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2009年1月29日 (木)

哲学の時代

 最近は、いかにして早く本を読むか、1日何冊本を読むのか。そのようなことに関心がある人が多い。

 しかし、私の時代は、いかにして難解な本の内容を理解するか。難解な本の内容をどのように理解したか。こういったことを、知的な人間間で競っていた時代だ。カントの哲学。サルトルの実存主義哲学。K・R・ポパーの科学哲学。丸山真男の日本思想。マックス・ヴェーバーのプロ倫などなど。

 1時間で1頁しか進まないときもある。友人と読書会をする。この1行をどう解釈するか。喫茶店ルノアールなどで長時間議論する。どうしてもこの文の意味がわからない。「では、原文をみてみるか。」そんなまったく非効率的な議論を続けた。

 私が思うには、世の中、本がたくさん出版され、いろんなことが語られているが、本質的なことは、それほど多くないのだ。そして、それほどたくさん新しいことも生まれていないし、発見もされていないのだ。多くは、かつてだれかがいったことを新しいベールをかぶって再登場していることが多いのだ。

 こういった意味で、以前から存在して決して消えることのない哲学書は宝の山だ。そこには、たくさんの叡智が残されている。私には、困ったときには、いつも戻る本がある。カントだ。カントの本だ。戻るたびに発見がある。

 いままでは、気付かなかったが、カントはやたらに弁証論にこだわっているんだなあ~といまでは思う。「カントとヘーゲルは違うんだ」という私の観念が邪魔してきたんだなといまは思う。

 最後に、カントの好きな論証法を紹介したい。

(1)Xに至るには、論理的にAとBとCの道があり、それ以外にありえない。

(2)Aの道が正しいかどうかを批判してみたら問題があることがわかった。

(3)Bの道が正しいかどうかを批判してみたら問題があることがわかった。

(4)Cの道が正しいかどうかを批判してみたら問題がみつからない。

(5)以上のことから、いまのところCを否定する根拠がないので、これを支持する。

私は、このロジックで論文を何回か書いたことがある。なぜ私がカントの本を時間をかけて読んでいるか理解していただけるだろうか。実は、ポパーもこのロジックをよく使って論文を書いているんですね。

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