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2009年12月20日 (日)

渋沢栄一の経営哲学

 先日、慶応MCCアゴラで由井先生に、渋沢の経営哲学についてご講演いただいた。おもしろかった。

 渋沢が、なぜビジネスを展開する場合に公益性にこだわったのか。その理由のひとつに人間の「不安」「焦燥」からの脱却があるという。

 お金儲けを目的とすると、どうしても不安やあせりがでるものだ。儲けてももうけても次はどうなるか分からない。また、いまのビジネスでいいのかどうか。今後も、従業員を食べさせていけるのかどうか。金儲けのため、個人的利益のため、これだけを追求していると、永遠に「不安」と「焦燥」に駆られるのだ。

 渋沢がいうには、自分のビジネスは「公益」なのだと公言し、それを念頭に行動すると、不思議と、不安や焦燥から解放されるというのだ。ビジネスに失敗しても、自分のビジネスは公益のためだと自分に言い聞かせるのだという。

 これが、渋沢の儒教経済合一論のひとつだ。

 また、渋沢はおもしろいこともいっている。

私はかつて『命令違反は組織を伸ばす』という本を光文社新書から出版した。

(最近、ぐるなびの社長が拙著を評価してくれているようだが・・・http://www.odyssey-com.co.jp/ikik/oci_ikiiki_essei57.html

 

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4334034136/kikuzawakensh-22「命令違反」が組織を伸ばす (光文社新書)

そこで、部下が上司から不正行為を命令する場合には、命令違反をしないと、組織は自滅することを「組織の経済学」や「行動経済学」で説明した。しかし、この本、社会人には辛い内容だ。

 上司の命令を正面から拒否できるわけがない!とか。この本自体はおもしろいが、とても会社の机の上には置けないタイトルだとか。会社のお金で、購入しにくいタイトルだとか。いろんな声を聞いた。

 この同じ命令違反が必要な状況に対して、渋沢はこのように答えている。そのまま、命令に従えば、組織はおかしくなる。しかし、断れは、上司に悪いし、組織的に問題となる。

 命令を受けた時、沈黙することだ。それでも、上司がわからないときは、「考えさせていただきます」と答えることだ。さらに、態度も重要だとしている。

これは役に立つことかもしれない。しかし、この渋沢の回答に対して、ある優秀なビジネスマンがこういった。

 「上司っていうのは、しつこくて”あの仕事はどうなった”としつこく聞いてくるですよね」

やはり、命令違反は組織を伸ばすかもしれない。

 

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コメント

初めまして、横浜市栄区にあります神奈川県立地球市民かながわプラザ(あーすぷらざ)と申します。記事を興味深く拝見いたしました。

ただいま、当施設におきまして、渋沢栄一と交流があったフランスの銀行家、アルベール・カーンが収集した100年前の写真展を開催しております。

その関連イベントといたしまして、講演「渋沢栄一とアルベール・カーン ~それぞれの平和への思い~」を行います。渋沢史料館の学芸員の方に、2人の交流と平和への熱き思いをお話していただきます。(2月26日、入場料無料)よろしければぜご参加ひご検討ください。

関連HP:http://www.k-i-a.or.jp/plaza/project_exhibits/exhibits_kahn/

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