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2009年8月

2009年8月29日 (土)

『組織は合理的に失敗する』日経ビジネス人文庫の発売まじか

 拙著『組織は合理的に失敗する』日経ビジネス人文庫(762円)が9月3日頃、店頭に並ぶ予定です。

  組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

アマゾン

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/453219511X/kikuzawakensh-22

装丁はシンプルで美しい感じの本となりました。この本では、日本陸軍の事例を通して組織がなぜ不条理に陥るのかを説明しています。

ガダルカナル戦、インパ―ル作戦、ジャワ軍政、硫黄島・沖縄戦における日本軍の行動を新制度派経済学で分析しています。

『組織の不条理』ダイヤモンド社が高くて購入できなかった方はぜひこの文庫を購入してください。

また、この本の長いあとがきには新制度派経済学の限界についても触れていますので、ぜひ一度読んでもらいたいと思います。 

日経新聞社

http://www.nikkeibook.com/book_detail/19511/

目次

プロローグ 不条理な日本陸軍から何を学ぶか

第 I 部 組織の不条理解明に向けて

第1章 組織の新しい見方―新制度派経済学入門
  1 取引コスト理論がもたらす組織の新しい見方
  2 エージェンシー理論がもたらす組織の新しい見方
  3 所有権理論がもたらす組織の新しい見方

第2章 組織はなぜ不条理に陥るか―不条理な組織行動を説明する理論
  1 組織の不条理を説明する取引コスト理論
  2 組織の不条理を説明するエージェンシー理論
  3 組織の不条理を説明する所有権理論

第 II 部 組織の不条理と条理の事例

第3章 大東亜戦争における日本軍の興亡―日本軍はどのように戦ったか
  1 日本軍の南方作戦
  2 日本軍勝利への道
  3 日本軍敗退への道

第4章 不条理なガダルカナル戦―なぜ組織は後もどりできなかったのか
  1 ガダルカナル戦
  2 取引コスト理論と歴史的経路依存性について
  3 なぜ日本軍は白兵突撃戦術を変更できなかったのか

第5章 不条理なインパール作戦―なぜ組織は最悪の作戦を阻止できなかったのか
  1 インパール作戦
  2 エージェンシー理論について
  3 なぜインパール作戦を阻止できなかったのか

第6章 不条理を回避したジャワ軍政―なぜ組織は大量虐殺を回避できたのか
  1 今村均のジャワ占領統治の正当性
  2 所有権理論について
  3 なぜジャワ占領地統治は効率的だったのか

第7章 不条理を回避した硫黄島戦と沖縄戦―なぜ組織は大量の無駄死にを回避できたのか
  1 硫黄島戦と沖縄戦
  2 組織形態の取引コスト理論分析
  3 なぜ戦争末期の日本陸軍は自主的に組織変革できたのか

第 III 部 組織の不条理を超えて

第8章 組織の本質―軍事組織と企業組織
  1 組織が不条理に導かれた事例
  2 組織が不条理を回避した事例
  3 組織の本質は限定合理性である―組織の形成、淘汰、進化の本質

第9章 組織の不条理と条理――進化か淘汰か
  1 後もどりできない組織現象
  2 組織はなぜ不条理に導かれるのか
  3 組織はいかにして不条理を回避できるのか

第10章 組織の不条理を超えて―不条理と戦う企業戦士たち
  1 組織の勝利主義がもたらす不条理を超えて
  2 組織の集権主義がもたらす不条理を超えて
  3 組織の全体主義がもらたす不条理を超えて
  4 組織の不条理を超えて―「開かれた組織」に向けて

エピローグ 不条理な日本陸軍から何を学べたか

あとがき
文庫版のあとがき
大東亜戦争関連年表
参考文献

2009年8月21日 (金)

組織の経済学入門5刷へ

 拙著『組織の経済学入門』有斐閣が5刷となりました。みなさんに感謝しております。

 本書は、2006年10月に初版が発行され、現在、2009年8月ですので、約3年間で5回増刷ということで、これはすべて読者のみなさんのおかげです。本当に感謝しております。この本は、この分野(新制度派経済学の)のスタンダードな本になりつつあります。

 そのうち、内容をもう少し新しくし、充実する必要があると思っています。今後とも、ご愛読のほどよろしくお願いします。

 組織の経済学入門―新制度派経済学アプローチ

 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4641162778/kikuzawakensh-22

もう一つの本『業界分析 組織の経済学』中央経済社は3刷りです。こちらも2006年9月に出版されて、20009年6月頃に3刷りとなりました。大学院生や学部生の論文の書き方の参考になるというご意見をいただいております。

業界分析 組織の経済学―新制度派経済学の応用 

 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4502657301/kikuzawakensh-22

現在、これに続く組織の経済学の応用本として『企業組織の不条理』という本を菊澤研究室で企画しています。こちらもさらにパワーアップした内容になりますので、ご期待ください。

2009年8月18日 (火)

取引コストは知性的世界3の住民か

 拙著『戦略学』で、私はポパーの世界観にもとづいて取引コストの本質は知性的世界3の住民だとした。

ポパーによると、世界は以下の三つに区別される。

物理的世界1=物理的肉体的世界、貨幣の増減、資産の増減、会計上の損益

心理的世界2=心理的状態の世界、心理的損益

知性的世界3=知性によって理解できる世界、観念、知識、理論内容の世界、取引コストの増減

 この点に関して、いろんな意見をいただいている。取引コストは物理的世界でのコストではないか?心理的コストでもあるのではないか?

 確かに、物理的コストに反映された取引コスト、心理的にコストに反映された取引コストが存在するという言い方もできるかもしれない。しかし、取引コストの存在自体は世界3であり知性的世界である。そう言いたい。

(1)たとえば、いまある大学生3年生が米国のどこかの大学に1年間私費留学をしたいと思ったとしよう。留学をするためには、事前に米国の大学の情報を集め、大学と交渉し、そして手続き・・・という膨大が無駄が発生することを、だれでも理解するだろう。このときの交渉・取引をめぐる無駄が「取引コスト」であり、それはいまだ物理的なお金として計算できない「観念上のコスト=知性的世界の住民」である。

(2)ここで、この取引コストを節約する制度として、仲介業をしている会社があるとする。彼らは物理的なコストを計算し、仲介料として30万円を要求するものとしよう。

(3)このとき、仲介料30万円は取引コストを反映するものとして、それを取引コストと呼ぶ人がいるかもしれない。

(4)しかし、30万円は厳密には取引コストではない。われわれは、自分たちが描く観念としての「取引コスト」とこの「物理的コスト30万円」を比較して、もし「取引コスト」>「物理的コスト30万円」ならば、仲介を依頼し、「取引コスト」<30万円ならば、依頼しないで留学をあきらめるかもしれないのだ。

このように考えると、知性的世界3の「取引コスト」と物理的世界1の「コスト」とは異なるのだ。

●取引コストが知性的世界の実在であるという点についてのさらなる説明について、もう少し時間をください。

2009年8月17日 (月)

コーポレート・ガバナンス

 今日は、午前は日経新聞者の方にドイツのコーポレート・ガバナンスについてインタヴューを受けた。そして、午後は経営哲学学会の機関誌『経営哲学』の最新号をめぐって印刷会社の方と話をした。あっという間に、一日が終わった。

 さて、私自身、最近、コーポレート・ガバナンス研究から少し距離を置いていたが、いろんな方から質問を受けるようになったので、新ためてコーポレート・ガバナンスについて関心を持たざるを得ない状況にある。

 最近のいろんな本を読むと、日米独のコーポレート・ガバナンス状況はかなり変化しているように思える。

 米国のコーポレート・ガバナンスは、株主利益や利害関係者の利益を守るために基本的に効率性志向の企業統治である。ドイツのコーポレート・ガバナンスは、伝統的には資本家と労働者との間の公平性や平等を重視するものであったが、最近は米国化して株主や投資家の利益を守るために効率性も重視する企業統治への動き始めている。

 問題は、日本である。日本のコーポレート・ガバナンスはどこを向いているのか。不正をなくすためというのであれば、正当性を志向したガバナンスとなり、あるいは利害関係者の利益を守るためというのであれば、効率性を志向したガバナンスとなるだろう。

 さて、日本はどこに向かっていくのか?

 

2009年8月16日 (日)

硫黄島からの手紙

 昨日、フジテレビで放映された「硫黄島からの手紙」をみた。本当はやることがいっぱいあるのに・・・

 実は、この映画が公開されたときに見たったのだが、時間がなくてみれなかったのだ。今回みて、いくつか思ったことがある。

 栗林中将や西大佐は米国帰りらしく、気さくな性格な出ていてよかったと思う。そして、日本しかしらない中間管理職の不条理な命令、そしてそれに泣く部下たち。よくできていた。

 しかし、個人的には、米軍が島に上陸する前のプロセスをもう少し長くしてほしかった。米軍が上陸するまでに、日本陸軍と海軍の間にどんなコンフリクトが起こっていたのか、どのようにして水際撃滅作戦から洞窟陣地持久戦へ変化したのかなど・・・その日本軍の様子を描写してほしかった。

 映画は、米軍上陸後の日本軍の戦いがあまりにも長かったように思う。米軍上陸前ここそ、多くの不条理な現象が起こっていたのであり、それを多くの人たちに知ってほしかったなあという気持ちが残った。

通信社からの電話

 選挙が近づいてきた。本日、さきほど通信社から電話でインタビューかアンケートかわからないが、おかしな質問をしてきた。

 はっきりいえば、私の住んでいる地域で「誰に投票するのか教えてくれ」ということだ。このような行為はおかしくないだろうか。何のために無記名投票しているのか。

 そんなのは、質問された人はしっかりすればいいことだという人がいるかもしれないが、そもそも質問の選択枝には、「その他」や「無回答」あるいは「決まっていない」がない。明らかに誘導質問だ。きっと、ふつうの人たちは答えてしまうだろう。

 ここから、統計的に処理して通信社は予測する。しかし、このようなことがまた原因となって社会は動くのだ。これをエディップ効果という。私は、こういった行為に非常に疑問を持っている。

 いまはなくなったところもあるようだが、小学校や中学校で生徒会長や学級委員を決めるときに、投票したりしたものだ。そのとき、事前にだれが「お前はだれに投票するのか」という聞きまわるやつがいたら、おかしいと思うだろう。それが、素朴な倫理感だ。

 こんなインタヴューをしている会社や社員には、野次馬根性と利益追求主義以外に何があるのか。情報を取引する人たち、こそ倫理が必要なのだ。

 そんな情報を集計して何に使うのか最初にいってからインタヴューすべきだ。それが最低限のマナーだ。しかも、そもそも本当に通信社からの質問かどうかもわからないし、何一つ保証がない。

 日曜の朝から、気分が悪い。

 

個人と組織

 数日、お盆休みを取ったが、仕事のメールがどんどん入ってきて驚いた。多くのビジネスマンがお盆でも働いているのだなあ~と感心した。

 さて、先にも述べたが、戦後、日本人には全体主義的な考えが浸透しており、それが日本人の悪しき行動原理になっていたという固定観念がこれまでわれわれ日本人にはあった。それゆえ、全体よりも個人や個を大切するということさえいえば、大抵、もっともらしい教訓や結論になっていたのだ。

 しかし、実は、現在の日本人はかなり個人主義化してきているのだ。その理由は、古い言い方をすれば、アメリカナイズされてきたからであり、最近の言い方をすると、ネットや携帯が浸透し、一人で楽しめる時間が多くなったからであろう。 

 問題はそこなのだ。私は、学生を見ていて、むしろ組織や集団のことを考えてほしいと思うことがある。

 個々人は個人がもっとも大事なのだと思っているかもしれない。しかし、現実世界は実は組織の時代でもあるといえるのだ。ほとんどの人は、実際には何らかの組織に属しているのだ。学校組織、会社組織、クラブ組織、同好会組織、町内会、・・・・・この観点からすると、むしろ現代は組織の時代であるとさえいいたい。

 このギャップがいろんな問題を起こすのだ。どうせ個人の自由なんだと思って、軽犯罪を犯すとしよう。しかし、その責任は個人でとどまらないのだ。その人が所属している野球チームが甲子園に出れなくなるかもしれない。また、その家族が仕事を辞めることになるかもしれない。・・・・組織に迷惑をかけることになるのだ。

 自由とは何か?これは難しい問題だ。自由というのは極めて個人的なものだと思うかもしれない。

 しかし、もう一度、イマニエル・カントの自由の意味を考えてもらいたい。人間個人の自由というのは、他人に迷惑をかけない程度で、自由でしかないということだ。

 確か、K.R.ポパーがいっていたように思うが、ソクラテスの自由の概念に組織の概念を加えたのが、カントの自由だと。

2009年8月12日 (水)

慶応夕学の「アゴラ」でプロ倫を

 今年の秋10月から、慶応夕学の「アゴラ」でM・ヴェーバーの「プロ倫理」を中心にして、現代資本主義について考えるを講座を担当する。これはゼミナールのような形式になるらいしい。

 私は、最初3回にわたってヴェーバーのプロ倫について解説し、それを新たに現代の問題として再解釈し、そして不条理現象ともかかわらせて説明し、参加者と議論をしたいと思っている。

 一体、いま何か欠如しているのか。われわれはなぜそして何のために働くのか。組織のためか。個人のためか。自由を行使するためか、単に満足を満たすためか。幸福なるためにか。

 最近、金融危機以後、いろんな人々がヴェーバーのプロ倫に注目しているが、この本は本当にすばらしい。まさに、彼の予言通りに現代が進んでいる。われわれは、いろんなことをヴェーバーから学ぶことができだろう。

 そして、この講座の後半3回は、現代を生きるために必要な思想をさぐるために、孔子の思想、ハイエクの自由主義思想、そして渋沢栄一と福沢諭吉の思想についてゲストの先生に語ってもらって参加者と議論するという非常にユニークな企画になっている。

 関心のある方はどうか参加していただきたいと思います。

慶応夕学プレミアム「アゴラ」

http://www.sekigaku-agora.net/course/kikuzawa_kensyu.html

不条理からの脱出

 2009年9月2日頃に、『組織は合理的に失敗する』日経ビジネス人文庫を出版する。これは、『組織の不条理』の文庫版だが、出版後10年後の私の考えを述べている。

アマゾン

 http://www.amazon.co.jp/%E7%B5%84%E7%B9%94%E3%81%AF%E5%90%88%E7%90%86%E7%9A%84%E3%81%AB%E5%A4%B1%E6%95%97%E3%81%99%E3%82%8B-%E6%97%A5%E7%B5%8C%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9%E4%BA%BA%E6%96%87%E5%BA%AB-%E8%8F%8A%E6%BE%A4-%E7%A0%94%E5%AE%97/dp/453219511X/ref=sr_1_13?ie=UTF8&s=books&qid=1249148414&sr=1-13

 最近、朝日カルチャーで、非常にいい質問を受けた。不条理現象の一つは、個別合理性と全体合理性が一致しないとき、人間は個別合理性を追求して失敗するという現象であるが、冷静に考えると全体合理性の方がメリットがあることはだれでも理解できるのではないか?というものだった。

 確かにそう思える。

 しかし、限定合理的な人間はやはり個別合理性の方がメリットがあると判断してしまうのだ。

 たとえば、開戦直前に、米国が石油の輸出を禁止した。このとき、海軍の石油の備蓄は1,2年だとうしよう。(以下は、たとえ話です)

 日本全体からすると、米国と開戦しないで、米国のいいなりになって海軍が自滅した方がメリットがあったかもしれない。

 しかし、海軍にとって、戦わずに自滅するくらいだったら、開戦して負けた方がいいという個別合理性を追求したくなる。しかも、今回、米国のいいなりなると、未来永劫、米国の言いなりになるような国になってしまうのでは?

 このとき、どっちが日本全体のためになるのか?これが、不完全な限定合理的な人間が陥る不条理なのである。どうしても開戦したくなるのだ。

 われわれは、どうしたらこのような不条理を回避できるのか?それは、9月に出る上記の拙著『組織は合理的に失敗する』を読んでもらいたい。

 

組織か個人か

 前回に引き続いて、NHKの戦争特集について、旧海軍関係者たちが戦後ひらいていた海軍反省会はおもしろかった。

 NHKの解説は、日本海軍は組織を守って個を犠牲にしたとしていたが、逆だと思う。結局、海軍は個を守ったのだ。

 戦争責任を陸軍のせいにして、海軍は陸軍に言われて参戦したという形で、東京裁判は流れたということであったが、それは海軍にとって恥ではなかったのだろうか?

 A級裁判で、死刑になったのは陸軍だけで、海軍から死刑はでなかったというのは、実は海軍にとって恥ではなかったのだろうか?海軍は、無責任に戦争に参加していたのか?海軍は陸軍にそそのかされて参戦したのか?まるで、母親に言われて動く子供のようなだ。海軍の組織としての存在意義は何のか?

 結局、個が大事だったのではないのか?

 この特集の結論もいくぶん陳腐なものだった。組織を守って個人を犠牲にした。これである。これはいつもの全体主義批判だ。

 しかし、昨年起こった米国発の金融危機はむしろ個人主義が行き過ぎたのだ。利己的利益主義が行き過ぎたのだ。いまは、むしろ個を抑制し、むしろ組織や全体のことも考える必要があるという時代なのだ。

 みんなのことを考えない個人の自由などありえないというイマニエル・カントの自由論を再考すべきである。

 日本海軍には、その手本になるような側面を持っていてほしかったなあ~。これが、今回の特集番組の私の感想である。

 

「空気」という言葉で逃げるべきではない

 お盆が近づくと、TVでは戦争特集が流れる。NHKでは特別番組として海軍の反省会が分析されている。

 この番組に関して、いろんな人々がいろんな感想をもつだろう。私の場合には、海軍に少し失望するものとなってしまった。戦後、「サイレント・ネイビー」という名の下に、海軍は陸軍よりもカッコイイ感じがしていた。そして、偉い人ほど黙るものだと思っていたし、戦後、べらべらしゃべる人ほど安易だとも思っていた。

 NHKが流した海軍反省会でのテープで話しているのは、海軍でもある程度の地位のあった人々だ。その会話でやたらに出てくる言葉があった。それは、山本七平が使った「空気」という言葉だ。

 この「空気」という言葉は、見えいないものでも存在しているのだということを表すのに、あるいは言葉では表せないものを表せるメタファーとして、非常に印象的な言葉であった。

 しかし、今回の海軍の反省会て飛び交ったこの「空気」という言葉の意味が違うように思えた。

 「海軍にはそういった空気があった」「そういった空気では本心がいえないのだ」「そういった空気があったので、それはだめだといえなかった」・・・・・

 結局、すべて「空気」のせいにしているのだ。私は、そうではないだろうと言いたくなった。

 あなたちのような頭脳明晰な人たちが計算していないわけがないのだ。コスト・ベネフィットを計算し、マイナスになるから、話さなかっただけ。空気なんかではない。合理的計算の結果であり、コスト・ベネフィットを計算した結果、その結果、損するから、反対しなかったし、声をあげなかったのであって、決して「空気」のせいではない。

 私もある会議で経験したことがある。「空気」ではない。結局、自分がかわいいのだ。ここで反対すると、自分が損するし、いやな思いがするし、そのコストを無視してまで発言する「勇気」がないのだ。他律的に行動した方が楽なのだ。自由意思にもとづいて反対し、正論を語り、自律的に反対する勇気がないのだ。結局。

 どうか、みなさん「空気」のせいにしないでください。

2009年8月 8日 (土)

立命館大とのインゼミとその後

 私のゼミは、これまで一度もインゼミをしたことはなかった。やりたかったのだが、やってくれるゼミがなかったのだ。

 私の性格が悪いせいか、話を持ちかけると、大抵、「なんか怖そう」とか「エグそう」とか言われて、相手の先生に断られてきた。

 こうした状況であったので、今回、立命館大学の石川先生および石川ゼミの学生が非常に盛大に歓迎してくれ、しかも非常に気を使ってくれて、心から感謝している。

 石川ゼミの学生は、私のゼミ員よりも私の著書をたくさん読んでくれており、それゆえ互いに同じバックグランドがあり、かなり理解しあえるところがあって、非常におもしろかった。発表を聞いても、私の本のあそこを読んだんだなあ~とすぐに分かった。

 お遊びのためのインゼミになることもなく、なれあいの集まりになることもなく、みな真剣に勉強し、それを報告し、真剣に議論する。非常によかったと思う。みんな、がばって研究しているんだなあ~と思った。

 やはり、機会があれば、学生には異文化交流は必要だと痛感した。われわれ教員は、学会でいつも異文化交流しているので、それほど感じないのだが、今回、インゼミというのは学生間の学会のような感じがして良かった。 

 さらに、今回は、われわれの他にも、大学院生や他の先生も飛び入りで参加してくれたのもよかった。さらに、石川先生の先生である仲田先生にも会えて、とても嬉しかった。

 さて、学生には、少し休んでもらって8月の終わりの合宿からまたがんばってもらいたい。

 私の方はまったく休めず、帰宅後は前期試験の結果を大学に提出し、組織の不条理の日経文庫版の原稿を提出し、そして昨日は朝日カルチャーの講演を終え、もうくたくただ。

 しかし、光文社新書の原稿もなんとかOKのサインをいただき、少しほっとしている。10月出版を目指してがんばらなければならないと気合が入っている。また、その前に、経済同友会での講演、防衛省での講演、組織学会での講演、日本経営学会でのコメンテータ、経営哲学学会の準備で、まったく気が抜けない。

 ユンケルでも飲もうかな。

2009年8月 3日 (月)

『組織の不条理』の文庫化、そして朝日カルチャー

 現在は、試験の採点、そして明日から立命館の石川ゼミとのインターゼミのため、滋賀県へ、そしてその後は朝日カルチャーで講演、とにかく忙しい。さらに、経営哲学学会関係の仕事が異常に多く、自分でも驚いている。とにかく、忙しいので、ブログも書けない。

 こうした状況で、9年前に書いた『組織の不条理』ダイヤモンド社が、9月2日頃に日経ビジネス文庫として新しいタイトル『組織は合理的に失敗する』で出版される。この本では、新たに「文庫化のためのあとがきー10年目の帰結ー」という内容を盛り込んだので、この部分はぜひ読んでみてほしい。

 すでにアマゾンで予約可能なので、関心のある人は購入にしてください。今度は794円という値段ですので、購入しやすいものとなっています。

 アマゾン『組織は合理的に失敗する』日経ビジネス文庫

http://www.amazon.co.jp/%E7%B5%84%E7%B9%94%E3%81%AF%E5%90%88%E7%90%86%E7%9A%84%E3%81%AB%E5%A4%B1%E6%95%97%E3%81%99%E3%82%8B-%E6%97%A5%E7%B5%8C%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9%E4%BA%BA%E6%96%87%E5%BA%AB-%E8%8F%8A%E6%BE%A4-%E7%A0%94%E5%AE%97/dp/453219511X/ref=sr_1_13?ie=UTF8&s=books&qid=1249148414&sr=1-13

さらに朝日カルチャーでは、この本と関係する内容を講演します。当日、その場に来て、入場料を支払っていただいても結構です。関心のある人はどうど気楽にきてください。

朝日カルチャー(新宿工学院大学で)

http://www.asahiculture-shinjuku.com/

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