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2010年2月13日 (土)

知性的世界と知性的戦略について

 多くの人々が誤解するのだが、知性的世界での戦略と取引コスト・アプローチが等しいのではなく、知性的世界の戦略の一つが取引コスト・アプローチなのだ。

 何度もいうが、等しいのではなく、含まれるということ。同じではなく、集合論的に包摂されるということ。知性的世界への戦略のひとつの戦略として取引コスト節約アプローチがあるということ。

 自分では、以下のような美しい体系で議論を展開したつもりだが・・・・・

物理的世界1の戦略 ⊃ 新古典派経済学的な戦略

心理的世界2の戦略 ⊃ 行動経済学的な戦略

知性的世界3の戦略 ⊃ 新制度派経済学的な(取引コスト理論的な)戦略

 だから、取引コストではなく、観念を操作することも、ブランドを利用することも、知識をめぐる特許戦略も、イメージ操作も、みんな知性的世界への間接アプローチなのだ。あれも、これも書かなかったのは、ごちゃごちゃしたくなかったからだ。

 たとえば、アマゾンで自分の本を買い込んで、売上高NO1という表示を流す。その表示を多くの人々が見て、「この本は売れている、おもしろいのかもしれない」という形で心理的世界を刺激し、そして本を購入させる。これは、知性的世界を利用した戦略だ。この戦略は必ずしも取引コストとは関係ない。

 また、昔、バグパイプの音が聞こえたら、多くの国の兵士が「英国軍がきた」と認識し、逃げ腰になり、味方は「応援にきた」ということで元気になった。といわれているが、これも間接アプローチである。

 さらに、仲のいいA氏とBさんを別れさせるのに、直接、二人の前で、どちらかを中傷するアプローチは直接アプローチである。あるいは、どちらかを物理的に拘束して、二人を会わせないという方法も直接的なアプローチだ。これに対して、Bさんに、A氏を中傷するような嘘の手紙を送って、Bさんを誤解させ、二人を別れさせる戦法は、知性的世界への間接アプローチだ。この方法も、取引コストの問題ではない。

  私の本を読めば、こんなことすぐに理解できるはずだ。

 しかし、私の著書はすでに知性的世界の住民となっており、多くの人々が私の心理的世界とは異なる解釈をしているようだ。そして、このこと自体が、心理的世界と知性的世界が異なることを意味しているのだ。

 多くの人々が私の著書にアプローチして独自に解釈する。それは、私の本心とは異なっている。知性的世界と心理的世界は同じではないのだ。

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菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書 426)

拙著『戦略学』ダイヤモンド社

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 菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

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