『組織の不条理』についての記事
以下の「日経ビジネスリーダー」の「歴史に学ぶ」で、拙著『組織の不条理』ダイヤモンド社が取り上げられている。そして、その文庫版が『組織は合理的に失敗する』日経ビジネス人文庫だ。
http://nvc.nikkeibp.co.jp/strong/kizuki/20100201_001791.html
ここでは、「取引コストを節約するためには、批判的議論が必要だ」ということを書いた。このことから、はなんて簡単な解決案だと思った人が多いだろう。そして、なんてつまらないと。
しかし、そういった人は大抵、「批判」という意味をよくわかっていないのだ。たぶん「否定」と同じ程度に思っているかもしれない。
「批判」とは限界確定(クリティカル)である。つまり、ある企画が提出された場合、その企画がどこまで認められるか。どこから認められず、修正する必要があるのかを確定することだ。
このような議論は、一見、簡単そうに見えるが、その企画が上司や社長が提出したものだとしたらどうだろう。本当に、批判的議論はできるか。ほとんどの人は批判を避け、肯定してしまうのだ。
そういった批判的議論ができない組織は合理的に失敗するのだ。
ではなぜ部下は批判できないのか?また、なぜ上司は部下に批判をさせないのか?
批判的議論をするということは、部下が上司に自由に何でも言ってもいいということではない。また、上司が部下に何でも批判してもいいといったから、部下が本当に上司になんでも言うことではないのだ!そんな表面的なことではないのだ!
部下と上司が、次のことを分かりあえたとき、相互に批判的議論はできる。もちろん、友人関係でも同じことだ。
部下
「うちの上司は自分の個人的目的(出世)を達成するために、私を単なる手段あるいは物として扱わないし、私も自分の個人的目的(出世)のために上司を手段に使おうとは思わない」
上司
「私は自分の個人的目的のために部下を物のように単なる手段として扱う気はないし、部下も私を手段として扱わないだろう」
この意味をもっと深く知りたい人は、以下の『組織は合理的に失敗する』の文庫本のための「あとがき」を読んでほしい。
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