GEは経営学そのものだ
私は、経営学者なのに実は個別企業をじっくり観察して徹底的に研究するタイプではない。経営学者としてはダメな研究者だ。(経営史の大家由井先生によると、経営史で有名なハーバードのチャンドラーも実際の企業観察はあまり好きではなく、図書館派だったらしい。日本にきたときも、トヨタへいったらしいが、あまり関心を示さず、すぐにホテルへもどったそうだ)
そんな私でも、エジソンが創始者のひとりであるGE(ジェネラル・エレクトリック)は魅力的だと思った。GEの社員であり、現在慶大博士課程の学生でもある中川さんのGEの歴史に関する報告を聞き、とても興味深く思った。なぜか。
私が、経営学の本で読んで学んだこと、つまり事業部制組織やマトリックス組織などなど、どれもすべてGEの歴史そのものなのだ。つまり、GEの経営そのものが、われわれが教科書で勉強してきた経営学のように思えるからだ。すごい。
さらに、GEが魅力的なのは、130年の歴史をもち、しかも常に世界のトップ企業として君臨してきたこの典型的米国企業の経営者(CEO)は、これまで9人しかおらず、第3代以外はすべて内部昇進者であり、しかも長期政権であるという点だ。まるで、日本的経営のようだ。面白い。
以上のような意味で、GEという会社はとても魅力的で真剣に研究すべき企業の一つであることは間違いないと思う。
« キュービック・グランド・ストラテジーの事例3 | トップページ | 工学院大学・朝日カレッジでの戦略学講義 »
「3)学者様の不思議な世界」カテゴリの記事
- 日本の経営学者の巨匠のひとり 庭本先生 逝く(2020.12.31)
- 偉大な学者の論文の効用(2016.06.04)
- どうしようもない日本企業(2015.07.03)
- ブラックサンダー、理論負荷性、そして帰納法(2015.06.10)
コメント