北朝鮮の解説で思った意味論的矛盾
前にも、このブログで書いたことがあるのだが、論理実証主義との関係で「構文論」と「意味論」という研究がある。
(1)大雑把にいうと、構文論とは言明と言明との間の論理的関係を研究する学問である。たとえば、「2という数字は1と1を加えた数字である」という命題は無矛盾である。
(2)意味論とは、言明と実在との関係を研究する学問である。たとえば、「机」という言葉と実際に机が対応するのかどうかを研究することである。
ラッセルは、(2)の意味論に関連して「この命題は5文字である」という言明は意味論的に矛盾しているといった。というのも、この言明は11文字から構成されているからである。
長い前置きとなったが、2日前、キムジョンイル氏が亡くなったことが報道された。あまりにも突然だったのか。テレビ局も、専門家とコンタクトをとるのが大変だったのだろう。
4チャンネルの日本テレビには見慣れない慶大の若い先生がでていた。テレビの画面には、慶大専任講師と書いてあったので、若い人だと思う。とにかく、めずらしいと思った。
そして、こう解説していた。
「後継者は若い3男のキムジョンウン氏になるだろう。問題は、彼が若くて実績も経験もないことだ。果たして、実力があるのかどうか、そこが問題だ。」・・・・・
私は、悪い人間なので、その解説内容をそのまま若いあなたにもいいたいいと思ってしまった。つまり、その人の解説には、意味論的な矛盾があると思ってしまったのだ。
年をとると、ついついこういった見方になってしまう。反省しなければならない。しかし、こう思ったのは私だけだっただろうか?
では、次の命題をどう思うか?この命題は正しいのかどうか。
「うそつきのクレタ人が私はうそつきだといった」
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