不条理からの脱出
2009年9月2日頃に、『組織は合理的に失敗する』日経ビジネス人文庫を出版する。これは、『組織の不条理』の文庫版だが、出版後10年後の私の考えを述べている。
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最近、朝日カルチャーで、非常にいい質問を受けた。不条理現象の一つは、個別合理性と全体合理性が一致しないとき、人間は個別合理性を追求して失敗するという現象であるが、冷静に考えると全体合理性の方がメリットがあることはだれでも理解できるのではないか?というものだった。
確かにそう思える。
しかし、限定合理的な人間はやはり個別合理性の方がメリットがあると判断してしまうのだ。
たとえば、開戦直前に、米国が石油の輸出を禁止した。このとき、海軍の石油の備蓄は1,2年だとうしよう。(以下は、たとえ話です)
日本全体からすると、米国と開戦しないで、米国のいいなりになって海軍が自滅した方がメリットがあったかもしれない。
しかし、海軍にとって、戦わずに自滅するくらいだったら、開戦して負けた方がいいという個別合理性を追求したくなる。しかも、今回、米国のいいなりなると、未来永劫、米国の言いなりになるような国になってしまうのでは?
このとき、どっちが日本全体のためになるのか?これが、不完全な限定合理的な人間が陥る不条理なのである。どうしても開戦したくなるのだ。
われわれは、どうしたらこのような不条理を回避できるのか?それは、9月に出る上記の拙著『組織は合理的に失敗する』を読んでもらいたい。
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