試験と教科書に関する個人的考え
また、期末試験の季節がやってくる。学生も、少し気になる季節だろう。本日は、「試験」と「教科書」の関係について、学生からよく質問されるので、少し個人的で独断的な意見を述べてみたい。
私の場合、ほとんど自筆のノートと教科書持込可という条件だ。以下、良くある質問に対する私の答えはこうだ。
(1)教科書は買っておいた方がいいか。
「もし国語表現能力に自信のない人は買った方がいい」と私は答えることにしている。講義の内容を理解していても、表現が悪いと、あるいは文章が下手だと、どうしても「A」あるいは「優」を与えられない。われわれは、答案用紙の回答文しか読めないからだ。文章に自信があり、講義に出ている人はなくても大丈夫だと思う。
(2)教科書の内容をそのまま写してもいいか。
私が学生のときには、そのまま写すと先生は「こいつは何も考えずに写しただけだ」と思われるかもしれないので、がんばって少し変えて書こうと思っていたが、いざ自分が教官になって分かったことだが、実は私に限っていえば、そのまま写してもらった方がはるかに嬉しいのだ。
恐ろしいことに、自分の文章というものは何年経っても憶えていて、試験の答案用紙に自分の一文が書いてあったりすると、即座に「これは私の文だ。チャンと教科書を購入したんだなあ」と認識でき、少し情けないのだが、気分がよくなったり、嬉しくなったりもするのだ。
ということで、私個人に限っていえば、どんどんテキストを写しても構わないということだ。ただし、答案用紙の幅と時間が限られているので、そのまま写すと時間がなくなるケースが多い。事前に勉強していないと、4問中2問しかとけないとか、5問中3問しかとけないという場合もあるので、注意が必要だ。
(3)逆に、教科書以外は持ち込み禁止だし、特に他人が書いた本の文章などを書くことは禁物だ。逆に、われわれ教官は他人の文章にも異常に敏感だ。見たことも、言ったこともない文章を書かれると、最悪だ。「こいつは誰の講義を聞いて書いているだ」とか、「こいつは全く講義を聞いていないな」などと考えてしまうので、最初から批判的に厳しい評価をすることになる。これは絶対にしないことだ。マイナスとなることまちがいなし。
(4)教科書を購入しないでがんばって書く場合、講義で話していた小話などを上手に書くと、こちらは感動するものだ。「こんなことまで聞いていたんだ」と思い、感動するのだ。これもテクニックだ。
以上。
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