慶応大学菊澤ゼミナールHP

私の趣味

私の著書

新制度派経済学と限定合理アプローチの本

経営哲学学会HP

« NHKのカンゴロンゴに登場した「取引コスト」 | トップページ | 不条理からの脱出 »

2009年1月13日 (火)

なぜユニクロは強いのかーキュービック・グランド・ストラテジー分析

 いま一番売れているのはユニクロだ。経済危機、不況のものでは、安売りのユニクロが輝きだすと思う人は多いだろう。

 しかし、これは誤りである。というのも、安売りというのならば、しまむらや西松屋の方が安売りであり、いずれもいま苦戦しているからだ。

 ユニクロを、キュービック・グランド・ストラテジーが依拠する三つの世界の観点から、大雑把ではあるが、分析してみよう。

(1)物理的世界への直接アプローチ

 ユニクロはただ安いだけではなく、品質もよく、これまでフリーズ、ブロトップ、そしていま「ヒートテック」を開発し、人気を集めてきた。つまり、絶えず、イノベーションを起こして、直接顧客に訴えてきたのである。

(2)心理的世界への間接アプローチ

不況の中、ユニクロの商品を購入していたひとには心理的変化がないが、百貨店で購入していた人々にとっては、参照点を基準に割高感を抱きはじめ、安売り店で購入していた人は、参照点を基準にして、より品質が悪いと感じ始めたために、ユニクロへと変化しやすい心境に陥った。

(3)知性的世界へ間接アプローチ

ユニクロは、これまで極端に値段は高くないし、品質もまた悪くはないというイメージを作り上げてきた。つまり、「安いけど、悪くない」というイメージや観念を形成してきた。これがいまの状況とあっているのかもしれない。

 以上のように、三つ世界で、ことがうまく絡み合い、ユニクロは、現在、環境に適応しているのではないかと思う。

 しかし、ユニクロが、三つの世界に対して意図的にアプローチしているかどうかはわからない。つまり、キュービック・グランド・ストラテジーを遂行しているかどうかわからない。

« NHKのカンゴロンゴに登場した「取引コスト」 | トップページ | 不条理からの脱出 »

11)戦略学(CGS)」カテゴリの記事

コメント

菊澤先生

 最近の不景気のニュースを見ていて、CGSが想像以上に様々な分野で応用できるのではないかなと思いました。お正月のテレビ番組で解雇された派遣労働者と元リーマン・ブラザーズの社員の対談が放送されていて見ました。内容としては、派遣社員が「派遣社員が苦しんでいるのは外資のような勝ち組のせいで政府は格差を是正するべきだ」と主張したのに対して、リーマン社員の反論は「自分たちは実力もあって努力しているので、高い給料を貰うのは当然だ。政府が過度な介入をすると富裕層が国外へ出て行く。」といった内容でした。

 正直な感想としては、派遣社員の主張は感情論が多く、論理的にも正しくありませんでした。一方、さすがリーマン社員の主張は、論理的で、経済的な教養もあるのでしょう、理屈としては明らかに彼らが正しいと思いました。ただ面白いことに、悲惨な派遣労働者のドキュメンタリーや映像を織り交ぜながら番組が進行するので、視聴者としては派遣社員の言い分が正しくてリーマン社員は間違っているという「印象」を受けます。皮肉なことは、リーマン社員の言い分は正に正しいのですが、彼らが話せば話すほど何か負の感情が心に溜まっていき、むしろ逆の印象を視聴者に与えるようです。

 正しいことを言えばいうほど、間違っているように聞こえる。ある意味理不尽ともいえる印象操作ですが(笑)、これはまさに菊澤先生が研究されるように、ロジックという知性的世界とは別に心理的な世界が存在するんだなと思いました。


 あと、CSGが実はマクロ的な経済分析にも使えるのではないかと以下のニュース解説記事を読んで思いました。

http://bpdeleg.nikkeibp.co.jp:18780/article/column/20090113/124572/

 内容としては、とうとう100円PCが出たというものなのですが、消費者のニーズが「顕示的消費や高機能志向」からシフトして、「使えさえすれば安くていいもの」になったと結論付けています。高付加価値戦略が上手くいかなくなり、企業は低価格戦略を取り出したと。その例に、この筆者はユニクロを使っていました。

 この筆者の分析は先生の分析にはまで追いついていませんが、まさに彼の言いたいことをCGSの言葉で表すなら日本の市場環境が世界2や世界3から世界1の世界にシフトしてきたというとこではないでしょうか。この記事を見て、CGSが企業戦略のみならず、マクロ的な経済動向の説明にも使えるのではないかなと思いました。つまり、そもそもCGSは三つの世界にいかに戦略を展開するかというお話ですが、その前提となる三つの世界を分析する方法によって経済全体の動向の説明もできるのではないかなと思いました。

 私はCGSの潜在的な力は、まだまだ眠っていると思っています。マネジメントのみならず、マーケティング、マクロ経済、政治学、社会学等の様々な現象を説明し、戦略化できるフレームワークだと思います。ただその為には、菊澤先生がカバーしきれない分野、マーケティングやマクロ経済、法学・政治学などの分野での応用研究が必要だと思います。CGSが普及するためにはネットワー外部性が必要です。なので次期の菊澤ゼミには様々な専門を持った優秀な学生に来て欲しいなと勝手に思っています。以上、長くなってしまいましたが何か先生の研究のお役に立てれば幸いです。

三谷君へ

菊澤です。
大変興味深いコメントありがとう。とても参考になりますね。キュービック・グランド・ストラテジーがいろんな分野に応用できる可能性があるのですね。とくに、マクロへの応用という点は面白いですね。また、気がついたら、遠慮なく、書きこんでください。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

« NHKのカンゴロンゴに登場した「取引コスト」 | トップページ | 不条理からの脱出 »

2021年8月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31