連立かあるいはパーシャル連合かの取引コスト理論分析
今回の参院選で、民主党は大敗した。今話題になっているのは、今後、どの政党と連立を組むのか、あるいは特定の政党と連立を組まずに、政策ごとにそのときどきに連合を組むかを迫られている。
取引コスト理論からすると、前者は組織的政治システムであり、後者は市場的な政治システムだ。後者の方法は、政策中心で、一見、素晴らしいシステムに思えるが、取引コスト理論からすると、後者は非効率的になりやすく、不条理を生み出すだろう。
つまり、政策ごとに相手を変えるということは、政策ごとに政党同士が交渉・取引する必要があり、その取引コストがあまりにも高い可能性がある。このコストが高い場合、たとえある政策を実行することが望ましく正しくても、取引コストが高くて相互に歩みよれないという不条理が起こる可能性が高いのだ。
おそらく、政治の場合には、連立のような組織的なシステムの方が取引コストが低く、政策は実行されやすのではないかと想像できる。
パーシャル連合、良いネーミングなのだが、経済的に非効率的な政治システムかもしれない。民主党の今後の動きを見守りたい。
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