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2010年2月27日 (土)

浅田真央とキムヨナを戦略論的(CGS)にみる

 昨日は、大学大学院入試の関連で仕事をしており、オリンピック氷の対決すなわち浅田真央とキムヨナの対決をライブではみれなかった。

 結果は、ショートプログラムと同様に大差だった。この戦いと結果については、いろんな観点からみることができ、そしていろんな解釈ができるだろう。

 私は、経営戦略論的にみた。キムヨナは私が主張している多元的世界観にもとづく多元的戦略を徹底したのに対して、浅田真央は一元論的な世界観にもとづく一元論的な戦略にこだわって負けたように思えた。つまり、両者の能力の問題ではなく、戦略の違いが結果をわけたのだと思った。

 浅田真央の戦略は、技術的に良い物を作れば売れるという物理的世界観にもとづく戦略ではなかったか。だれも成功していないトリプルアクセルさえ成功すれば、勝てる。そういう戦略だ。前回のトリノのときの上村愛子もそうだった。それが、「戦略の不条理」だ。一面的には合理的に行動しているのだが、実は別の次元では適応できていないのだ。

 これに対して、キムヨナは物理的世界だけではなく、心理的世界、知性的世界も存在し、これら三つの世界にアプローチし、多元的な戦略を展開した。技術的には、浅田のようにトリプルアクセルはやらない。ただ、見ているものにとって、その演技は心理的にスムーズに見えたし、知性的世界からすると、キムヨナの演技は芸術的に美しく、そこを徹底的に追及しているという固定観念も事前に定着していた。その他多様な知性的なアプローチがあったのかもしれない。

 したがって、浅田選手にはぜひ次回は戦略的に行動してほしいと思った。ただ、金メダルをとることが一番ではないと思う。「戦略的」という言葉は、カッコいいが、ひとりだけでも生き残るということであり、「ずるい」という言葉と紙一重だ。戦略を無視して、プライドにかけた彼女の行為も良かった。

 カント的にいえば、理論理性的な行動(お金や名声のためといった他律的で因果論的行動)ではなく、彼女の実践理性的な行為(お金や名声に囚われない自由意思にもとづく自律的行為)には拍手を送りたい。彼女の人間としての存在を十分認識させられた。

菊澤著『戦略の不条理』http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4334035299/kikuzawakensh-22

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書 426)

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