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2010年5月14日 (金)

なぜ私がポパーの世界3理論にこだわるか?

 私は、拙著『市場と財務の相互作用』千倉書房、『日米独組織の経済分析』文眞堂、『組織の不条理』ダイヤモンド社、『命令違反が組織を伸ばす』光文社新書では、ポパーの反証主義を中心に隠れポパーリアン的に各所で、ポパーの科学哲学について書いてきた。

 しかし、拙著『戦略学』と『戦略の不条理』では、反証主義としてのポパーではなく、実在論者としてのポパーにもとづいて、世界3理論を隠れではなく、明示的に扱っている。

 私の本を読んだ人の多くは、こんなところでもポパーと会えるとは思わなかったという人が多い。ポパーという人は科学哲学者で、反証可能性の話をする人だと思っていたという。

 そこには、ポパーというのはあなたのいう世界3の理論よりも反証可能性で有名だから、そちらを取り上げた方がいいのではないか?という意味含まれているかもしれない。

 そういったことを言う人は、大抵、ポパーの本を直接読んだのではなく、ジョージ・ソロスの本を読んでいるにすぎない。

 もちろん、私もソロスの本をしっている。私は、純粋ポパーリアンだったので、ポパーの哲学も汚れたなあ~といった偏見を持ったくらいだ。しかも、当時、「ポパー研究学会」という私の先輩たちが設立した会に、ソロスの財団から寄付があり、それをどのように使うかということでもめていたようにも思う。

 もちろん、私はポパーの反証主義のことは知っている。その後、彼の弟子ラカトシュ、ファイアーベントが登場し、さらに科学史からはクーン、そしてマイナーだったが暗黙知のマイケル・ポランニー、さらにドイツの社会学者ハンス・アルバート、シュテイクミラーなどなど、・・・・・・

 しかし、ポパーの科学哲学を研究すればするほど、やはりの限界が見えてくるものだ。私は、前にブログでも書いたように、反証可能性という科学の境界設定基準を支持するものの、全面的に認めているわけではない。

 この基準のもとに、量子力学のような確率言明をどう扱うのか?反証可能性の度合いをどうあつかうのか?すっきりしないのだ。

 しかし、ポパーの世界3を受け入れれば、これらの問題は大した問題ではないのだ。この実在論を受け入れれば、話しが大ざっぱなので、すっきりするのだ。この理論では、物理的世界1と言明の内容の世界3は相互に自律的なので、帰納の論理などないのだ。ましては、言明の真理を実証することも不可能だ。

 こうして、帰納の論理は存在しないし、実証可能性は経験科学の境界設定基準にはならないということが論証される。

 しかし、私はそういった科学哲学的な観点から、ポパーの世界3に関心もつというよりも、いまはこの世界3理論はいろんな場面で役に立つと思っている。とくに、ここ数年の間にポパーのいう世界3はインターネットの普及とともに加速度的にその存在を拡大しているのだ。

 ということで、ぜひこのポパーの世界3理論をみなさんに進めたいと思います。ぜひ拙著『戦略の不条理』光文社を読んでほしい。もっと詳しく知りたい人は『戦略学』ダイヤモンド社を読んでください。

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