いま原発事故で起こっているのは組織の不条理と改革の不条理だ
いろんな方から、いろんなコメントをもらっている。多くの方々は、いま原発で起こっているのは、私が書いた本『なぜ改革は合理的に失敗するのか』、『組織の不条理』、『組織は合理的に失敗する』に書いてあることだということだ。
私自身も、実はそう思っている。実は、私はこれらの研究との関係で、新潟県の柏崎の原発にいったことがある。そして、そこで、地域住民の方々、東電、保安院の方々と、「組織は合理的に失敗する」というテーマでお話したことがあるのだ。
その要点は簡単だ。
完全に合理的など絶対にない。完全安全性など存在しない。たとえ完全安全性が存在しても、それを実現するのにコストがかかるので、完全安全性(コスト無限)と経済合理性(不完全な安全性)とは一致しないのだ。そして、残念ながら、人間は完全安全性ではなく、経済合理性を選択してしまうという不条理に陥るのだ。これだ。
なぜか。
人間はカントの理論理性に従うからだ。人間はヴェーバーの目的合理的に行動するからだ。人間は、計算合理性に従うからであり、損得計算に従うからだ。
こうして、不条理が起こる。
今回の福島原発事故をめぐって、ネットでも、週刊誌がいろんな記事を書いており、いろいろ言いたいこともあるが、また事実かどうかわからない。ここは少し冷静に見極めたい。
しかし、おそらく上記の不条理が原発をめぐる直接的な利害関係者の間に起こっているのではないかと推測はしている。
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