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2010年2月12日 (金)

オリンピックのスノボー選手問題と多元的世界観

「オレ流国母「反省してま~す」

 オリンピック・スノボーの「国母選手が成田からの移動時に公式ユニホームを乱して着ていたとして問題となり、日本オリンピック委員会(JOC)から注意を受け、式への出席を自粛。その後、公式会見に出席した国母に反省の様子はなく、あくまで“オレ流を貫いた」という以下の記事はおもしろい。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100212-00000013-dal-spo

 賛否両論だろう。

 若い人や若い人に理解を示す人は、そんなことをなぜ批判するのか?いいんじゃないの?というだろう。結果を出せばいいんじゃないの?というだろう。

 しかし、私はあえていいたい。私は、古い人間なので、このような選手の態度には実は批判的なのだ。(彼の真実はわからないので、勝手な解釈になるかもしれないが、その点は許してほしい。)

 私は、『戦略学』ダイヤモンド社や『戦略の不条理』光文社新書で述べてきたように、世界は物理的世界、心理的世界、知性的世界からなっていると思っている多元論者だ。

(1)この立場からすれば、結果を出せばいいのではないかといったことをいう人は物理的一元論者だ。

(2)結果をだせばいいというものではない。人々は、物理的な結果だけではなく、選手の心理状態も実は推測しているのだ。さらに、知性的世界の住民である選手の言明内容も分析しているのだ。そして、その発言内容は本人の予想に反してさらに子供たちやその他の人々にもに影響するだろう。発言内容は知性的世界の住民となるのだ。

(3) たとえば、多くの人々は、浅田真央の演技だけではなく、彼女の心理的世界や彼女の言葉の内容も推測し、分析し、解釈してるのだ。そして、そこに何か切ない感情を追体験しているのだ。

(4)だから、彼女が優勝すると、その物理的結果だけではなく、彼女の心境とともに、彼女のこれまでの態度や発言も含めて人々は感動するのだ。

(5)換言すると、彼女は物理的に負けてもいいのだ。人々は、それでも彼女の心理的状態や知性的世界に感動するだろうし、彼女の存在意義の大きさに拍手を送るだろう。

(6)多くの選手は多元論的世界観に立っているので、発言や態度に慎重だ。とくに、良い成績をすでに挙げている選手ほど、世界は物理的一元論ではないことを直感的に理解しているので、用心深く、淘汰されないように、三つの世界を考慮して行動するというまさにキュービック・グランド・ストラテジーを実践しているのだ。

(7)以上のことから、もしあえて物理的世界に生きるならば、結果をだしてからにした方がいいと思う。朝青龍のように。すべてが結果だということを教えてやる。勝てば官軍。そういった態度で臨んでほしいものだ。

(8)しかし、結果がでなければ、なんの存在感もないし、なんの価値もないなんて、なんてさみしい物理的物質的世界観であり価値観ではないか。

(9)結果はどうであれ、国母選手の活躍を、われわれは多元論的に応援しようではないか。

拙著『戦略の不条理』光文社新書http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4334035299/kikuzawakensh-22 

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書 426)

拙著『戦略学』ダイヤモンド社

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478006075/kikuzawakensh-22

 菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

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