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2012年5月

2012年5月29日 (火)

ハンバーガー店でもやってしまった同じ失敗

またやってしまった同じパターンの失敗を。

近くにおいしいハンバーガーのお店があると聞いていたので、知り合いの人と出かけた。ハンバーグではなく、ハンバーガーのお店。日本では、ハンバーガーというと、大抵、ファーストフードのお店をイメージするだろうし、それ以外店にいったことがない。

ところが、このお店はふつうのレストランだ。さっそく、レストランに入って、メニューをみたら、いろんな種類のハンバーガーがある。どれがどれだかさっぱりわからないが、とにかく適当に決めた。

ヒスパニック系のウエイトレスが注文を取りに来てくれた。

「チーズバーガー」を注文。発音が悪いので、通じないかもしれないと思い、大抵、メニューを持ち出して指でさすことにしている。そして、コーヒーを注文した。

何の問題もなく、ウエイトレスは理解してくれたようで、安心した。しかし、安心も数秒だった。ウエイトレスが、何か質問してきた。

「$%&#+***・・・・・・・・・・・?」

何を言っているのか。わからない。

「パードン・ミ?」

ウエイトレス

「$%&#+***・・・・・・・・・?」

やはり、まったくわからない。何を聞いているのか。困った。しかし、今回は一緒に行った人が英語がうまかったので、助かった。

「たぶん肉の焼き加減を聞いているみたいですよ」

私は驚いた。ハンバーガーでも、肉の焼き具合をきくの?そんなお店いったことないんだけど~

「ミ・・・・ミディアム」

かつて、私は防衛大の教官だったので、横須賀の米軍基地の将校だけが入れるオフィサーズクラブにいってハンバーガーを注文したが、そこでも肉の焼き加減など聞かれなかったし、日本ではハンバーガーはほとんどファーストフードだし、・・・・

人間といのは、知らないものは見えないし、知らないものは聞こえないのだと改めて思った。しかし、真実は、単に英語が下手なだけなのだろう。先は遠い・・・・・

今度いったとき、どんな英文で質問していたのか、確かめなければならない。

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

●上記の『組織の不条理』の文庫版

菊澤研宗: なぜ「改革」は合理的に失敗するのか 改革の不条理

菊澤研宗: なぜ「改革」は合理的に失敗するのか 改革の不条理

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

2012年5月26日 (土)

最近、少しうれしかったこと

 こちらに来て、それほど嬉しいと思ったことはないのだが(これもすべて英語にのせいなのだが)、最近、ちょっとうれしかったことが二つある。いずれも英語に関係していることなのだが。

(1)こちらで有名なビーツ・コーヒー店に入ると、ときどき三つのことを聞かれることがあった。大抵は、二つなのだが、

 一つ目は「何を注文するのか?」、私は大抵カフェオレを注文する。こちらのカフェオレは本当においしい。

 二つ目は「名前は?」。そして、三つ目がよくわからなかったが、大抵、店員が勝手に処理してくれるので、これまでとくに問題はなかった。

 ところが、最近、この三番目の質問が聞き取れたのだ。これには、少し感動した。答えは、「どんな種類のミルクにするか?」だった。どんな種類があるのか聞いたら、レギュラー、ロー・ファート、そしてジャンジャーといっていた。もちろん、レギュラーを注文した。ちょっと嬉しかった。これで、謎が一つ解けた。

(2)もうひとつ、私の研究室にはガラス張りのドアがある。ドアの外にはアルバイトの研究者が二人(男女)いて、ときどき監督のおばさんがきて、話をしている。私は、英語が聞き取れないので、とくに気にならなかったが、この間、聞こえてしまった。

おばさんが女性に「先週、髪をカットしたの?先週と違うわね。似合っているわね。」

女性「ありがとう。」

おばさん「私は髪の色がブラウンなので、その髪型は似合わないのよ。」

・・・・・・・

残りの男性、「向こうで話をしてくれませんか!」

おばさんと女性 「シン~~~~・・・・・・・」

ということだった。

驚いた。大したことではないが、少しうれしかった。

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

●上記の『組織の不条理』の文庫版

菊澤研宗: なぜ「改革」は合理的に失敗するのか 改革の不条理

菊澤研宗: なぜ「改革」は合理的に失敗するのか 改革の不条理

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

2012年5月22日 (火)

ダイナミックケイパビリティをめぐる現状は深くておもしろい

 いまだ英語能力が足りず、苦しんでいる。本末顚倒なのだが、英語の練習に論文を書いている。ダイナミックケイパビリティに関連するものだ。

 書いているうちに、いろんな関連が見えてくる。研究というものは、本当に奥が深いものだ。ときに、本当に刺激的な論文があるものだ。読めるのだが、書けない。

 いま、ダイナミックケイパビリティは、注目されているが、いろんな問題もはらんでいる。いずれも、昔、学んだ科学哲学に関係しているのだから、本当に不思議なものだ。ティース教授が授業前にくれた最新の論文や講義の資料としてくれた論文をみると、今何を考えているのか、推測することができる。

 もし私に英語の能力があれば、・・・・・と思うことが多くて困る。日本語ならば、いろんな批判もかわすことができるのにと思うこのごろである。

 秋学期のドクターコース授業までどれだけ英語が上達するかが問題だ。頭が固くて、だめかもしれない。日本語でまともに論文を書くのに、何年もかかったことを考えると、絶望的な感じもする。

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理
キュービック・グランドストラテジー

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人

2012年5月18日 (金)

野中先生との共同論文の第二弾が6月に

     一橋ビジネスレビュー6月号(2012年)に、野中先生との共著論文第二弾『知識ベース企業の経済学』が掲載されます。

  この論文では、野中先生のナレッジマネジメントを構成する三つ要素、(1)SECIモデル、(2)ミドル・アップ・ダウンマネジメント、(3)ハイパーテキスト型組織のうちのミドル・アップ・ダウンマネジメントの効率性とハイパーテキスト型組織の効率性を組織の経済学で証明しています。第一弾論文の『知識ベース企業の境界設定』は、(1)SECIモデルに関する論文です。

  これによって、ナレッジマネジメントが経済学的にも効率的であること証明されることになります。関心のある人はぜひとも一読お願いします。

http://www.toyokeizai.net/shop/magazine/hitotsubashi/#mokuji

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理
キュービック・グランドストラテジー

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

2012年5月17日 (木)

野中先生から本が届いた

  先日、米国の私のアパートに日本から本が届いた。野中郁次郎先生からだ。その本は、『知識創造経営のプリンシプル』。
 その本の「はじめに」の中に、私の名前がでていた。感動するともに、野中先生に感謝するばかりである。私がいまバークレーにいてティース教授のもとで研究ができるののも、すべて野中先生のおかげなのだ。
 
 

2012年5月16日 (水)

数字が好きな割には計算が嫌いな米国人

前に、米国では、毎日、株価と為替の動き、そして毎週・毎月のように雇用統計がだされ、それに一喜一憂しているという話をした。アカデミックな世界でも、大抵、統計的なデータを出すと、そのロジックが単純でもジャーナルに掲載されやすい。日本人にくらべて、米国人は、本当に、数字が好きな国民のように思える。

 

 ところが、ここバークレーに来て、スーパーやお店にいくと、気付くことがある。実は、これはニューヨークでも経験したことだ。

 初めは、米国の通貨に慣れていないので、日本人はなかなか小銭が使えないのだ。25セント、10セント、5セント、1セントがある。25セントと1セントは大きさでわかるのだが、10セントと5セントが分かりにくい。10セントの方が5セントコインよりも小さいのだ。ただし、質が違うようだ。

 

 ところが慣れてくると、これらの小銭をスーパーで使い始めることになるものだ。すると、何回か同じ光景を見にすることになる。米国のレジの人は、おそらく計算が苦手だということだ。

 

 たとえば、スーパーで買い物をする。合計が10ドル75セントだとしよう。これは実際にあったのだが・・・。そこで、私は、10ドル札1枚と10セントコイン7枚と5セントコイン1枚をなんとか、財布から取り出し、果たして自分の計算があっているかどうか、ドキドキしながら、レジの人の反応を真剣にみていた。

 

 ところが、レジの人は10ドル札だけみて、小銭を数えることもなく、ゴミでも捨てるかのように、キャッシャーに入れてしまった。「おい~本当にあっているかどうか、しっかり数えてくれ・・・」とつい心の中で叫んでしまった。計算しない人たちなのだと思ってしまった。この光景は何度かみた。

 

 今度は、別のスーパーに行った。合計が9ドル8セントだった。そこで、日本人がよくやるように、小銭より札がほしいので、10ドル札と5セントコイン1個と1セントコイン3個渡した。答えは、1ドル札1枚返却だ。

  しかし、レジのおばさんは、お金をみて、少し考えて首を横に振ったり、ひねったり、とにかくもたもたしていた。なかなか答えがでないので、1ダラーバックといったら、やっとニコリと笑ってくれた。きっと計算が苦手なのだと思った。

 

 別のバージョンもある。とにかく、日本人は1ドル、5ドル、10ドル札がほしいので、いろんなパターンで小銭を使う。たとえば、おつりが1ドル1セントになるように小銭使ったときなど、やはり店員がもたもたして、結局、1ドルしか返ってこなかったこともある。これは、相当、難しい問題だったようだ。たとえば、買い物が9ドル74セントの場合、10ドル札1枚と25セント3枚(10ドル75セント)を支払うと、おつりは1ドル1セントとなるケースだ。

 

 そんなとき、1セントプリーズというべきだが、ニューヨークで悪い経験をしたので、言わなかったが・・・、ニューヨークで1セントプリーズといったとき、女性のレジの人に、「あなたは1セントがほしいのか・・・・」という目つきをされたことがあるのだ。

米国人からすると、なぜそこまで札にこだわるのかということかもしれない。答えは簡単だ。コインは重いし、数えるのが面倒臭いからだ。

 とにかく、レジの人には、あまり難しい計算問題を出してはいけないのだ。小銭は、ホームレスの人にあげればいいということかもしれない。あるいは、小銭の計算嫌いから、チップ制度ができたのかもしれない・・だから日本ではチップの文化がないのだ・・・などと勝手に思うこともある。もちろん、これはまったく根拠のない話。

さらに、最近は、ほとんどの米国人がちょっとした買い物でも、カードを使っているので、ますます計算が弱くなているように思う。

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理
キュービック・グランドストラテジー

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

2012年5月14日 (月)

日本企業に対する欧米の視点はいまだ変わっていない

日本にいたときには忙しくて読めなったが、米国に来て英語の勉強で、エコノミストやニュースウイークなどの記事をときどき読む。

おもしろいなあ~と思うことがある。そこには、ワンパターンの見方が存在するからだ。科学哲学的にいえば、ハンセンの「理論負荷性」だ。(人間は理論(常識)にもとづいて現実を認識する。)欧米の論者には、次の常識が前提となっているように思う。

「すべての企業は株式市場の動きに反応して行動する」

アサヒがカルピスを購入したのも、ソニーがある市場から撤退したのも、日立や東芝があるビジネスから撤退したことも、すべて株価の動きによって説明できるという論調だ。

しかし、日本人はこの議論に首をかしげる。日本企業は、たしかに自己資本比率は伸びている。しかし、いまだ負債比率は高いし、自己資本比率が高くても相互に株式の持ち合いをしているので、株式市場からの影響はない。しかも、比率の少ない自己資本の大株主のほとんどがいまだ金融機関と保険会社だ。そこには、過激な株主はいない。みな保守的だ。もちろん、外国人株主もいる。しかし、マイノリティだ。

こういう状態なので、株価が下がったので、あの日本企業は買収を行ったとか、株価が上がったので、あの日本企業はその市場に参入したという説明は、そうとう違和感がある。

こんな見方をしているので、自分の会社が危機になったとき、まず始めるのは、人間組織というものを無視した企業買収によるリストラ、特許訴訟による資金収集といった小手先の改革だ。

こうして失敗したのが、コダックであり、GMなのだ。米国のMBAのテキストどおりなのだ。やはり必要なのは、クーンのいう人間くさいパラダイムシフトなのだ。

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理
キュービック・グランドストラテジー

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

●上記の『組織の不条理』の文庫版

菊澤研宗: なぜ「改革」は合理的に失敗するのか 改革の不条理

菊澤研宗: なぜ「改革」は合理的に失敗するのか 改革

2012年5月10日 (木)

米国で必要な法と経済学

 いま、米国ではホンダが大変な事態になっている。ある女性が、ホンダのハイブリッドカーを購入したが、CMの宣伝と異なり、1リッター(単位はガロンかも)で走行できる距離が短いとして訴えたのだ。スモール・アクションだ。そして、この訴えが勝利し、ホンダは罰金を彼女に支払うことになった。

 しかし、それで終わらなかった。その女性は弁護士で、ホンダのハイブリッドカーをもっている人たちに、自分と同じ訴訟を起こせと運動しはじめた。クラス・アクションだ。そして、1人あたり、数万円を数十万人の所有者に支払うことになったようだ。そして、彼女は弁護士としてその仲介料をたくさんえたようだ。

 

 しかし、ホンダも最後の抵抗をし、もう一度裁判をしようとしているが、結果はわからない。

 このような訴訟が、米国ではいろんな分野で起こるのだ。多くの人々は、法は基本的に正義を守るためにあると思っているのだが、米国では金儲けのために法が利用される場合もあるのだ。

 

 しかし、このような訴訟を起こすと、法的には問題がなくとも、別の側面で問題が起こるように思う。たとえば、その結果、経済的に非効率になるかもしれない。こういった視点も当然必要となっているだろう。

 

 こういった訴訟をみると、裁判では正義だけではなく、経済合理性も考慮して判断すべきだという法と経済学的思考が必要になるように思う。まさに、米国では、法と経済学という分野が発展するわけだ。

●追加******

●今、ネットで結果がでたようだ。ホンダが逆転勝訴した。さすが、法と経済学の国アメリカだ。中国はどうだろうか?

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120510-00000038-reut-bus_all

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理
キュービック・グランドストラテジー

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

●上記の『組織の不条理』の文庫版

菊澤研宗: なぜ「改革」は合理的に失敗するのか 改革の不条理

菊澤研宗: なぜ「改革」は合理的に失敗するのか 改革の不条理

2012年5月 8日 (火)

三田評論「コーポレート・ガバナンス」特集

 現在、米国のバークレーに留学中ですが、『三田評論』5月号に登場しています。今回は、コーポレート・ガバナンスをテーマとして座談会の司会として登場しています。関心のある人は、ぜひ読んでみてください。結構、面白い議論が展開されていると思います。座談会は、出国前の3月に行ったものです。

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●「三田評論」

http://www.keio-up.co.jp/mita/mokuji/m1205.html

*************

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理
キュービック・グランドストラテジー

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

●上記の『組織の不条理』の文庫版

菊澤研宗: なぜ「改革」は合理的に失敗するのか 改革の不条理

菊澤研宗: なぜ「改革」は合理的に失敗するのか 改革の不条理

2012年5月 5日 (土)

データと情報に振り回されている米国

 米国に来て、CNNやニュース番組をみていて気付いたことがある。特に、円とドルの関係が、毎日、気になるので、いつもテレビをみているのだが、米国はあまりにデータと情報に振り回されすぎではないか。

 毎週、毎月のように、経済指標が発表され、そのたびに、株価や為替が変動する。その指標はかなり細かく、たとえば雇用数増えた場合、1週間でどの業種が増えて、どの業種が減ったかまで放送される。そして、その小さな変化から多くの投資家が先を予測して、株価や為替が動く。

 そして、オバマ大統領の政策が批判されたり、評価されたりする。しかし、これだけ短期的にデータをチェエクすることが本当に良いことなのだろう。もう少し長期的な視野にたって、データや情報を見た方がいいように思う。つまり、そういった観点からの評価も必要だと思う。

 というのも、行動経済学的にいえば、いまのようなやり方では、参照点(基準点)がいつも前の週のあるいは先月のデータや情報となるからである。長期的な観点からすると、全体として景気が良くなっていたとしても、前の時点を基準にするので、悪くなったような心理状態に陥ることになるのだ。

このような人間の心理状態が、人間行動そして経済活動に大きな影響を与えることを説明しているのが、行動経済学なのだ。マスコミももう少し考えて、テレビで放送したほうがいいのではないか?

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

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菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

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キュービック・グランドストラテジー

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

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●上記の『組織の不条理』の文庫版

菊澤研宗: なぜ「改革」は合理的に失敗するのか 改革の不条理

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2012年5月 2日 (水)

トーマス・クーンのパラダイム論の魅力

 いまある研究を進めているのだが、何かの縁でトマス・クーンのパラダイム論に行き着いた。改めて調べてみると、彼は私がいまいるUCバークレーでパラダイム論を展開してたことに驚いた。

 しかも、彼は科学の歴史の研究者であったが、運が悪かったのか、そこに所属できず、科学哲学の学部の所属になってしまったようだ。それが運命で、そこになんとファイアーベント(このときまだ彼はポパーリアンだったようだ)がいたのだ。

 こうして、クーンはあの有名な「パラダイム」論を展開することになる。選ばれた人は運命の糸にひかれるような人生をたどるものだ。

 

 クーンを知らない人もいるので、簡単に紹介したい。1950年代、当時は科学哲学は全盛時代だ。中でも、K.R.ポパーは有名だ。彼は、科学、とくに科学的理論は経験によって反証されるが、次にその反証事例をも説明する新しい理論を展開することによって、真理に接近することになるという考えを示した。したがって、ある理論が科学かどうかを決める基準は「反証可能性」つまり経験的に批判的なテストができるかかどうかだといった。

 これに対して、クーンは科学の歴史はそのような合理的な発展をしてしていない。ある理論から次の理論に移る場合には科学者集団の非合理的な要素も加わって移行することになる。もしかしたら、理論の提唱者の人格がものをいうこともあるかもししれないということだ。つまり、そこに価値観、社会的なルール、さらに実験装置のレベルなども関係しているのだ。理論とこのような非合理的な要素のセットを「パラダイム」と彼は呼んだのだ。こうしたパラダイムの移行は合理的ではなく、その方向も真理に接近しているかどうかわからないといったのだ。パラダイムとパラダイムは共役不可能で、合理的に優劣をつけられないというのだ。

(時間がないので、後で内容をもっと正確に修正します)

 さて、もちろん、私はいまでも方法論的にはポパーリアンなのだが、経営学の研究をしていると、クークの現実的な非合理的なパラダイム論もとても魅力的だ。新しい研究については、また別の機会に紹介したい。

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

●上記の『組織の不条理』の文庫版

菊澤研宗: なぜ「改革」は合理的に失敗するのか 改革の不条理

菊澤研宗: なぜ「改革」は合理的に失敗するのか 改革の不条理

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

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