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2011年9月17日 (土)

知性的世界へのアプローチの事例

 私は、拙著『戦略学』で三つの次元への戦略的アプローチのことをキュービック・グランド・ストラテジーと呼んだ。

 私は、K・R・ポパーに従い、世界は三つに区別する。

(1)物理的世界・・・物質の世界

  人間の五感によってその存在が理解できる世界

  物的資産の増減、会計上のコスト

(2)心理的世界・・・心の世界

  見えない心理的なコスト・ベネフィット

(3)知性的世界・・・技術や理論内容の世界

  人間の知性によってその存在を把握できる世界

  見えないコスト・ベネフィット:たとえば取引コスト

三つの世界でのコストを増減したり、三つの世界のベネフィットを増減したりして、人間の行動を操作するのが、キュービック・グランド・ストラテジーだ。

ここで、(3)の知性的な世界の戦略とはどういうことか?という質問が多い。その具体的な事例が出てきたの紹介する。

本当かどうかわからないが、弁護士連合会が東電の賠償方法が上記の(3)のアプローチとなっているという批判なのだ。

つまり、東電の賠償請求書類があまりにも複雑でかつ膨大なために、被災者たちにとって見えない交渉・取引コストがあまりにも高く、書類を読まず、書類に記入せず、書類を提出しない方が合理的となるという形で、泣き寝入りさせる戦略だと批判しているのだ。

もしそうならば、これは知性的世界を利用した戦略となる。保険会社がよく使うアプローチだ。

http://news.nifty.com/cs/economy/economyalldetail/yucasee-20110917-8941/1.htm

たぶんこれは意図せざる結果だと思うが、もし意図的だとすると、それは知性的世界を利用したもっとも洗練されたアプローチであるといえる。そして、それを見抜いた弁護士連合会はすごい。

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

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  • 菊澤研宗: なぜ「改革」は合理的に失敗するのか 改革の不条理

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