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2007年12月26日 (水)

悪い結果論と良い結果論

 拙著『命令違反は組織を伸ばす』(光文社新書)をめぐる論評で、素人様がよく述べるのは、これは「結果論」だということです。

 歴史を説明すること、現実を説明することは、実はすべて結果論です。与えられた事実を既存の理論で説明することだからです。それ以外に、何を求めるのでしょうか?

 問題は、結果論でもすでに理論的に説明されていることならば、「つまらない結果論」、まだ既存の理論で説明されていない結果論ならば、「おもしろい新しい結果論」となります。

 私の知るところでは、インパール作戦で「なぜ当初牟田口中将は作戦に反対し、その後作戦を推進したのか」、その歴史的な事実は実はまだ理論的にうまく説明されていません。それをやって見せたという点が、今回の本の意義でなのです。

 しかし、この説明は単なる結果論ではありません。行動経済学という新しい理論にもとづいているので、将来を予測することもできますし、過去を推測することもできます。もし牟田口が当時プラスの心境にいたならば、相変わらずインパール作戦を拒否していただろうと。

 また、勝ち続けている投資家はこれ以上投資せず、利益を確定してしまうだろうとか、さらにマージャンで負け続けている友人は「勝ち逃げは許さん」といってなかなかマージャンを終わりにしてくれないだろうとか、いろいろ予測もできるのです。

 そして反証されれば、もっと良い理論があるということなので、知識は進歩するのです。ですから、歴史の中に、牟田口と同じ状況に置かれていたのに違う行動を取っている人物を探せば、私の説明は反証されるのです。

 ということで、私の今回の説明は反証可能性をもっており、K・R・ポパーのいう科学的な説明になっているのです。それは、われわれの知識を成長させる可能性のある科学的な歴史説明なのです。

 いかがでしょう。これも、結果論でしょうか。

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