。そこには、ワンパターンの見方が存在するからだ。科学哲学的にいえば、ハンセンの「理論負荷性」だ。(人間は理論(常識)にもとづいて現実を認識する。)欧米の論者には、次の常識が前提となっているように思う。

「すべての企業は株式市場の動きに反応して行動する」

アサヒがカルピスを購入したのも、ソニーがある市場から撤退したのも、日立や東芝があるビジネスから撤退したことも、すべて株価の動きによって説明できるという論調だ。

しかし、日本人はこの議論に首をかしげる。日本企業は、たしかに自己資本比率は伸びている。しかし、いまだ負債比率は高いし、自己資本比率が高くても相互に株式の持ち合いをしているので、株式市場からの影響はない。しかも、比率の少ない自己資本の大株主のほとんどがいまだ金融機関と保険会社だ。そこには、過激な株主はいない。みな保守的だ。もちろん、外国人株主もいる。しかし、マイノリティだ。

こういう状態なので、株価が下がったので、あの日本企業は買収を行ったとか、株価が上がったので、あの日本企業はその市場に参入したという説明は、そうとう違和感がある。

こんな見方をしているので、自分の会社が危機になったとき、まず始めるのは、人間組織というものを無視した企業買収によるリストラ、特許訴訟による資金収集といった小手先の改革だ。

こうして失敗したのが、コダックであり、GMなのだ。米国のMBAのテキストどおりなのだ。やはり必要なのは、クーンのいう人間くさいパラダイムシフトなのだ。

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理
キュービック・グランドストラテジー

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

●上記の『組織の不条理』の文庫版

菊澤研宗: なぜ「改革」は合理的に失敗するのか 改革の不条理

菊澤研宗: なぜ「改革」は合理的に失敗するのか 改革

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